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広告担当者が押さえておくべき基礎知識編

(カラッコ)イシタニさん!アフィリエイトについて教えて下さい!
(イシタニ)カラッコ!?突然どうしたの?
(カラッコ)イルカさんに「アフィリエイト広告ってわかる?」と聞かれて見栄っぱりが発動しちゃったんです。本当は何もしらないのに、わかるよって答えたらアフィリエイトの広告運用担当に任命されてしまいました。困っている僕にシャクレアゴさんがアフィリエイトと言えばイシタニさんだよと教えてくれたので飛んできたってわけです。
(イシタニ)それは困ったことになったね。カラッコはアフィリエイトについてどれくらい知っているの?
(カラッコ)うむむむ......ブログで商品の記事書いて、検索上位にでるようSEO対策して、クリックしてもらうとブロガーにお金が入って、みたいなイメージです。あと、アフィリエイトで検索したら「=怪しい」「危ない」って関連キーワードにでてきました。たしかに大げさだったり嘘を書いていたりするような、グレーがかった印象を持ってます。トラブルになって怒られちゃうのは僕なので、ちょっと手を出すのが怖いです。
(イシタニ)なるほど。一般的なアフィリエイトのイメージみたいなものは把握しているんだね。確かにそうした方は広告担当の方は多いかもしれないですね。わかりました! まずは広告主の視点からみたアフィリエイト広告の特徴についてお話ししましょう。SNSが普及したことでアフィリエイトでできることが一昔前から広がっていて面白いんですよ。それから、アフィリエイト広告の安全面がどうなっているか解説します。
(カラッコ)ありがとうございます!デジマの専門知識もあまりないので、専門用語とかカタカナも噛み砕いてもらえると嬉しいです。

アフィリエイト広告とは

 アフィリエイト広告では、広告主とアフィリエイター間で「どんな成果に」「いくら払う」かについて合意がなされてから広告が掲載されます。掲載後、アフィリエイターが成果を達成した場合にのみ広告主は報酬(広告費)を支払います。
 このことから、成果(=何に)に対して広告料(=いくら払う)の支払いが発生する取引手法を採用した広告のことをアフィリエイト広告、もしくは成果報酬型広告と呼びます。

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「費用対効果が高い」は本当か?

 広告主とアフィリエイター間で決める成果には「CPA(顧客獲得単価)」(※1)という指標がよく用いられます。

(※1)CPA(Cost Per Acquisition)
商品購入や会員登録などの、利益につながる成果を1件獲得するのにかかるコスト。Cost Per Acquisition(Acquisition=獲得)の略。顧客獲得単価。
CPAは、顧客獲得の為に何らかの施策を行った際に、その施策にかかったコストを、獲得できた成果件数で割って算出する。
(引用:http://www.okuramkt.com/dic/effect/cpa.html)

 解説内の「利益につながる成果」とは商品購入、会員登録、資料請求、セミナー参加申し込みなどです。広告のクリック数や表示回数を指標とするよりも、広告がユーザーにどのようなアクションを起こさせたのか、広告がのような利益貢献を果たしたのかが明確です。
 こうした具体的な成果が報酬の支払い条件として設定された上で成果達成すれば広告費を支払うし、達成しなければ支払う必要がなくなるため、アフィリエイト広告は費用対効果が高いと言われているんです。

 最近では、主にクリック数やimp数(※2)によって費用が発生する検索連動型広告(※3)やディスプレイ広告(※4)などでも広告成果指標としてCPAが用いられるようになってきました。いずれはWeb広告全体でCPAが当然のように用いられる日もやってくるかもしれません。そうなると、アフィリエイト広告だけが突出して費用対効果が良いとは言えなくなってしまいます。
 もしそうなったとしても、アフィリエイト広告にはまだ他Web広告にない特徴があります。そのひとつが第三者訴求が可能であるという点。そしてもうひとつが、様々なプラットフォームに展開できるという点です。

