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認知症の母 3ヵ月以上?入浴せず…

 今回は不衛生な話題です。排泄物も話に登場します。そういうのが苦手な方は読まないでください。 

 2019年に認知症だとわかった母。2021年秋頃から、自宅では入浴をしていません。頭髪の汚れ等から、入浴していないのではと母に訊いても「週に2回は自宅でお風呂に入っている」と答えていました。
 実年齢より若く見えること、小綺麗にすることにやたらこだわる人なので、毎朝顔は洗い、出かける時は薄化粧をしていました。1カ月に一度は美容室に行き、その都度洗髪もしていたので、母が入浴していないことに私が気づくまでにとても時間がかかりました。

 2021年12月に母にぐっと近づくと、そこはかとなくウンチの臭いがするようになり、それを母に伝えると頻繁に出ているおならの臭いと言いますが、翌週もそこはかとなく臭い…。(ちなみに、私はかなり鼻が利く人間です)母に服を脱いでもらい、お尻と下着を後ろからチェックしましたが、見た限りでは特に汚れてはいませんでした。でもかすかに臭う…。
 実家に行く度に、電話をかける度に、お風呂に入るようにずっと母に言ってはいましたが、年末でしたので、「今年の汚れをお風呂に入ってきちんと落としてね、お風呂に入ってね!」とさらに念を押しました。

 2022年になり、掃除をお願いしている訪問サービスに訊いたところ、ここしばらくはお風呂を使用していないようだ、とのこと。母が通っている美容室にも問い合わせると、最近はかなり頭髪頭皮が汚れた状態で訪れていたことがわかりました。母が長期間お風呂に入っていないのは、間違いない…。

 入浴してない疑惑が濃厚になってきた頃、2021年12月下旬からようやくデイサービス(認知症対応型通所介護/入浴無し)に週2回通うようになり、母の日常が大きく変化、母の様子を確認し、何かあればスタッフが私に知らせてくれるようになりました。
 入浴していないことについて早速相談したところ、健康のために入浴は必要であること等、母が入浴に関心を持ち、入ろうとするように働きかけてくれましたが、全く効き目なし…。
 1月になるとデイサービスから頭髪がかなり汚れてきており、お風呂に入っていないようだと連絡がありました。デイサービスに通うようになり忙しくなったため、美容室に行く頻度が減り、入浴していないことが周囲に分かりやすくなりました。

 ケアマネージャーにも相談し、入浴させてくれるサービスで母に合いそうなものがないか、探してもらうよう依頼しました。これまでの母の頑固ぶりを知ってるケアマネからは、母が施設に通うことを了承するまで、通所する施設で入浴できるようになるまでに時間がかかるかもしれないと言われ、とりあえずは私が母を入浴させないとならない!と腹をくくりました。

 実家の風呂はせまく、素人の私がそこで母を洗うのは難しい。母をスーパー銭湯に連れて行き、洗うことにしました。寒い季節なので、車で送迎。慣れない所に行くのは何でも嫌と言うので、「お出かけ」とだけカレンダーには書き、出かける直前にどこに行くか伝えることにしました。

 2022年1月下旬にパートナーの運転で自家用車の送迎付きで、実家の近所のスーパー銭湯に。
 迎えに行くと母はお出かけモードの小綺麗な服装になってました。「スーパー銭湯に行くので、お風呂に入る準備しよう」と声をかけると、ウキウキモードを豹変させ「必要ない」「行きたくない」と言い出しました。「もう予約しているので、キャンセルできない。行きます。」ときっぱりと伝え、母の下着等を手早くビニール袋に入れ、とっとと家を出ました。
 車中ではパートナーと共に、大きくて立派なお風呂が楽しみ、温泉に入る久しぶりだね等々、行楽気分を盛り上げる会話をし、入浴料金は母にしっかり払わせ、いざお風呂!

 母は全身が相当汚れているはずなので、まずはざっと軽く洗い、汚れを浮かせて、再度丁寧に洗うことにしました。最初は母に自力で洗わせてみましたが、頭髪は頭のてっぺんだけ、身体も超雑、介助しないときちんと洗えないことがわかりました。お尻の奥以外は私が洗いました。
 一度目のざっと洗いを終えた後、私自身を急いで洗っている間に、「お尻奥までよく洗ってね」と母に声をかけると、お尻を自分で洗い始めました。そのうちお尻の奥にぐっと手を入れ、何かをつかみ、排水溝に捨てるという事を何度も繰り返し…。「何してるの?」ときくと、「訊かないでっ!」とキレ気味に返事。「…ウンチ?」と質問すると、「うるさい」。固くこびりついたウンチがふやけて、触ってわかるようになったのか…。母の作業が一段落した後、綺麗に洗ってねとボディーソープを差し出しました。一体どれくらいの期間、お尻にウンチをつけていたんだろう…。

 結局、2度目の丁寧洗いでは、お尻の奥、足の裏等、隅々まで綺麗にしてから、ようやく母を浴槽に入れることができました。母が排水溝に捨てたものについては、すぐに銭湯のスタッフに相談し、問題無しと了解を得ております。

 入浴後は「ああ、さっぱりした。気持ちいい!」と超ご機嫌になり、出かける前の抵抗は何だったんだ?!って感じでした。その後、スーパー銭湯通いは3回しましたが、介助する私も素っ裸の状態で、母が転倒したら私も巻き添えになって大けがするかもしれないと気づき、怖くなり止めました。
 銭湯に通う頻度も月2度が限界でした。母に衛生的な生活をしてもらうには、介護サービスでなんとかしてもらうしかないと悟り、ケアマネにあらためて相談しました。
 母が入浴サービス付のデイサービスに通い、風呂に入るようになるまで、長い時間がかかりましたが、それはまたの機会に。

 母がいつから風呂に入ってなかったのか、シャワーくらいは何度か浴びていたのか不明です。母の場合は、数か月間風呂に入らなくても、生きるのに支障はない、ということが分かりました。
 認知症の患者でお風呂に入らず、家族が困っているケースが沢山あるようです。家族として衛生的な生活をさせたいですが、母の「私は家でお風呂に入っている」は強硬で、実際は自宅で自力で風呂に入ることはとうとうできませんでした。
 母がお風呂に入らない期間がどんどん長くなっていくと、私のストレスも増大しました。母を鏡の前に連れていき、汚れでベッタリした髪の毛の様子を一緒に見て、「汚れてこんな風になって、近づくと臭うよ!お風呂に入って!」と叫んだこともありました。全く母には響かず、精神科医の知人には認知症の患者にそんなこと、やっちゃだめよと言われ、後で反省しました。

 そんな私の状態を見て家族から、お風呂に入らなくても、問題無く生きてるからいいじゃない、本人は不快と全く思ってないし、いいじゃない、世界にはお風呂に入る習慣のない民族もいると言われました。それから母ができないことについて、意識して細かく気にしないようにしています。
 起きた問題について解決策は探さないとならないですし、そのためにケアマネや施設のスタッフと相談を重ねないとならないですが、母ができないこと自体にイライラしても報われない、私が辛くなるだけ、と気づきました。

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