見出し画像

王室スペインサッカー連盟会長のセクハラ問題 何が起こっているのか細かく解説

こんにちは。Word pressからこちらにお引っ越ししました。
引っ越し一本目のブログでは、王立スペインサッカー協会(RFEF)の会長、ルイス・ルビアレスについて触れようと思います。

今月決勝戦が行われた女子W杯。おめでたいことにスペインが初優勝を飾ったのですが、この表彰式で事件は起こりました。
様々な関係者や女王に祝福され一人一人に握手やハグをして喜びを分かち合う選手たち。なんとその中で、ルビアレス会長が祝福の流れでジェニ・エルモソ選手の頭を掴んで唇にキスをしたんです。その夜、この場面を捉えた動画が瞬く間に拡散され、その日からスペインでこの会長の名をニュースやSNSで見ない日は無くなりました。

優勝後すぐに投稿したWorld Voiceのブログでは、炎上のきっかけやスペインサッカー界の闇に触れているので、ぜひはじめにこちらのブログに目を通してみてください。

 

この騒動の翌日21日。
ルビアレス会長は謝罪動画を公開します。謝罪とは言ってもなんだか言わされているような、言い訳のような、心の中では全然悪いと思ってないだろというのが透けて見えるような謝罪でした。

「私たち(ジェニ選手とルビアレス会長)はそれ(キス)を自然で普通なことであり、何も悪意があるものではないと捉えていたけれど、外野は大騒ぎしているようだ。もちろん、このことで傷ついた人がいるのであればそれは謝らなければいけない。」
・・・これは謝罪なのかしら。

 

これと同時期にルビアレス会長の新たな映像が出回り始めます。
決勝戦を観戦中のルビアレス会長。隣にはレティシア王妃とソフィア王女の姿もあります。ゴールを決めた瞬間でしょうか。そこには興奮したルビアレス会長が自らの股間を握る姿が映っているのです。相手チームに対して「男を見せつける」といったような挑発的な意味を含むであろうこの動作を、女子の大会の場で、しかも女王の横でやってしまうという下品さと、時代遅れの「男らしさ」アピールに、ルビアレス会長に対する批判がさらに加速しました。

 

謝罪ビデオが公開された翌日、ルビアレス会長がW杯会場のオーストラリアからスペインに帰る飛行機の中で、ジェニ選手に一緒に謝罪ビデオに出るようにお願いしていたというニュースが各メディアで報じられました。どうやら「俺の娘たちの将来のために頼む!」と言ったそうです。(娘いるんだ・・・・)
一方、ジェニ選手はそのお願いを拒否。この頃には政治家たちや国内の様々なサッカー協会から辞任を求める声明が続々と発表されます。

 

23日、ジェニ選手が沈黙を破りました。組合を通して声明を発表したのです。
「必要なプロトコルを実施し、選手の権利を保証し、模範的な措置を採用するよう求める」
この声明によって、ジェニ選手がルビアレス会長と対立する立場にいることが明らかになったのです。
さらに同日、ルビアレス会長が連盟のお金を使ってメキシコ人女性とNYに旅行に行っていたことが判明し捜査が始まりました。

 

24日、各メディアが一斉に『明日、ルビアレス辞任会見!』と報じ始めます。「まぁこれだけ選手にも拒否られて各方面から辞任要請が出たら辞めるしかないよなぁ・・・」と私を含め誰もが思っていたのですが、翌日誰もが想像していなかった展開になります。

 

25日、辞任会見かと思われた場で、ルビアレス会長はこう4回叫びました。「私は!辞任!しません!」
さらに辞任を否定するだけでなく、「偽りのフェミニストが私を殺しにかかっている」とまさかの被害者発言。キョトンとした顔で「同意があるキスで私をここから追い出すつもりですか?」と。もうね、みんなびっくり。
 
「あれは自発的で相互的で同意の上でのキスでした。彼女の方からね、私を抱きしめ持ち上げてきたんですよ。転びそうになって降ろしてもらいました。彼女なんですよ、身体を近づけて抱きしめてきたのは。そして私は彼女に言いました。"ペナルティのことは忘れろ。素晴らしいよ、俺たちはこの大会に勝ったんだ"。そしたら彼女はこう答えた。"あんたは最高だよ"。だから私はこう言った。"キスする?"。そしたら彼女が"いいよ"。って言ったんだ。キスの後、笑いながら腰を叩いて去っていったよ。」
 
(・ω・) 

