働いているおとなにこそ「ジェンダー」をきちんと知ってほしい!
こんにちは。ひとケアワークLab.の巽 真理子(たつみ まりこ)です。
「ジェンダー」はSDGsの第5目標となって注目され、ジェンダー・ギャップ指数が先進国で最下位であることが日本の社会課題となっています。
ですが、いま働いているおとなたちは残念なことに、学校で「ジェンダー」をきちんと学習したことがない人が多いのです。
私と「ジェンダー」の出会い
私は現在54歳。学校で「ジェンダー」を習う機会が全くないまま、男女雇用機会均等法施行後に社会人となったので、「男女共同参画=男並みに女も頑張ること」だと誤解したまま働いていました。
そんな私が「ジェンダー」と出会ったのは、子どもを産んで、専業主婦になってしまってから。託児付きの公民館講座に参加したら、それがたまたまジェンダーの講座でした。
その頃の私は、初めての子育てが理想通りにいかず、睡眠不足の日々が続いて、精神的にも身体的にもかなり参っていました。なのにまだ「良い母親でいなきゃ」と思い込み、言葉の通じない赤ん坊相手に愛想をふりまき、トイレに行っても笑顔が張りついている状態。そう、育児ノイローゼでした。
そんな私がジェンダーの講座に参加してわかったのは、「私が『良い母親でいなきゃ』と思い込んでいたのは、社会が作ったジェンダーのせい」だということ。そして「『良い母親』でなくても、私は自分を大切にしていい」ということ。
「ジェンダー」を知ることで、私は「良い母親」の呪縛から解放されました。睡眠不足は変わらなかったけれど、精神的には元気になりました。
ジェンダーを学ぶ機会がないおとなたち
私はたまたま、地元の公民館講座でジェンダーを学ぶことができました。
その後、もっと深くジェンダーを知りたいと思って大学院に入学し、ジェンダーを研究する道に進みました。
今でも市民講座として、たくさんのジェンダー講座が開催されていますが、そういう講座に参加するのは、もともとジェンダーに興味がある人たち。
働いている人たちは忙しくて、なかなか市民講座に参加する時間はとれません。
でも、ジェンダーの知識は、働く人にこそ知ってほしい「常識」なのです。
きちんと「ジェンダー」を知ることが、女性活躍やDEIの第一歩
ジェンダーを知ると、
・ケア(子育てや介護など)を担った途端、働くのが難しくなるのはなぜ?
・なんで日本人は、働き過ぎちゃうのか?
・ハラスメントが起こるのはなぜ?
などなど、女性活躍やDEI(Diversity, Equity & Inclusion)、働き方改革で課題とされていることの根っこが見えてきます。
たとえば、働き方。
日本で「あたりまえの働き方」と考えられてきた長時間労働は、1970年代の高度経済成長期に定着した働き方で、「妊娠・出産や家族のケアをしない男性」を基準としています。この「長時間労働をする男性」を支えるのは、家庭で家族のケアを一手に引き受けてくれる「専業主婦の女性」。これが、性別役割分業です。
そう、長時間労働を支えているのは、実はジェンダーなのです。
だから、職場研修に「ジェンダー」を学ぶ機会を取り入れよう!
ジェンダー視点で女性活躍やDEI(Diversity, Equity & Inclusion)、働き方改革について考えると、本当に変えないといけないところが見えてきます。
だから、「ジェンダーの知識は、働く人にこそ知ってほしい『常識』」なのです。
働く人みんなが学ぶ機会といえば、職場研修。
ここでおとなたちが、ジェンダーについてのきちんとした知識を学ぶことができれば、組織を、そして社会を変えることができます。
まずは、職場研修に関わる専門家(企業研修の講師や、研修を企画する人事関係者など)に、このことを知ってほしい。
そんな想いで、ひとケア・ワークLab.は活動しています。
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