(※2)imp
インプレッション(impression)の略。Web上で広告が表示された回数を指す、広告管理の際に用いられる指標。
(※3)検索連動型広告
インターネット広告の一種で、検索エンジンで一般ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示する広告(テキスト形式)である(サーチエンジンマーケティング)。「検索キーワード連動型広告」、「検索広告」、「検索キーワード広告」「リスティング広告」、またはクリック毎に広告主(クライアント)の費用が課金されること(クリック課金(PPC:Pay Per Click))から「P4P(Pay for Performance)」などとも呼ばれる。
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%9C%E7%B4%A2%E9%80%A3%E5%8B%95%E5%9E%8B%E5%BA%83%E5%91%8A)
(※4)ディスプレイ広告
テキスト、画像、Flash、動画、および音声で作成されたバナーを通して配信される、インターネットウェブサイト、アプリ、ソーシャルメディアでのグラフィック広告のこと。ディスプレイ広告の主な目的は、サイト訪問者に一般的な広告とブランドメッセージを配信することである。
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E5%BA%83%E5%91%8A)

アフィリエイト広告の特徴①第三者訴求

 アフィリエイター(メディア)が商品の宣伝や販促を行う際、第三者の視点から商品の感想や特徴、個人的な意見も含めて生活者へ発信します。「広告やPR記事は読まない/読みたくない」という生活者が多い今の時代ですが、口コミに近いような客観性のある情報というのはユーザーに比較的受け入れられやすく、消費者の購買活動に与える影響も大きくなっています。加えて競合商品との機能の違いを具体的に解説するなど、広告主主体では決してできない形式で商品紹介を行うことも第三者だからこそ可能となります。
 この第三者訴求というのはアフィリエイト広告唯一のもので、他Web広告との決定的な違いでありメリットです。

アフィリエイト広告の特徴②TV以外全てのプラットフォームで展開できる

 アフィリエイターは自分のメディアに設置したコンテンツ内に含まれるアフィリエイト広告をユーザーにクリックしてもらうだけでなく、購入や申込みなどのアクションを起こしてもらわなければ報酬を得ることができません。そのため、アフィリエイターは良いコンテンツを制作することはもちろん、コンテンツにアクセスしてもらうための集客施策にも力を入れています。

 アフィリエイト=SEOというようなイメージをお持ちの方も多いのではなないでしょうか。間違いではありませんが、アフィリエイターにとってSEOは検索エンジンを活用したメディアへの集客施策の1つでしかありません。   今では検索エンジン、Youtube、SNS、ポイントサイトなど、TVを除く全てのプラットフォームがサイト流入への導線として活用されています。SEOとSNSを併用しているとか、You Tubeに特化したアフィリエイターというのも誕生しているんです。

アフィリエイトの仕組みと出稿までの流れ

  アフィリエイト広告がメディアに掲載されるまでの流れと、お金の流れを簡単にまとめると下の図のようになります。

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 通常、広告主はASPを介してアフィリエイターに広告を掲載します。
 ASP(Affiliate Service Provider)とは広告主とアフィリエイターを仲介する会社です。膨大に存在するアフィリエイターを取りまとめ、広告主から集めたアフィリエイト広告をアフィリエイターに配信するという基本的な役割の他にも様々な機能を有しています。

ASPの役割①メディアと広告主のマッチング

 ASPは広告主から提供された広告をアフィリエイターに配信します。この際、広告主は商品と親和性の高いメディアに広告を掲載してほしい、アフィリエイターは自分の専門領域と合致した広告を掲載したいと考えます。化粧品の広告を金融メディアに掲載しても成果は出にくいし、アフィリエイターからすれば成果が出ない=報酬がもらえないのでメリットがないですよね。
 このメディアと広告主のニーズを合致させるために、ASPは様々な工夫をして広告主に魅力のあるメディアを集めます。アフィリエイターへは広告主から案件を集め、掲載できる広告の選択肢を複数提示してあげます。どちらか一方に偏っていては互いのニーズを満たすことはできないので、広告もアフィリエイターも潤沢に揃えることで双方にメリットのある状態をつくっているんです。

