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『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第37話:病院との接し方

3月2日午前11時18分
××クリニック診察室


 
先生「顔色は良さそうですね。さて、今日までの一週間、どうでしたか?」

ボク「マンネリ化しているというか……」

先生「何か新しい取り組みをされてはどうですか?

ボク「新しいことですか?」

先生「もちろん、調子が良い時だけでもいいんですよ」

ボク「でも、何をしたらいいのか……」

先生「確か、お仕事はエンジニア、なんですよね? うーん、例えば、法律関係とかは?」

ボク「え、法律ですか?なんか難しそうだなぁ」

先生「以前、労災を考えていたようですし、面白く感じるかもしれませんよ。いまは、マンガでもいっぱい本が出てますし」

ボク「じゃあ、チャレンジしてみようと思います」

先生「では、そろそろ時間なので。うーん、次回の診察は少し先にしてみましょう」
 


 
うつ病で大切なのは、きちんと治療をうけることです。

このうつ病の治療、医師による診察方法ですが、他の病気の診察とは異なります。


例えば、カゼの場合、

・喉が赤いかどうかの確認
・胸やお腹の音を確認

といった“確認”を先生が患者にしてから、薬が処方されると思います。

これは、どちらかというと医師から患者への一方向です。

 
うつ病の場合、先生との“会話”からスタートします。

他の病気と異なり、医師に任せっきりでは診察が進みません。

カゼ等とは異なる双方向でのやりとりが必要となります。

そして、身体的な確認は行わず、薬が処方されます。

診察は、初診以降は長くても15分ぐらいが目安になっているようで、こちらの話が長いと、「そろそろ時間なので」と言われることもありました。

 
この診察方法について、ボクは当初、かなりの抵抗をもちました。

その日の気分にもよりますが、ケンカみたいなことになった時もあります。

「いやいや、どうして、いまの会話で薬を増やすという判断ができるんですか!?」

とか

前回、追加の薬で少しは楽になると言ってたのに、変わらないなんて、ひどいじゃないですか!

なんて感じで、病気がなかなか良くならないイラダチもあり、先生に怒りをぶつけることが多くありました。


うつ病の薬は、他の病気と違って、かなり慎重に処方されるようです。

こちらの様子を見ながら注意深く、増減したり、種類を変えたりするので、薬が効き始めるまでは割と時間が必要です。


もちろん、先生は、その説明をボクにきちんとしていたようですが、ボクは、とにかく頭の中で、「通院すれば、すぐに治るんだ」と思い込んでおり、少しでも調子が悪くなると、先生に怒ってばかりいました。

ただ、会話が中心の診察だけに、自分の思ったことや感情を抑えて先生に伝えなくて良かったとも思います。

ウソの感情で診察されても、間違った診断されるだけですから。(そもそも、そんな余裕は当時ありませんでしたが。)
 

病院の帰り道、本屋に寄ると、確かに法律関係でマンガ本がありました。

いままで触れていなかった分野だけにハマりました。何冊か読んだ後、せっかくなので、法律関係の資格を取ろうと思い、ビジネス法務検定の3級を受験を目標にすることにしました。(“合格”を目標にしないところがポイントです。)

試験勉強は本当に毎日少しずつしかできませんでした。

最初は、本を開いて読んで頭痛と吐き気がしてきたから、それでおしまいって日がほとんどです。

それから、数分ずつですが、時間を増やして集中することができるようになってきました。


少しでも本を開けば、カレンダーに○を付けてます。

そうして○のマークが続いていくと、途切れないように努力します。

調子が悪い日でも、昨日読んだページを少しだけでも読めば○といった感じで、とりあえず、毎日続けていきました。


そして、試験当日。試験は二時間。なんとか席にずっと座って問題に取り組むことができました。

結果は触れませんが、それよりも、試験勉強を毎日して、本番試験を受けたことが自信となりました。

先生がボクに伝えたかったのはこういうことだったのかもしれません。










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