人形狩り人形と魔窟の主(#11)
(承前)
ゴーレム、そしてリッチの次は❝死神❞と来たか。
苦笑するしかない。節操が無いにも程がある。
せめて日本古来のヨーカイでも現れるのなら、まだ可愛げがあったものを。
「ヴォルフガング、笑っている場合ではないぞ」
王様が死神とチェスをする様子が描かれた絵画を思い出す(実物は銅版画らしいが)。人間が死神に勝てる筈が無い。仮に、この場を切り抜けたとて、その後はどうなる?四六時中、❝死の影❞に怯えて生きるというのか。そう思うと途端に何もかもが虚しく感じられた。諦念からの無気力が全身を支配する。杖にしていたサーベルも投げ出して尻餅をついた。
「相棒、君と戦えたことは僕の誇りだ。故郷に戻って本当のヴォルフガングと───」
死神が近づいてくる。見たことはあるが、会ったことは無い人間の姿。
せめて最後の気力を振り絞ってオートマトンに最後の別れを告げようとしたのだが、それさえも叶わなかった。蹴られて壁に叩きつけられたからだ。
(続く)
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