ASPの役割②潤滑油としての機能

 希望する広告を出したい広告主と、商品理解を深めて良い発信がしたいメディアの間に立って調整するのもASPの役割です。
 ユーザーへの訴求力が高いコンテンツを制作するため、開発担当者に話を聞きたいというようなアフィリエイターの要望を実現すべく広告主と交渉したり。記事ではなく動画紹介で、SNSでバズらせてほしいといったような広告主の希望を実現するためにコンテンツ作成のための機能を用意したり、アフィリエイターに掛け合ったりというようなこともしてくれます。

ASPの役割③メディア教育

 メディアへ向けてサイトの運用方法やトレンド発信、業界情報を発信しているASPも少なくありません。メディアの成長は成果達成に直結しますし、成果をだせる健全なメディアと繋がりのあるASPは広告主にとっても魅力的です。ある程度ユーザへの影響力を持つようなアフィリエイターには、ASP内部に担当者がつくなんてこともあるようですよ。

YouTuberの所属するASPも登場

 アフィリエイト広告が対応しているジャンルは幅広く、展開されるプラットフォームも増え続けています。その全てを完璧に網羅しているASPというのは現状存在しておらず、会社によって得意領域も異なります。最近では、YouTuberやインフルエンサーに強い新興ASPが台頭してきていたりしますので、事前の調査やヒアリングをしてからASPを選ぶことが大切です。

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認知拡大から購入まで一貫して行えるアフィリエイト広告

 最後に、アフィリエイト広告がどのようなユーザーにアプローチできるのかをお話しします。
 SEO全盛期の頃は商品に興味があり、他の人の意見を参考にしたいユーザーが検索エンジンを介してブログや個人サイトに集まっていました。マーケティングファネルでいうと比較検討層の方々です。既に購買意欲のある方の背中を押して、購買行動にまで引き上げることが当時のアフィリエイト広告の役割でした。

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(SEO全盛の頃、アフィリエイト広告はファネルの比較検討層に強かった)

 今ではTwitterやInstagram、YouTubeなど、新しいプラットフォームを生活者は日常的に活用しています。検索エンジンではなくSNSで情報収集をしたり、インフルエンサーが影響力を持つなど、情報との関わり方も変わりました。
 「アフィリエイト広告の特徴②TV以外全てのプラットフォームで展開できる」でもお話したように、アフィリエイターは様々なプラットフォームからサイトへ集客を行っています。中でもSNSは掲載できる文章量や画像に制限があるため、購買行動にまで繋げるハードルは非常に高いです。しかし、潜在層へ商品ニーズの提示、興味関心を醸成するのはSEOよりも得意としています。
 今ではSNSでニーズを提示しメディアへユーザーを集め商品理解の促進・購入にまで繋げるという、認知~購入まで一貫して行うアフィリエイターも増えています。

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(SNSの登場により、全てのファネルにアプローチできるように)

まとめ

■ アフィリエイト広告はCPAを指標にしているため費用対効果が高い
第三者訴求ができるのはアフィリエイトだけ
■ ASPによって得意とするジャンル、施策が全然違うため事前に確認しておくべき!
■ 買ってもらうことだけじゃなくて、商品を知ってもらうことにも活用できる

(カラッコ)こんなに色んな場所にアフィリエイト広告が出回っているとは思いませんでした。ネット上にアフィリエイト広告のない場所がなさそうです。
(イシタニ)そうだと思いますよ。大手ネットショッピングサイトも自前のアフィリエイトシステムを構築してアフィリエイターを抱えていたりするほど非常に強力な広告手法です。生活者に与える影響も大きいからこそ、安全管理や適切な運用をしていく必要があるんです。
(カラッコ)そうでした、アフィリエイトの良いとこばかり聞きすぎて騙されるとこでした!一番大事な安全性についても包み隠さず教えて下さい!

(つづく)

picture:ニッパシヨシミツ