認知症の母 カレンダーが読めない…
2019年に認知症とわかり、2022年の5月に要介護2になった母。介護サービスをフル活用し、多くの人に助けていただき、なんとか今も一人暮らしを続けています。
母は昔から、実年齢より若く見えるのが自慢でした。いつも身ぎれいにしており、発症前は1ヶ月に1度は美容室に通ってました。2020年頃からコロナ禍の影響もあり、訪れる回数は減ってきてはいましたが、今年(2022年)6月までは2カ月に一度は必ず行き、白髪を染め、パーマをかけて髪をふんわりさせ、綺麗に見えることに、相変わらずこだわり続けています。
2021年9月頃から、母が長期間風呂に入っていないことに周囲が気がつかなかったのは、美容室で月に一度は洗髪していたからでした。自分の髪の毛が汚れでべったりしていても、自宅で週に2回は風呂に入っていると言い張り、汚いことを認識できないのに、白髪が目立ち、髪の毛が伸びてくると「美容室に行く」と書いたメモが登場します(記憶のかわりに母はメモをします)。母の“こだわり”だけは、しぶとく生き続けていることは驚きです。
6月に美容室行った後に頭皮に湿疹ができ、それを搔きむしった後があるとデイサービスから連絡がありました。急遽仕事を休んで、皮膚科に連れて行きましたが、母は痒かったことも掻きむしったことも覚えておらず、医師に何も問題ないです、と大きな声で伝えます。
病院には事前に認知症とは伝えておりましたので、頭皮を見た医師は「もうだいぶ落ち着いてるね。軟膏出すからしばらく塗ってね。」とのこと。母は薬の管理はできないので、デイサービス2カ所にお願いし、塗ってもらうように手配しました。
9月になるといつもどおり「美容室に行く」と書いたメモがリビングの机上に置かれるようになりましたが、見つける度に内緒で捨てました。
頭皮トラブルをすっかり忘れた母は、カラーやパーマをし、また頭皮トラブルを起こす可能性が非常に高い。そうなると病院に連れて行くのも、薬の対応を手配をするのも私です。以前のようにお出かけもせず、デイサービスに通うのに忙しい母は、頻繁に美容室に行く必要もありません。
11月になると髪は伸び、白髪まじりのいかにも老婆な頭に…。以前の母を知る人にはちょっと痛い外見です…。私もちょっと辛くなってきたので、「美容院に行く」メモを捨てずに様子を見ることにしました。
12月上旬に美容室より「母が予約していたが、店に来ない」と連絡がありました。以前に美容室には母が認知症であることを伝え、何かトラブルがあったら連絡するように、私の携帯の番号を知らせてあり、そのとおりに対応してくれました。
母が予約した日はデイサービスに通う日で、予約した日時に母が店を訪れることはできません。母がカレンダーを見て、予定が無い日を選んで店に予約をする、という行為ができなくなったことがわかりました。
翌日に実家に行くと、予約したことは忘れ、カレンダーには何も書いていませんでした。リビングの机の上にあるメモには予約したらしきことは書いてましたが、ぐじゃぐじゃしており、読み返してもわかりません。電話ではもう単純な用事しかやり取りできないこともわかりました。
悩んだ末、翌週の予約日に美容室まで母を送り、担当の美容師さんと相談することにしました。仕事で休日出勤が続いている中、体調も良くないので貴重な休みに母の対応で実家に行きたくはなかったのですが、後でトラブルになり対応に迫られる方が時間も手間もかかります。
美容師さんと相談し、頭皮トラブルのリスクを回避するために、パーマをかけることはやめ、カラーとカットだけでにすることにしました。母にどうするか決めて欲しくて説明をしましたが、理解できず私に任されました。
店から自宅までは母は自力で帰れるので、要件を済ませた私はすぐに帰宅しました。
美容師さんのアドバイスでパーマをやめ、カラー剤はオーガニック系を使用、頭皮はクリーム等で保護し、地肌近くは染めないようにしたら、湿疹はでなかったようです。翌日に一緒にランチする母の友人、翌々日にお世話になるデイサービスに、母の頭皮に異常があるようなら連絡をお願いしました
が、電話は無く安心しました。
実家を再訪することなく、母の状態を私のかわりに見てくださる人がいる。母の状況に合わせて、母が心地よくなるように対応してくださる方がいる。多くの方々に支えられ、母の一人暮らしが継続できていることをあらためて実感しました。ありがとうございました。
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