見出し画像

キャリア教育と新卒採用に関する2つの矛盾点

前回はキャリア教育という言葉の誕生から、キャリア教育の意味について考えてきましたが、今回のテーマはキャリア教育がなぜ登場をしたのか。

ちょっと時代背景から話をしていきましょう。
高度経済成長期が終わり、バブル時代があり、バブルが崩壊をして失われた20年とかいわれる時代がありましたね。

キャリア教育が登場し始めたのは、2000年前後なんです。

当時の私はちょうど新卒の就職活動をするのか、留学をするのかを考えていた時期です。

当時は今と違ってインターネット環境もまだまだ未発達であり、電話回線を使っていた時代。
23時から翌日5時までの間、ADSLでかけ放題とかというサービスがあった頃。

当時の新卒学生の就職状況というのは、60%台の就職内定率であり、内定がもらえなくても当たり前だった頃です。

大学院への進学をするのか、わざと単位を取らずに留年するなど、いろいろな選択肢が当たり前のようにあった時代です。

年代でいうと団塊の世代ジュニアの30〜40歳ぐらいの人が大学生で就職活動を必死にやっていた時代のお話。

その頃からマスコミがいいはじめたことが、35歳以下の若年者の就業率が
先進国でも悪いということが明るみになり、永田町の先生方も就労支援をと声をあげていた時代です。

新卒採用の凍結に伴う就職難、フリーターの増加、ニートの増加で税収が減る、年金の徴収ができないなど、いろいろな先生方、省庁の官僚のみなさんにも考えがあったかもしれませんね。

税収と年金収入がなくなると制度が崩壊するので、政府レベルで対応を模索すると、文部科学省が「キャリア教育の推進」を定義づけをする。
そうしたら、都道府県及び市町村の教育委員会の指導、助言を通じて、学校の現場での教育がはじまった。

そうして生まれたのがキャリア教育

学校側から事情などを踏まえて見てみると、キャリア教育という言葉がなかった時代から、これまでの教育の中に「将来への準備教育」でキャリア教育に取り組んできた。

ただし、将来への諸準備のうち、「働くことへの準備」についての教育が弱かった。
意識や構えの形成、具体的な職業能力の形成は特に弱かった。

なぜ、その分野が弱点だったのか。
理由は新卒採用で日本的雇用に寄りかかっていたからである。

経団連と政治家が短期決戦へと変化させる

3年の10月からエントリー開始、4年4月から選考開始という時代から、現在では大きくルールが変わってきています。
ここ20年でどんどん後ろ倒しになったのでしょうか。
一つは学業優先という理由からです。
今の学生と私たちが学生の頃と比べて、学生の質が変わったのかというと、全く変わっていないと言えるでしょう。

それよりも逆に優秀といってもいいのではないでしょうか。
テクノロジーの進化、情報量も比べ物にはなりません。

ただ、一つだけしいてあげるとしたら、金太郎飴みたいな学生が増えたことぐらいでしょうか。

情報が多くあり、玉砕混合になっているからかもしれませんが、なんでもマニュアル通りというか、「あっ!聞いたことがあるフレーズだな。」とか
「おっ!就職サイトに掲載されている面接対策通りじゃないか」と思う学生が増えてきたことです。

そういう学生に限って、「コミュニケーションに自信あり」という典型的なパターンが当てはまってしまうんです。

コミュニケーションの意味を取り違えていたり、自分流に解釈をしてしまう学生さんが多い。

意識が高い系の学生とも言われる人たち

悪いことではないんだけど、台本通りに面接は進まないし、人と人だから感情が伝わってこないことが多い。
隙を見せたくないから調べて切り返せるトークができればいいのだか、できずに、黙り込んでしまう学生も多い。

面接官はどこを見ているかというと、話のつじつまが合っているかどうかをまず見ています。
学生が言ったことに対して、?(question mark)が出たら、そこをまず聞いてみるというスタンスです。

