アフィリエイト広告の次のかたちを模索する、イシタニさんのお話
前回、前々回の記事でイシタニさんからアフィリエイト広告について解説してもらったカラッコ。イルカくんに情報共有するために、帰宅早々資料づくりに着手します。成果報酬型とは、メリット・デメリット、ASPの役割、SNSへの広がり・・・メモ帳にびっしりと書きつけた文字を眺めているうちに、ふと、イシタニさんのどことなく楽しげな声と表情を思い出しました。
カラッコ:(アフィリエイト広告のこと、すごく好きそうだったな)
そういえば。「数ある広告の中でも『あえて』アフィリエイト広告を仕事に選んだ人たちがCARRACにはいるらしい」とシャクレアゴさんも言っていたような。そこでようやく、イシタニさん個人のことを全く知らないことに気が付きます。何歳なのか、どんな経歴を持つ人なのか、普段のお仕事は、どうしてあんなに楽しそうに話していたのか、アフィリエイトに惚れてしまっているのではないか? 好奇心旺盛なカラッコの頭の中は、瞬く間に?で埋め尽くされていくのでした。
エンターキーをパチン!と叩いて完成した資料をイルカくんに送信。「そうだったのかアフィリエイト!早速着手しよう!」その返信を確認してから、静かにパソコンの電源を切ります。
カラッコ:(明日はイシタニさんの話を聞きに行くぞ!)
翌朝、海岸で手土産を拾ってから、再びイシタニさんの元へと訪れるのでした。
飛び込み営業マンから広告プランナーへの転身
アフィリエイト広告に携わることになったのは本当に偶然でした。新卒で入社したOA機器販売の会社では毎日飛び込み営業をしていたのですが、3年目の頃に地方支店立ち上げの打診があったりプライベートでも変化があったりして、仕事や自分自身と向き合う時期がやってきて。そんな時にたまたまASPの求人を見つけて受けてみようと。デジタル広告には大学時代から興味があったし、自分の営業力の幅を広げるという意味でも魅力的に映ったんです。
無事ASPに入社してからまずは広告主の顧客開拓部署へ配属となり、1年半ほどで金融系の顧客を中心にコンサルサービスを提供する部署へ異動しました。営業からプランナーへの転身です。クライアントとの向き合い方も、アフィリエイトとの関わり方も変わりました。それまではアフィリエイトを活用していない企業に魅力を知ってもらうことが主な仕事でしたが、今度はその魅力を自ら体現していかなければなりません。どんなアフィリエイトの活用方法が提案できるかをひたすら考えていましたね。
苦しい時こそ人間味が表出する、プランナーの仕事
私たちプランナーの提案していることって、商品の購入ニーズを持つユーザーをどう見つけるのかということなんです。商材や業界によっては王道の施策というのは既に確立されているので、提案内容に0か100かという程の違いはありません。でも、皆がみんな王道を突き進んでいくと、成果を出す企業と出せない企業で差がはっきりと出てしまう。
そんな時こそプランナーとしての腕の見せどころだと思っています。王道で良い成果が出ない場合に、どのようにして少し外れた購入ニーズを持つユーザーを見出し働きかけをするのか。その分析の仕方やアプローチ方法といったところにプランナーの人間味が凝縮されているように感じています。
「わかりやすい」がわからない理由
プランナーとしての経験を積み上げながら、途中からサービス企画も兼任するようになりました。そこで考えていたのは既存クライアントの施策を更に伸ばしていくための新たなサービスでした。
購入してもらうことをアフィリエイト広告の使命だとすると、成果を伸ばし続けるには商品を手に取るユーザーを増やしていく、つまりはターゲットとなるユーザーの幅を広げていく必要があります。そのためにすべきことははっきりしていて、ターゲットとするユーザーにわかりやすくサービス・商品に関する情報を伝えていけば良いだけなんです。ただ、そう言うのは簡単でわかりやすく伝えるというのがとにかく難しい。
というのも、ユーザーの考え方や抱く感情や関心事までも理解していないと何がわかりやすいのかすら判然としないからです。例えば化粧水1つとっても価格、成分、使用感、効能、容量、ユーザーの悩みといった無数にあります。この中からどれを訴求ポイントとするのか。その場合、ユーザーは何がわからなくて、何に迷っていて、何を買う決め手としているのか。どのような発信をすれば興味を持ってくれるのか。ユーザーの深いところまで把握しないと購入というアクションを促す情報を発信することはできません。
