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今という一瞬を大切に生きよ【超訳】自省録31日目

・今日の超訳

今という一瞬を大切に生きよ。他人にどう思われようが、未来の人にどう評価されようが、それは、今という一瞬を生きるお前には全く影響を及ぼさないものだ。

・引用原文(第8巻44章より)

「現在の時を自分への贈物として与えるように心がけるがよい。それよりも死後の名声を追い求めるほうを選ぶ人は、つぎのことに気がつかないのだ。すなわち未来の人たちも、現在重荷に思われる人びととまったく同じような人間であり、やはり死すべき人間であるということである。いずれにせよ、その人達が君についてこれこれの反響を示したり、君についてこれこれの意見を持つとしたところで、それがいったい君にとってなんであろうか 。」岩波文庫 神谷美恵子訳 自省録より

・ちょこっと解説

・小生は原因不明の病を数年前に突如発症し、死の寸前までいった。その後何とか、日常を送れるまでに回復はしたが、現在もあの病の原因が分かっていない。多分次発症したら死ぬであろう。

・体の中にいつ爆発するかわからない爆弾を持っているかのような日々。正直、気が狂いそうになる。夜、寝たらもう起きられないのではないか。そんな恐怖を毎晩持って生きている。必然発症当時は自暴自棄になりかけた。何をやっても死ぬ。ならやるだけ徒労というものである。そんなことを考えて入院していた。

・そんな時に俳句に出会った。石田波郷という人の句である。

「雁や残るものみな美しき」

石田波郷のこの句は戦時中、波郷が赤紙(召集令状)をもらった時を詠まれたものだ。波郷は赤紙を手に、郷里の風景をまじまじと見た。そこにはいつもと変わらぬ山や田や雁の群れがあった。その時、心からそれらが美しいと思えた。しかし、それらはことごとく残していかなければならぬものであった。そして上記の句が生まれたのである。まさしく死にゆく人の気持であった。

・小生は会ったこともない、既に故人の石田波郷の心に、大げさでなく触れたのである。そして、その瞬間から、この死ぬという苦しみは何も自分一人のものではない。と心から思えたのである。いうなれば俳句は、石田波郷は小生に生きろと発破をかけてくれたのである。

・話が長くなった。要するに何が言いたいか。それは、

今を生きよということである。

人はいつか死ぬ。そして、今人間が必死になってやっていることの九割がたは、意味のないことである。生きることは所詮死ぬまでの暇つぶしである。だから、小生は思う。自分のためにせよ、人のためにせよ、何をするにせよ、今この瞬間を楽しめ。それ以外に人生に価値を見出すことはできない。ましてや、今を生きていない人間の評価なんて、今を生きている自分いなんて、どうでもいいことである。2000年近く前の哲人皇帝もそう言っている。

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