さらにこの件で辞任を要求している政治家たちの名前をあげて法的措置を取ると。すごく強気です。

この会見でルビアレス会長に辞任を求める人たちの怒りがさらに増したことは言うまでもありませんが、もうひとつ人々を落胆させたのは、ルビアレス会長が「僕は辞めません!」と叫んだ時、女子サッカーのホルヘ・ビルダ監督を含む多くの男性関係者が会長に拍手を送っていたこと。女子サッカーが軽視され、男が権力を握ってきたスペインサッカー界では、たとえこんなことがあっても最終的に男幹部らは男の味方なんです。

FCアンドラのエデル・サラビア監督はこう語ります。「特にサッカー界の中では普通になってしまっていることなんですが、女子サッカー選手たちを"女の子(niñas)"って呼ぶんです。男子の選手を男の子って呼ぶことなんてないのに。こう言う言葉もよく聞きますよね。"サッカーは男のスポーツだ!”とか”男を見せろ”とか。そんなのが普通になってる。そう言うのが隠れた男尊女卑の種を撒いているわけです。」
よく言った!

↑(見苦しい)会見のフルバージョンはこちら

 

さてこの会見の後、ジェニ選手は声明を発表します。声明の中でルビアレス会長の言っていることは全部嘘だと証言。キスは合意の上だったと主張するルビアレス会長を真っ向から否定しました。さらに会長の行為を正当化するような声明を出すようにプレッシャーをかけられていたこと。RFRFがジェニ選手の周囲の人物にジェニ選手の気持ちを無視するような証言をするように圧力をかけてきていたことを明かしています。
ジェニ選手の声明と同じタイミングで、女子サッカー選手81人が幹部が交代するまで代表チームに参加しないと宣言。他にも男子サッカーチーム ベティスに所属するFWボルハ・イグレシアス選手が、ルビアレス会長が解任されるまで代表でプレイしないことを表明し、ジェニ選手へのサポートをアピールしました。

ジェニ選手に対するサポートはこれだけにとどまりません。国内チームのセビージャFCの選手たちはルビアレス会長を批判する際に使用されるハッシュタグ「#Se acabó」と書かれたTシャツを着て登場。一方、カディスの選手たちは「私たちはジェニだ」と書かれた横断幕を持って入場しました。
また海外でも、アメリカの女子サッカー選手たちが「ジェニと共に」と書かれたテープを手首に巻いて試合を行ったのです。

↑国内外で起こるジェニ選手のサポートの様子はこちら

 

これだけルビアレス選手を批判する声が高まっているにも関わらず、連盟(RFEF)側の態度は依然としてかなり強気。
26日、RFEFはジェニ選手が嘘をついているとしてジェニ選手相手に法的措置を取ると表明したのです。そして証拠映像として、ジェニ選手がルビアレス会長を抱き抱える場面の動画も公開しました。RFEF側は「ほら!会長が言った通り、ジェニ選手が会長を抱きしめているじゃないか!会長は嘘を言っていない!」と言いたいのかもしれませんが、このビデオではキスが同意の上であったことを証明するにはあまりにもお粗末過ぎやしませんかねぇ・・・。

ちなみに国際サッカー連盟FIFAがなかなか辞めないルビアレス会長に対して90日の職務停止処分を発表しています。ここでびっくりなのが、この処分を受けて女子サッカーのホルヘ監督がルビアレス会長の行為を「容認できない行為」と言ったこと。あんた、会長の「辞任しません宣言」にめちゃめちゃ大きな拍手を送ってたやないかい!と周りからフルボッコされております。どっちにもいい顔できると思ったら大間違いですよ。立ち位置しっかり決めてよね。

「ルビアレス会長を辞めさせようと圧力をかける世間とサッカー界 」VS 「どうしてもセクハラ・パワハラを認めたくないRFEF」。
どちらも手を緩めない中、ついにルビアレスの家族が声を上げ始めます。

28日のニュースで名前が上がったのはルビアレス会長のお母さん。
どうやら”非人道的で血生臭い狩り”の被害に遭っている息子のために教会に閉じこもってハンガーストライキをしているのだそう。
「息子には相応しくない仕打ちだ」として、息子の正義が証明されるまで何も食べないと言っているのだとか。さらにルビアレス会長の2人の従姉妹も取材陣の前に姿を現し、ルビアレス会長の無実を訴えます。
「彼の家族はとても苦しんでいます。これは公平ではない。ジェニ選手には本当のことを言ってほしい。ルイス(会長)と5分一緒にいれば彼がどれくらい美しい人間で、心優しくて気高い人間であるか分かるはずです。」

(´-`)

 

さて、これまでが今日までのルビアレス騒動の一連の流れです。
毎日新しい話題が上がってくると思うので、その都度更新しますね。

あ、ちなみに彼の年俸はサンチェス首相の7倍近い1億円超え。それに加えて住宅保護として月50万円もらっているのだそう。そりゃ辞めたくないわな。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?