マガジンのカバー画像

創作の糧(皆様の気になった記事を紹介)

98
ライティングや創作のヒントになるような記事。特に再読したい記事をスクラップしています。素晴らしい記事を集めています。ご参考になれば幸いです。
運営しているクリエイター

#短歌

未来9月号

未来9月号、届きました。 今月は8首掲載していただきました。 ありがとうございます。 冒険して作った歌も掲載してもらえてうれしいです。。。 すこしずつ麻酔が効いてゆく午後のくちびるうまく好きといえない 透明なゼリーのなかに差し込んだスプーンがいま本音にふれる すこしずつ麻酔が切れていく夜に歯ぐきのにぶい痛みはわたし 抜歯後の痛みのように慣れていくはずだったのにまだ泣いている 人参をぶらさげられて走り出すみたいに電車に乗ってしまった 人参の漢字は人妻に似てるねえ

観覧車

どこからかサイレンがする真夜中の闇をきりきり引き裂きながら 裏側に数字がならぶ本を買うバーコードにはとおせないゆめ 飛行機を眺めていたの炭酸をからだにふくむようなきもちで とつぜんのメールなんども読み返す「死」という文字の妙なあかるさ 永遠の別れの日にもわらったりしてる「おひさしぶりね」といって かなしみはいつもおくれてとどくから電車のなかで泣いたりもする ひとりずつ消えていくから思い出の街を今夜もまた見失う 真夜中に消える都会の観覧車かなしいゆめの魔法のせいで

夜がやまない

かみころすあくびはあまい香水とたばこのにおい 夜がやまない 真夜中の電車の音が遠くからきこえて長い旅だったこと ひっそりと逢瀬をかわすこの夜をつめにまぶたに記憶しながら いいわけはいいわけのまま浮気した理由をずっと聞かされている まだ恋の物語ではないでしょう?古い新聞折り曲げながら 気にすれば気にするほどにするすると崩れ始めるお団子ヘアー こいびとのつめのどひたいことごとくゆだねてしまうおおきなからだ あまやかな膜をゆっくり剥がしおえ食べる夜中のバアムクーヘン

短歌における「省略」について

短歌を分析して言語化出来るタイプの歌人には、俺の短歌は「省略がうまい」とよく言われる。それは結果としてできた短歌にはたしかに当てはまっているのだが、省略という手順を踏むと、実はこのタイプの短歌はできない。とはいえ、神秘化するほどの話でもないので簡単に説明する。 たとえば報告書のような形式においては「5W1H」などが重視される。いつ、どこで、誰が何をしたか、といったことを、要素を漏らさず書かねばならない。したがって、社会的には人間の言語活動は省略を「しないように」矯正されがち

『短歌タイムカプセル』東直子ほか編 (書肆侃侃房)

短歌のアンソロジー。ソフトカバーで軽くてカバンに入れやすい本。値段も手ごろ。通勤電車の中で読んだら良さそう。(わたしは通勤していないけどね。)わたしは俳句や短歌にはあまり縁がなくて、どちらかというと詩を読むことが多いのだが、このアンソロジーで短歌を集中的に読んでみて、五七五七七の短歌独特の言葉の空間がとても面白いと思った。狭すぎず、かといってそれほど広くないのでやっぱり不自由なのである。たくさん読んでいくうちに、自分でも詠めないものかと思ってしまう。でも五七五七七はけっこうき

連作 残り香より(7)

お金では買えないものがほしくなることがこわくて香水を買う 何人もからだのなかにひとがいてうるさいうるさいゆるしてほしい いくつものことばをふるいにかけながら書いたメールがまだとどかない しゃりしゃりと砕かれてゆくリンゴたち真冬に生まれ落ちたこいびと 春を呼ぶこともできずに泣いているあの子の声を暗闇で聞く

連作 残り香 より

重ねた手、ゆるされるまで永遠のようなすき間をうめる花束 また今日もさがしてしまうあのひとの泣いてる月のような歌声 むすかしいことをみんなが言い出してわたしはあくびばかりしている これ以上あなたを愛せないような夜もあすには峠を越える うつくしい予言になってしまうから満月の日は連絡しない * 去年の連作

音声歌集23,24より

どこにいく訳じゃないけど月夜にはあなたと歩きたい道がある 虹色のこえをたよりにあるきだす帰り道にはきみだけが咲く こんなにも人が歩いている街でだれのなまえも知らないなんて 降りしきる雨のなかでもあまやかな傘の花びらひらひらと舞う 炭酸の抜けたコーラのままずっと夏のおわりをたしかめている わすれたかあるいは落としていったのかしずかにひかる片割れピアス なんとなくさびしくなってつけてみるテレビのなかに銀河の孤独 ほんとうのことはいえないメロンパン羽根が生えてる部分を

音声歌集21,22より

冷ややかな豆腐しずかにくずされて箸の先からきみの肉声 青汁にまみれたグラス一気のみしてすこしだけただしく生きる まよなかのホットケーキにとろとろとしみこんでいくぬるいためいき レモネード味のゆめから醒めたのでゲーム画面をさまよっている 新作のフラペチーノをわたされて夏のおわりの夜をすいこむ 冷蔵庫あければぎゅうぎゅう詰めの愛、腐りはじめているからはやく 安売りのさくら色したケーキからたしかにさくらの味がしたこと 真夜中のこえはやさしく手をつなぐための右手をきれい

【俳句・短歌】素数文字に思いを込める

先日、レピュニット素数について書きました。 タイトル画像の言葉を川柳(五七五)にしたのですが、そこでふと閃いたことがあったので、今回はそのことを書いていきます。 俳句や短歌ってありますよね。最近、それらが素数だらけの素晴らしい詩であることに気がつきました! 俳句は「五七五」、短歌は「五七五七七」です。 5と7、どちらも素数じゃないですか! しかも、5はフェルマー素数、7はメルセンヌ素数です! SOSU ! Fermat ! Mersenne ! また、「五七