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メルツェルの人形狩り

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第1回逆噴射小説大賞の二次選考を突破した「人形狩り人形の長い夜」と、その続編を気が向いたら投稿しています。こちらも1回の投稿は400文字以内(※「続く」と「承前」の文字は除外)に… もっと読む
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記事一覧

人形狩り人形と魔窟の主(#22)

(承前) 「さて、大家よ。我々は今から役所に提出する報告書を作成せねばならぬ。我が助手よ…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#21)

(承前) 「ええと、ご覧の通り五体満足で帰ってきました。先方とも話し合いをして来ました。…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#20)

(承前) 曲折はあったが、僕らが事務所を構えるビルまで戻って来ることが出来た。まず相棒の…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#19)

(承前) 僕らを乗せたワゴン車を運転していた私立探偵の頭が───、弾けた。しまった、狙撃…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#18)

(承前) 来た時と同じように、黒いワゴン車は周囲の人間を蹴散らす勢いで急発進、そして急旋…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#17)

(承前) 黒いワゴン車から降り立ったのは見覚えのある胡散臭い青年であった。同じビルに事務…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#16)

(承前) 「数日も経てば、この魔窟は奴らに荒らされて何も残るまい。我らの収穫は、その二冊のファイルだけか」 淡々とオートマトンが呟く。責めるでも失望するようでもなく、ただ事実のみを語る。死神は追いかけて来ない。既に気配も感じられない。太陽光に動じない❝死の影❞も衆人環視の中で物騒なことをする気は無いということか。それは結構なことだと思う。思いたいが。 「さて、既に推進剤は使い切った。ここからどうやって帰ればいいのやら」 一難去ってまた一難か。推進剤が無ければ歩いて帰る

人形狩り人形と魔窟の主(#15)

(承前) 一陣の風───、榴弾が死神の体をすり抜けると、そのまま壁に直撃。廃墟に新たな風…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#14)

(承前) 「そろそろ本当に燃料が尽きるぞ、ヴォルフガング!」 日付と謎のアルファベットが…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#13)

(承前) 相棒が死神を足止めしている間に、僕にはやらねばならない事があった。この部屋の机…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#12)

(承前) 四脚オートマトンの相棒に蹴られて、壁に叩きつけられる寸前の僕の胸中には「ああ、…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#11)

(承前) ゴーレム、そしてリッチの次は❝死神❞と来たか。 苦笑するしかない。節操が無いに…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#10)

(承前) どうも、ヴォルフガングです。今までの話を要約すると、こういう事です。 ❝リッチ…

グエン
5年前
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人形狩り人形と魔窟の主(#9)

(承前) 干からびた男の濁った双眸が何かを捉えた。 僕の目には捉えられない何か。 相棒が「人の形をした空気の淀み」と表現した何かを。 「ヴォルフガング、そやつから離れろ!」 干からびた男───、魔窟の主が呻き声をあげる。まるで見えない何者かに攻撃されているような。たった今、僕に両手両足を切り落とされても微動だにしなかった男が、涙を流しながら見えない何かに対して謝ろうとしている。胴体から、四肢からは青い燐光が立ち昇る。 「青い炎……。あんた、❝呪い人形❞だったのか」 「