これはどんな案件でも毎回頭を悩ませています。性別や年齢といったユーザー属性だけでは捉えきれない領域で、表面的にユーザー像を捉えても望むような成果が出ないという体験をいくつもしてきました。反対に、ユーザーの購入動機をがっちりと捉え、求められている情報をわかりやすく伝えると、驚くほど大きな反響が返ってくるということも経験してきました。
成果達成はクライアントに貢献できたことはもちろん、顔こそ見えないですがたくさんの人たちの意思決定に自分が役立ったという実感を得ることができます。それこそがアフィリエイト広告に携わる人間が得られるやりがいと言えるもので、そこに私は完全にハマってしまいました。
成果達成だけがアフィリエイトのゴールではないはずだ
正確なユーザー像を把握する重要性を理解する一方で、当時ASPで扱っていたデータはアフィリエイトに関するものだけ。洗い出せるユーザー像に限界があり、次第に物足りなさを感じるようになっていっていきました。
また、現場で手を動かしながらアフィリエイトの可能性を考えていくうちに、成果達成だけをゴールに据えてしまうとアフィリエイトに未来はないとも考えるようになっていきました。持続的に買い続けてもらわなければ商品にも企業にも未来はありません。購入にまで繋がりそうな潜在層を生み出す施策というのも展開していくべきだし、そうしたニーズを生み出すことが得意なリスティング広告やディスプレイ広告と連動したアフィリエイト広告の施策を提案していくべきだと思ったんです。
幅広いデータを活用することで精度高くユーザー像を捉えたり、新しい需要を生み出すための提案ができるんじゃないか。アフィリエイトにはもっと上があるはずだという期待感もあったので、ASPの中でアフィリエイトだけを追求していくことに窮屈さを覚えていきました。
上を目指すために必要だった距離感
ただ、自分がアフィリエイトの上を目指していくには当時持っていた知識や経験だけでは不十分であることを理解していたんです。将来的にアフィリエイト広告が認知や興味関心の想起で活用できるようになったとしても、広告主にリスティングやディスプレイとの違いや比較した上でのメリットなどは話すことはできませんでしたから。
デジタルマーケティングの全体観を理解した上でダイレクトの施策を提案できないと話にならないと思いました。デジタルマーケティングの中でアフィリエイト広告がどう機能し、効果を発揮するのか。それを語れるようになるためにも他広告の知識や言語を理解していないと、結局はスケールの小さい提案になってしまう。自分自身の成長のためにも、一度外からアフィリエイトを見てみてみようと思い、ASPから飛び出しました。
それから約2年程、リスティングやディスプレイの動きを事業会社で学んでからCARRACへと入社しました。身につけてきたデジタル広告の知見をあますことなくアフィリエイトに還元でき、尚かつ購買欲求を増やし続けるチャレンジングな施策を提案できるのは、様々なデジタル広告を展開できる理店でないとできないと思っての判断です。
アフィリエイトの未来を誰も知らない
CARRACに入社してからも新しいプラットフォームが誕生したりとアフィリエイト広告を取り巻く環境は現在進行系で変化し、その分可能性も広がっています。これまで同様、まだまだアフィリエイトに飽きそうにありません。
今でもプレイヤーとして案件対応をしています。クライアントが保有している広告施策全般のデータを共有してもらい、ASPにいた頃よりも精度の高いユーザー像の把握ができています。今年で入社して3年目です。コロナ禍で広告業界を取り巻く環境は厳しくなっていますが、幸いなことに毎年昨対比を上回る売上が出ています。手をかけたらかけた分だけ結果がでてくれて嬉しいです。
グロースデザイン部部長としては、クライアントにアフィリエイト広告の価値を正しく理解してもらい、パフォーマンスを発揮する高品質な提案ができるような体制作りに取り組んでいます。まずは社内を整える。その後に、CARRACが企業としてもう1段階成長していけるような挑戦を構想中です。
広告代理店、ASPを含め、まだアフィリエイト広告の未来についてどこも正解を出し切れていません。だからこそCARRACがアフィリエイトの次の形を提示できる組織になるべきなんじゃないかと思っています。アフィリエイト広告も、CARRACも、そして自分自身も今後変化していくと思うと楽しみです。
picture:ニッパシヨシミツ