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病気の自覚の無い認知症の母の自宅療養 続編

(「寝かしつけるのも大変!病気の自覚の無い認知症の母の自宅療養」の続きです)
 私の母は2019年に認知症とわかり、2022年5月には要介護2となりましたが、介護サービスをフル活用して一人暮らしを続けています。今年(2023年)早々に肺炎になり、しばし自宅療養することになりました。
 現在、母は新しい記憶を保持することができず、3~4分おきに同じ質問を繰り返します。なので肺炎であること、自宅療養で安静にしてなくてはならないこと等も何度説明しても忘れてしまうので、自宅療養初日は母の定位置ソファーの前の机の上、カレンダーの下、台所の机の上、玄関前の扉、玄関ドア、5箇所に「外出禁止。肺炎のため、絶対安静、寝る。寝ないと肺炎が悪化し、入院する。」脅しも入った貼り紙を貼ってから帰宅しました。

  週2回訪問サービスをお願いしている事務所に、自宅療養期間中に私のかわりに昼食の準備と服薬の管理が可能か、電話で相談しつつ、家族会議で今後どうしたらよいか、話し合いました。
 昨年は母の認知症が進行する中、私の仕事が忙しくなり、難しい案件も抱え、秋以降は精神的にかなり辛い状態が続いてました。そんな私の状況を見てきた家族からは、自宅療養期間であっても可能な限り外注、頼むより自分がやった方がてっとり早いとか、自宅療養期間くらい私がやらなければ、などとは考えず、プロにやってもらうようにすべき、と言われました。
 母が認知症と分かった時点では、私は私にしかできないことを優先し、介護サービスで対応できることは外注する、と決めていましたが、母の認知症が進行する中、今度は自宅療養という事態になり、私がほとんどを抱え込みそうになってました。息子からは「自宅療養期間も、訪問サービスが対応する日は実家には行かない、と割り切っていかないと母ちゃん倒れるよ」。家族も手伝える日は限られるものの、私のかわりに実家で母の対応をすると言ってくれました。

 自宅療養2日目は、私は職場に2時間だけ出勤し、これから頻繁に休むことになることを上司に説明し、仕事の急ぎの案件を片付け、実家へ直行。訪問サービスや家族が母に昼食を用意できるように、大量の冷凍食品を買い込み、服薬管理をわかりやすくするためのグッズ、昼食用の2人分の弁当も購入し、最短最速ルートで実家に行きました。

 母が起きてソファに座っているんじゃないかと心配してましたが、貼り紙が効いたのか、実家に入ると母は布団で寝ていました。ちゃんと安静にしていた!良かった~!朝食は食べずにずっと寝ていたようです。
 「自宅療養中は暖房はつけっぱなしする」とエアコンのリモコンに貼り紙をしてましたが、無くなり、消されていたのですぐにスイッチを入れ、温度設定はMAXに。エアコンの吹き出しが一番よくあたる場所に母を座らせ、2人で昼食です。
 買っていった弁当2種類から、母は“鶏そぼろ弁当”をチョイス。「職場の近所では、美味しくて有名な弁当屋なんだよ」、「この間ここの“唐揚げ”がTVで紹介されたの」等々話しかけると、「美味しいわね。」と弁当をすっかり平らげました。おお~、旺盛な食欲はまったく衰えていない!むくみもあり、体調は変わらず悪そうでしたが、ちょっと安心しました。
 1日目の宅配弁当は残した物が冷蔵庫に入ってましたが、食べてはいました。布団に入って寝てたし、夕飯も一人で出来ていました。これからなんとかなりそう!!

 昼食後に服薬させ、母を寝かしつけ、翌日以降の準備です。3日目、4日目の食事等について、訪問サービス宛にメモを書き、連絡ファイルに貼り付けました。いつも母が飲んでる牛乳や粉末スープが、薬の効果が薄れるので飲めない等、自宅療養期間は配慮が必要で、メモはレポート用紙丸々1枚になりました。ご面倒をおけしますが、スタッフさんよろしくお願いします!
 室内の貼り紙を更新、捨てられたのは作り直しました。母に訴求する一言が書けるようになってきた気がします…。

 自宅療養3日目は訪問サービスのスタッフから、「実家に入れない、母が起きてこない」という電話連絡から始まりました。寝ていて気が付かないか、だるいから出る気にならないか、のどちらかです。私から実家に電話をし、かなり待たされてようやく出てきた母に、「訪問サービスのスタッフ外で待っているよ。入れてあげて!」と言うと、「今入ってもらった。寝ててわからなかった。」とのこと。「お母さん、カレンダーに来るって書いてあるよね。明日も来るから入れてね。」と伝えました。
 こういう状況だとスタッフが母が起きてこなくても、家の中に入れるようにしないとならないんだ、と反省しました。
 4日目は事前に電話で母を起床させ、スタッフが来るから中に入れるように伝え、スムーズに入ってもらうことができました。

 自宅療養5日目、再診の日に実家に行くと、すぐに病院に行けるように母は着替えを済ませ、朝食を食べて終えていました。ヘアスタイルを整えたりして、明らかに体調が回復しています。
 医師にはこれ以上の自宅療養は無理なので、自宅療養が必要なら入院をお願いする予定でした。入院の準備のために一旦実家に戻ることはしたくなったので、入院に必要な物をバックに詰め、持って出かけました。母が「なんでそんな用意をするのか。」と訊くので、「入院になったら病院に直行できるように、だよ。」と答えると、「私は入院はしない。元気。」と言います。肺炎をおこし苦しくても「病院に行かない」と言い張った母なので、全く信用できません。「持って行きます!」ときっぱり言って出かけました。

 再診の結果、回復したので翌日からデーサービスに行ってもよい、ということになりました。脅威の回復力!肺気腫&心不全ではあるけれど、母は基本的には身体は丈夫なんだと、あらためて驚きました。
 私が母を頻繁に世話できる状態ではないと伝えると、できればもう一度診せてほしいのですが、難しいならよろしいです、とのこと。通院の配慮もしていただけるのね…。この後、呼吸器内科・内科については、こちらの病院に主治医を変更しました。母の体調が安定してからは、通院は2カ月で1度でよいことになり、通院の負担が軽くなりました。

 今回母の持病がわかり、母がちょっと動くとかなり息苦しい状態であることがわかりました。息苦しさに慣れてしまい、認知症で記憶が維持できないこともあり、母の決まり文句「(体調に)変わりない。問題ない。」は全くアテにならないことが、あらためて分かりました。母がなんとか一人暮らしを続けているうちに、母の体調を的確に判断し、治療をする医師に出会えたのはラッキーだったと思います。
 母は運が強い人で、懸賞とかに応募すると当たる人なんですよね。すごいね、お母さん。

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