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Life is a journey ~バングラデシュで見た、人間の本能~

大学3年生の時、インドからの寄り道で一人でバングラデシュに行ったとことがある。インドを始め途上国には老若男女問わず物乞いが多い。そのころ1ヵ月以上インドにいたからそのような光景は慣れていた。

もちろんバングラデシュでもある。アジア最貧国と言われている国だ。ダッカ シャージャラル国際空港 (DAC)に着いたときはそれほど特異なことは感じなかった。が、街に出てみると子供の物乞いがすごい、しかも執着がすごい。インドとは比べ物にならない。私のような外国人を見つけるとすぐに近寄ってきて子供ならはではに甘えてくる。正直心は痛いが私は無視することができる。なぜならお金でも食べ物でもなんでも渡すとそれ以上に要求してくる。あまりに優しくすると大人にも目を付けられ、危険な目にあう可能性が高いのだ。それにしてもバングラデシュの子供達はすごかった。私は無視といっても100%無視をする。あ、はいはい、ごめんね、あげれないんだ、なんてそぶりも見せず、目も合わせずしがみついてくる手を振り払う。国によるが大体5回くらいそんなやり取りをすると諦めて離れていく。少しでも優しい隙を見せれば付いてくるが。でもバングラデシュの子供たちはすごい、ずっとついてくる。20分以上そのやりとりを続けないと、もしくは怒鳴っているに近いNOを言わないと離れない。そんな光景をみて周りの大人たちが止めるほどだ。

正直なんでこんなに必死なんだろう?と思った。お腹がすいた、ただその欲を満たすためにこんなに必死にしがみついてくる。もう慣れているんだろう、周りの目なんて気にしない。

人間の生きる本能を目にした気がした。目の前の欲を満たすことだけに行動のを全てかけているのだ。だからドラック・レイプ・窃盗などの犯罪が後を絶たないのだろう。でも彼らはその生活しかしない、その生活しか知らない、生きることをやめない。私達観光客がどんな国に住み、どんな生活をしているか知っているのだろうか。ただお金を持っている外国人との認識のだけだろうか。

私はこんなに途上国に行っているのに、彼らの本当の気持ちを知らない。女一人だから危険から逃れることを最優先している。でも、彼らの心を知らずに旅している意味がいるのかと思った。

そして、この時飲食店に入ってハンバーガーを食べた。店の外で私が出てくるのを待っている少女がおり、ニコニコしながらずっと見てくる。あまりにも可愛い笑顔で見てくるのでこちらも笑顔になってしまった。お金が欲しい、食べ物が欲しい笑顔だというのは分かっている。でもそんな少女と笑いあっている自分が何者が分からなくなってきた。私は何のために生き、何をしに来たのか。この子を振り払う権利が私にはあるのか。

上の方で記した通り、物を渡すことで危険な目にあうこともある。でも笑顔で通じ合ってしまった少女に、思わずハンバーガーをあげた。とても嬉しそうだった。

この出来事は私には3年以上経った今でも深い思い出になっているが、あの少女にはハンバーガーが食べれたことが全てであり、その晩に、次の日には同じことをするんだろう。いや、彼女にとって何か良い方向に持っていけた可能性は0ではない。いや、人間はそんなすぐには変われない。この後の少女を知る由もない。

私は一人で旅をすることに満足していた。自分で決め、自分で道を切り開く、「私による、私のための旅」。それでいいと思う。でもやはり人間の心が知りたい。人と心を通わせてこそが旅だ。

人生は旅だ、それは人ひとりひとりによって作られる物語。私は自分だけの物語には飽きてしまったのかな。また違う旅がしたいな。


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