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ブゥ家の三兄弟

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【災い】に命を狙われるブタの三兄弟の物語。(1話あたり1,300文字) まちがいさがしがあったりなかったり。
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#ものがたり

のほほん双六 #039 おはなし ブゥ家の三兄弟 08

のほほん双六 #039 おはなし ブゥ家の三兄弟 08

第八話「鈴の音といっしょにやって来たのは」

遠くに聞こえていたはずの鈴の音が僕のそばからも聞こえると気が付いた時、焚き火の炎の明かりに映るそのヒトは微笑みを浮かべて僕を見ていた。

ボロボロの服は土と砂にまみれ汚れている。手には杖。杖に鈴が付いているや。どう見たって怪しいし、胡散くさいはずなのにそのヒトはうららかな日和を感じさせた。
さっきまでの焦りや恐怖がスーッとどこかへいってしまい、僕は不思

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のほほん双六 #026 おはなし ブゥ家の三兄弟 07

のほほん双六 #026 おはなし ブゥ家の三兄弟 07

第七話「ちりぢりばらばら」

老フクロウに化けていた【災い】が、ブゥブを連れ去って行ってしまった。

「なんで?」
ブゥブブが【災い】とブゥブが行ってしまった方向を見ながら何度も問うている。

ツキカゲが立ち上がる気配がした。
振り向こうとした時、景色がぐるりと回転して僕は地べたに倒れてしまった。
あれ?なんだか気が遠くなってきたぞ。
ツキカゲが石を手にブゥブブの方へ駆け出して行くのが見える。

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のほほん双六 #015 おはなし ブゥ家の三兄弟 06

のほほん双六 #015 おはなし ブゥ家の三兄弟 06

第六話 「さらわれたブゥブ」

「あれ?夢かな?」

風がビュービュー吹いている。
あたりは真っ暗で風の音しか聞こえない。あとこの匂いと体がベタベタする感じー。ぼんやりと下を向いてみる。
「!」黒い水…海だ!海の上を飛んでいる?

「ぐうぅ…。」
僕を掴んでいる大きな鳥の足ー【災い】の足に力が入る。僕のお腹らへんでうっすらと緑の光が浮かんだ。妖精が口元に指を当てている。
大人しくしていろって事だね

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のほほん双六 #009 おはなし ブゥ家の三兄弟 05

のほほん双六 #009 おはなし ブゥ家の三兄弟 05

第五話 オオカミの願い事

お昼もだいぶ過ぎた頃、少し風が出てきた。

「アタシが卵の時にツキカゲに食べられるところだったの。」
「えぇ?そうなの?」
「あとで食べるつもりが、忘れてて…。」
「気がついた時にはアタシが卵から孵化していたわけ。」
「で、ずっと一緒にいるんだ。」
「そうよ、アタシがヒナの時からずっとね。」

あのオオカミのヤツ、うっすら笑顔になっていやがる。
ブゥブブブめ、すっかり仲

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のほほん双六 #004 おはなし ブゥ家の三兄弟_03

のほほん双六 #004 おはなし ブゥ家の三兄弟_03

第三話 妖精たちは一線を画す

夜。
旅をしてからずっと気になっている事を兄さんたちに話してみた。

「村を出てからずっと誰かが僕たちの跡をつけてきているよね?」
「急になんだよ、よせやい、怖くなるじゃないか。」とブゥブ。
「誰もついてきてなんかいやしないよ。気のせいだよ、気のせい。」とブゥブブ。
ここで会話は終わり、しばらくすると兄さんたちのイビキが聞こえ始めた。

今晩最初の見張りは僕、ブゥブ

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のほほん双六#001 おはなし ブゥ家の三兄弟_01

のほほん双六#001 おはなし ブゥ家の三兄弟_01

第一話 旅立ち

時々ケンカをすることもあるけれども、まあ仲良くのんびりと穏やかに暮らしていたのさ、僕たち三兄弟は。これからだってこの日常が続くと思っていたし。
でも【災い】ってとんでもないやつに命を狙われてしまったもんだから、僕たちは住んでいる村を出て行くことにしたんだ。村の仲間たちを僕たちの厄介ごとに巻き込むのも悪いしね。

心強いけれどちょっぴりめんどうくさいこともある、兄弟たちを紹介するよ

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