『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第39話:自殺をひたすら考える
3月5日午後2時54分
都内某所
ボク(この橋から川に飛び込んだら、どうかなぁ……)
ボク「………………」
ボク(次に信号が変わった瞬間、思いっきり飛び出せばこっちに責任はないか……)
ボク「………………」
ボク(歩きながら、息を止め続ければどうなるだろう……)
ボク「………………」
ボク(このまま車道に倒れ込んだら……)
ボク「………………」
ボク(お風呂上がりの血行が良い状態で出血したら楽かなぁ……)
ボク「………………」
ボク(この歩道橋から、転落すれば……)
ボク「………………うぅ」
うつ病で最もつらかったのは、自殺を考えてしまうことです。
こればかりは、薬を飲んでいても抑えることはできませんでした。(実行に至らなかったということは、薬が効いていたような気もしますが。)
家に居ても、外に出ても、目に付くもの全てが凶器のような感じになり、全てマイナスなことばかり考えてしまいます。
そんなときは、病院に連絡してすぐに診察を受けるか、もしくは、電話で診察を受けるか、とにかく専門医からアドバイスをもらうようにしていました。
ただし、病院が休みの日や空いていない時間帯については、どうすることもできないので、一人でひたすら耐えていました。
その後、24時間対応している“いのちの電話”を知ったので、そこに電話したりしました。(“いのちの電話”は時間帯によっては、つながらないことも多く、それが自分を追い込むことになったりもしました。)
その日はいつもと違って、どうしても起きられなかった日でした。
昼頃に、朝食を食べてながら、なんとなく胸の、全ての肋骨に重石がぶら下がっているような圧迫感を感じました。
食事が終わったので、少し、気分転換にと、外出することにしました。
いつものように、歩こうとしたのですが、足が少し重い気がします。
「歩いていれば、そのうち、なんとかなるだろう」
と、少しずつスピードを上げます。
「う、うぅ……」
どうしても、足取りが重く、ゆっくりしか歩けなくなりました。
トボトボとしか歩いていないのに、息切れがします。
とうとう歩くことができなくなり、歩道と車道の境界にあったブロック石にしゃがみ込みます。
(このまま車道に倒れ込んだら……)
「……た、倒れ込んだら、死ぬじゃないか!」
心の中の自分と、生身の自分との戦いが続きます。
(あの歩道橋に昇ろう)
「あれ、なんで歩道橋の上で立ち止まってるんだ?」
(この歩道橋から、転落すれば……)
「な、なにやってんだ、さっさとここを渉らないと!」
気がつくと、橋を歩いていました。車道寄りは危険だと思いそこから離れると、今度は川に近づきます。
「そうだ、このハシを渉るべからずだ!」
そうして、橋の真ん中を歩いて渉りきりました。
生まれて初めて、一休さんのとんちが役に立った瞬間でした。
真ん中をフラフラと歩き、行き交う他の通行人からジャマに扱われますが、死ぬよりはマシです。
この状態は危険だなと感じたので、すぐにタクシーを捕まえ乗ります。あとは、このまま病院に行くだけなのに、
(急にドアを開けて、車から落ちたら死ねるよな)
という心の自分と戦いながら、車から出ないように座席の足下に入り込みます。
運転手さんはものすごくビックリして声を掛けてきますが、こちらは生きるか死ぬかの瀬戸際、そんなの関係ありません。
うつ病と診断されてから、半年ぐらいはこういった状態に陥りました。
その後、薬が効いてきたのか、いまではほとんど自殺を考えることはなくなってきます。
それにしても、あの頃は、とても苦しい時期でした。
被害者のボクだけこんなにつらい想いをしているのに、その頃の加害者はというと……。
今日ものん気に飲み会を強制主催したり、他の人にパワハラしたり、業者をいびったりして、相変わらずだと風の噂で聞きました。
いま、こうして文章を書いていて、なんとも不条理だなと憤り……というか、端的に言うと、ぶん殴りたい気持ちでいっぱいです。
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