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『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第35話:妻との接し方

2月26日午後12時3分
自宅リビング


 
ボク「おなか空かない?」

妻「そう?」

ボク「いや、だって、もう12時過ぎてるし」

妻「そうね(学校じゃないんだから、そんなにキチッとしなくても)」

ボク「……じゃあ、なんか作るよ」

妻「あ、そう(ラッキー)」

ボク「ねえ、塩ってどこ?」

妻「横の長い引きだしにあるでしょ?」

ボク「あと、コショウは?ごま油は?砂糖とフライパン返しと、あと、えーっと……」

妻「あたしがするから、いいよ(はぁ……)
 
 
 
職場では、12時になったら必ずお昼の時間が始まります。

この長年染みついたこの習慣ですが、休職中も続き……ませんで、一週間ぐらいで崩壊しました。


というのは、うつ病の状態で生活していると、とにかく不規則で不安定な状態が続くのです。

まず、朝起きるが不規則。当然、寝るのも不規則。食事も不規則で、食欲は不安定。

比較的、安定しているといったら、決まったタイミングで薬を飲むことだけでした。でも、それすら、きちんとできない日もあります。

早めに気付けばまだいいのですが、次の通院日が近づいた時に、

「あれ、なんでまだこんなに残っているんだ?」

と、ようやくそこで気づくことがほとんどです。


一気に飲んで帳尻を合わせようかとも思うのですが、自分で勝手に飲む量を増やすこともできず、この取り返しのつかない状況にショックを受けます。
 

休職中、当初は、妻のしていた家事をなるべく代わりに行うようにしていました。

それは、ボクの心のどこかに、

「休んで家にいて、何もしないのは申し訳ない」

という気持ちがあったからだと思います。


だから、洗濯や掃除、料理も率先して行っていました。

でも、どれも長続きしませんでした。

例えば、こんな感じです。

ある日、料理をしていると、菜ばしを落としてしまいました。

「あ……あぁ」

床に落ちている菜ばしをしゃがんでジッと見つめて、自分を責め続けます

フライパンが焦げようが知ったことありません。

普通は、拾い上げて洗って、料理を再開すればいいだけです。

でも、それができないのです。菜ばしを床に落としてしまっただけで、心が折れてしまうのですから。

焦げ臭いにおいに反応して妻が来てくれるのですが、ボクはそれに対してイラッとしてしまいます。

通院時に、そういったエピソードを先生に話すとアドバイスをくれ、妻とは、その時の自分の気持ちに無理をしないで、接することにしました。

初めはなかなかできなかったのですが、次第に(とは言っても一ヶ月ぐらい掛かりましたが)、

「病気が良くなったら、きっとお礼をするので、いまは素直に甘えよう」

と思えるようになり、その直後、気持ちが楽になったことを覚えています。


 
思えば、休職中に、唯一続けることができたのは、妻と一緒に昼食を食べたことだけでした。

逆に言うと、それぐらいしか継続できませんでした。

 
日の当たるリビングで、妻と一緒に温かいご飯を二人で食べるのは、とても幸せでした。

同じコンビニのお弁当だったとしても、いつも職場でパソコンとにらめっこしながら一人で食べる昼食より、何倍も何十倍もおいしかったです。

治療中、妻とあまり言葉を交わすことはなかった日もありましたが、それでも一緒に昼食を食べると、幸せをかみしめることができていたと思います。
 
思えば、結婚して、子どもが出来てから、メールやSNSでは繋がってはいましたが、妻とこのように顔を合わせて接することはありませんでした。
 
これは、うつ病になって良かったことの一つだったかもしれません。











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