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『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第9話:仕事中に倒れる

12月15日 午前7時2分

某企業 会議室404

 

上司「じゃあ、いくぞ」

ボク「は、はい」

上司「失礼します」

ボク「失礼します」

上司「今回は、説明の場をいただきまして、誠にありがとうございました」

ボク「ありがとうございました」

女性お客様「朝早くすみませんね。どうぞ、おかけください」

男性お客様「……」

上司「では、資料に沿って、説明させていただきます。じゃあ、頼むぞ」

ボク「あ、はい。では、説明させていただきます」

 

……………… ………………

 

12月15日 午前7時11分

某企業 会議室404

 

ボク「……なので、開発ツールのサポート終了と機器の保守切れも再構築の要因となります」

女性お客様「うーん。それはそうかもしれないけど、ちなみに、もう安くなりません?」

上司「いやー、お厳しい。でも、これが限界なんです」

女性お客様「でも、この件、サブシの貴方たち以外と取引できないの知ってるでしょう?」

上司「いやいや、何十年来の御社とのお付き合いだからこそ、お客様のご都合も重々に考慮しつつ、そこは誠実にですね……」

女性お客様「まぁ、あまり値引いて、ジャンカにでもなったら困るしなぁ」

上司「いやいや、豆板みたいなシステム、うちじゃあ、絶対ないですよ」

女性お客様「でも、今とトントンかぁ。金額が高くならないからいいかな。ちょっと、上司の意見も聞いてみますしょうか、どうです?」

男性お客様「黙って聞いとったら、そっちの都合押しつけよって、ナメとんのか?

ボク「い、いや。そんなことありません」

男性お客様「あぁ? そんなことあるやろ! 開発ツール? 保守切れ? 知らんがな!」

ボク「す、すみません」

男性お客様「謝ってばかりおらんと、ほな、お客様都合で、ゆうてみいや!

上司「………………」

男性お客様「おい、なんとかいえよ! さっきまで黙って聞とったら調子こきやがって! 全部、おまえらの都合とちゃうんか!! そっちの都合でなんでワシら、金出さなアカンねん、え?

上司「………………」

ボク(上司のお前が黙って下向いてどうすんだよ!

男性お客様「おい、聞こえへんのか!! おまえだよ、おまえ! 兄ちゃん、答えられんなら、こんな提案持ってくんなや、ボケ! はよ、逝ねや!!

ボク「!!!」

 

……………… ………………

 

12月15日 午前7時26分

某企業 会議室404

 

ボク(あ、あれ……、聞こえない……)

男性お客様「だ………………お………………のん…………………………!」

ボク(う……、うぅ、耳が……)

女性お客様「………………の………………き………………だ…………」

ボク(ぐ……、あ、頭も……)

男性お客様「…………な………………だ……………………し…………!!」

ボク「す、すみません、ちょっと席を……」

ボク(あ、頭が割れる! み、耳が聞こえない!!

 

……………… ………………

 

12月15日 午前7時29分

某企業 会議室404横廊下

 

ボク(ぐ、ぐおおおおおおおおおおおぉ! た、立ってられない

ボク「………………」

ボク「…………」

ボク「……」

 

……………… ………………

 

12月15日 午前7時43分

某企業 会議室404横廊下

 

ボク(ん……、あれ……? な、なんでここに倒れてるんだ?

ボク(え、え! ボク? 下で倒れているのは……ボク? へ? じゃあ、上から見下ろしている自分は……? う、う。あたまがいたい……

ボク(このまま誰かに見つかったら、大変なことになる)

ボク(よ、よし。なんとか力が入る……か。ん、下にいた体に戻った?……???)

ボク(なんとか、あそこのトイレまで行かないと……)

ボク(廊下の壁に寄りかかれば、なんとか行けそうだ……)

ボク「はぁはぁ……(目が……床が、ゆ、ゆがんでる……)」

ボク「うっ……」

ボク(また、倒れてしまった……。起き上がれる……か?)

ボク(ダメだ……このまま這ってでも……)

 

……………… ………………

 

12月15日 午前7時58分

某企業 洗面所 手前個室

 

ボク「はぁ……はぁ……はぁ……」

ボク(あ、頭がぐうぅ……。き、気持ち悪い……)

ボク(お、音は?)

「ジャー」

ボク(……よ、良かった、水を流した音が聞こえる

ボク(と、とりあえず、少し、ここで……)

ボク「………………」

ボク「…………」

ボク「……」

 

……………… ………………

 

12月15日 午前8時38分

某企業 洗面所 手前個室

 

???「(コンコンコン)」

ボク(! ……そ、そうか、気を失っていたか……。ノック返さないと)

???「清掃の者ですけど、はあ、良かった、誰かそこで死んでいるかと思ったよ。紙がないの? なければ扉の前においておくけど?」

ボク「だ……いじょうぶ……です」

清掃員「あと、もうちょっとしたらそこも掃除しますんでね」

ボク「は、はい」

ボク(立てる……か? あ、足は……動く)

ボク(ここを出なくっちゃ。うぅ、頭が……まだ痛い)

 

……………… ………………

 

12月15日 午前9時1分

某企業 ロビー

 

上司「お前、なんだよ、急に!

ボク「す、すみません」

上司「あの後、メチャメチャ大変だったんだぞ。オレに全部押し付けやがって!

ボク「あの、体調悪くて、今日は早退していい……ですか?」

上司「え?! まぁいいや。本当に顔色悪いし。そんなんじゃあ、次の訪問先のお客様に来てもらっても、オレがムリヤリ連れ回しているようで、印象悪くなるしな」

 

 

これが、ボクの最後の出社でした。









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