そこで納得が得られる場合もあるのですが、話を盛る学生さんもいることが多い。
そうするうと面接官は?→嘘ではと疑いを深くします。
こうなると手に負えない状態です。
俗にいう圧迫面接がはじまってしまう。

圧迫面接が始まる理由は学生さんの話に疑いを持った時か、面接担当官が昔のやり方で面接をするかのどちらかです。

後者の場合は全く社員教育がなっていないことを露呈しているのですが、
前者の場合は特に収集がつかないこともあります。

最近ではソーシャルネットの発達によって、企業の面接情報や面接担当官の名前などを公表をされるケースがリスクとしてあります。

学生さんにも注意をしておくと、場合によっては名誉毀損などで法的措置を
取られてもおかしくないということを肝に銘じておいてください。

そうなると法廷闘争の消耗戦になってしまうと、企業側も学生側も大変なことになります。

とある大手企業では事前に新卒研修の情報が漏れていたことがのちに判明したことがあったそうです。
内定者同士のコミュニティーを作り、その中でのやり取りの中で、一番最初に新卒研修に参加をした学生さんの書き込みがきっかけで、研修内容が事前にわかってしまったことで、大変混乱をしたそうです。

そのことが判明した後、事態を重く見た企業側と学生側で話し合いが持たれたと聞いています。

ソーシャルネットは企業の人事担当は見ていますというのは、こういうことからも言えることなんです。

インターンシップで企業に行く時も注意してください。
ソーシャルネットワークを一度整理することをお勧めします。

思いっきり脱線をしましたが、本題へ戻りますよ。
日本の雇用制度というのは、実にうまく法律に守られています。

書類上問題がなければ、解雇される理由にはならない。
ちゃんと出勤をしていれば、勤務態度がどうであれ、解雇される理由にはならない。
能力が著しく劣る場合はちゃんと明確な理由をつけられない限り、解雇をすることができない。

また、採用については新卒採用がメインになります。
理由は簡単です。
素直で謙虚で実直だから育てやすい。
自分たちの会社の色に染めやすいから。
学校卒業後すぐに就職するのが当たり前になっています。

例年、10月1日に内定式を行い、翌年4月1日前後に入社式をやるのが、
古典的な日本企業の通常行事です。
採用活動は9月末までに終わらせる企業がほとんど。

しかし、選考期間の後ろ倒しが始まると、短期間で大量採用をしないといけないシステムになる。

そうすると面接官は必要になりますし、内定者をフォローするためのリクルーターも必要になる。
いままで以上に採用費用が膨大になるのは目に見えています。

学生からみると、本命企業と滑り止めの企業の説明会がバッティングしてしまったりすると、たいていの場合は、大手企業へ集中するため、大手企業が有利、中小企業が不利という構図ができています。

学生は自分がよく使う会社や新聞紙面で見かける企業を選考対象としてみることがほとんどである。

採用担当者は知恵を絞り、本気で考えないと採用ができない時代がすぐそこまでやってきています。

採用担当者にこれから求められるスキルは、商品開発力、マーケティング力、広報宣伝力、フットワークの軽さは絶対に必須条件になります。

日本企業の場合、昔は就職=就社ということで、入った会社には定年までいることが当たり前でした。
年功序列でボーナスも毎年増えていく賃金体系、出世もどんどんしていくことが当たり前の時代。

それが、バブルが崩壊して、終身雇用、年功序列賃金が崩壊する。
新たに、実力主義の賃金体系、人事制度に変わった。
チームから個人の力が問われる時代になった。

ここ数年、個人の力で限界を感じた企業が、高付加価値人材に注目をするようになった。
個人での力は限界に近づいており、高度経済成長期のチームを作れる人材を
見つけようとして必死になっている。

日本企業の経営者の皆さんが必死になって、女性の活用や若年者の活用を本気で考えない限り、行政、教育機関が色々な手段をとったとしても、
働く世界が変わることはないだろう。

次回は、キャリア教育の問題点についてです。

よろしければサポートをお願いいたします!頂いたサポートについては、製作費として使わせていただきます。