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母との日々

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2020年6月の記事一覧

サイタ サイタ サクラガ サイタ

サイタ サイタ サクラガ サイタ

まだ緊急事態宣言が出る前の四月の最初の日曜日のこと。今年はさくらの時期が長く、その日もまだほとんど散り始めていなかった。

「さくらの葉が大きくなって花が隠れて見えないの」と母が昼御飯の時に窓の外のさくらを見ながらいった。

実家のさくらは葉桜なので、例年だと葉の方が先にでるのだが、今年は陽気のせいで開花した時はまだほとんど葉がでていなかった。でも葉の成長は早いので、みるみるうちに葉のほうが多く茂

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メタボ一直線

メタボ一直線

テレワークになってひと月で三キロ太り、これではさすがにヤバイと思って朝暗いうちから起き出して川沿いの道を歩くようになった。最初は平日だけのつもりだったが、それではまったく体重が減らないので、土日も毎朝四時に起きて歩きに出る。

それでも体重は減らない。食べる量を減らして、もっと本格的に運動しないとだめだろう。

でも母が食事を作る実家では食べる量を減らすのには限界がある。母はおやつにと言って、カッ

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お施餓鬼のハガキ

お施餓鬼のハガキ

お寺からお施餓鬼のハガキが届いたと母が言う。毎年八月四日に決まっていて、父が亡くなる数年前から、その日だけはわたしが休暇を取って出席することにしていた。今年は新型コロナのことがあるので法要はなく、卒塔婆だけを各自が取りに行くだけだという。

「お父さん亡くなって何年だっけ」と母が言う。

(いや、それはふつうはこっちのセリフだろ)と思いながら、「七年だよ」と答える。2013年の7月だから間違いない

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スマホが壊れた話

スマホが壊れた話

夜中、たぶん午前一時半から二時半の間くらいだったと思うが、スマホの画面が光っていて、暗証番号を要求していた。なにかわからないがリスタートしたのだな、とボンヤリ思いながら暗証番号を入れたが、その後の一時間くらいして気が付くと、キャリアのロゴが表示されたままで固まっていた。

まだ午前三時を少し過ぎたくらいだったので、もういちど寝ようとしたが、気になって眠れない。起きてリスタートしようとしたが、電源ボ

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