【製造業向け】ユースケースから考える、AI導入の具体的な進め方
今回はAI導入を具体的にどのように進めればいいのかについて、お伝えしたいと思います。
DXとも関わりの深いAIは、昨今のバズワードの1つでもあり、様々な企業で活用され始めています。しかし、そんなAIの導入において、具体的な進め方がわからない、といったお悩みを抱える方も少なくありません。
この記事では製造業の様々な困りごとを、AIの活用によって解決するユースケースに触れながら、製造部門にてAI導入の準備を進めるためのステップをご紹介いたします。
製造業の組織構造と課題
製造業と一括りに言っても、その中身は製造部門や購買部門から経理部門、研究開発部門まで様々あり、多種多様な構成で組織が成り立っています。当然、各部門によって業務も異なるため、それぞれに抱えている課題も様々です。
製造部門における具体的なユースケース
ここでは、特に製造現場の業務課題を具体的に取り上げて、AIを活用することでそれらの課題をどのように解決できるのかをご紹介します。
2-1製造部門によくあるAI活用の業務課題とユースケース
業務課題とそれに対するAI活用の解決事例では、例えば下記のようなケースが考えられます。
・生産技術
<課題>設備の月次点検を行う際に、ベテラン社員の五感に頼って設備の音や振動をチェックしており、点検作業が属人化している。
<解決>蓄積したデータを利用してAIで設備の異常状態の検出や故障タイミングの予測を行い、定量的にメンテナンスタイミングを決定することで、脱属人化を図ることができた。
・品質管理
<課題>製品の外観検査の際に、人が生産ラインに張り付き、目視確認で1つ1つの製品の検品を行い、製品の良品・不良品を判断している。
<解決>製品の良品・不良品の画像を蓄積して学習させた予測モデルを使用し、生産ラインに流れてきた製品に対してリアルタイムに良・不良を判定することで、外観検査担当者の作業工数を削減することができた。
・製造
<課題>製造工程では、最終出来高が 狙った品質条件になるように、製造装置の稼働時パラメータを変更している。その際、過去の天気や湿度、原料の組成のデータを元に経験者の勘でパラメータの決め込みを行っている。
<解決>過去の設備のパラメータや気温、湿度、原料の組成、品質分析データをもとに学習を行い、予測モデルを作成した。それを使用して、当日の狙いたい品質 条件や最終出来高から設備パラメータを予測することで、製品の歩留まり改善とパラメータ設定の脱属人化を行うことができた。
2-2製造部門におけるAI導入を行うにあたっての3つの障壁
製造部門では、ビジネス課題やユースケースから取り組むべきテーマが存在していても、AI導入まで至らないケースがあります。これは、製造部門でのAI導入におけるハードウェア・ソフトウェア面の障壁が関係しています。具体的には、以下の3つの障壁です。
■課題の解決に必要なデータが取得できていない
AIを使って予測を行う際には、予測を行う対象となる"ターゲット"と、"ターゲットと関係性の高い特徴量"が必要になります。例えば先に挙げた 設備の故障予測であれば、ターゲットは、"設備の状態"であり、"設備の振動数値"や"設備の設定パラメータに対する実測値"などが特徴量となります。しかし、この特徴量のデータが、IoTセンサが取り付けられていない、そもそも制御装置(PLCやDCS)内に出力する設計になっていない、などの理由で、データが取得できないケースがあります。
■課題の解決に必要なデータが蓄積できていない
AIでターゲットの傾向を学習し、精度の高い予測モデルを構築するための重要なポイントはデータの量です。例えば、ターゲットと特徴量の関係性を捉える上で、10行のデータで学習した場合と10,000行のデータで学習した場合では、後者のほうが正確に捉えられる、と想像がつくでしょう。
製造部門では、数十台、数百台もの制御装置が設置されていますが、個々の記憶領域はそれほど大きくなく、肝心のデータ量を担保することができない場合もあります。その結果、データ量が少なく、実運用可能な精度の予測モデルを構築できないといったケースがあります。
■課題の解決に必要なデータをツールにインプットできない
従来の制御装置や生産管理のシステムは、インターネットと接続させるような設計になっておらず、ウイルスに対して脆弱であることが多いため、これらをファイアウォールやUTMを介さず直接外部の環境と接続するには、セキュリティリスクがあまりにも高すぎます。対して、AIツールは、SaaSなどの形式で提供されるサービスが多く、インターネット上でデータをアップロードする必要があります。
この場合、工場のエッジサーバー上で蓄積したデータは、1回1回USBなどの可搬記憶媒体に移動し、インターネットへ接続が可能なIT部門のPCを介してAIツールにデータをアップロードするような作業が発生し、手間がかかります。いざ予測モデルを実運用しようとした時に、データ移動の手間や予測タイミング(1時間に1回予測する、1日おきに予測するなど)の兼ね合いが障壁となり、AI活用が広まらないといったケースもあります。
このような3つの障壁を乗り越え、AIを導入するために準備すべきステップを、以下のリンクからご紹介しています。
是非こちらを読んでいただき、業務効率化や生産性向上のためにAIの導入を進めてみてはいかがでしょうか?
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