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私の仕事。プロジェクトマネジメントをしてるうちにみんなのお母さんみたいな気持ちになってしまう。

私はメーカーでプロジェクトマネジメントをしている。新製品の企画を立ち上げ製品が世に出るまでの、手続きのスケジュールや予算やリスクの管理とポートフォリオ管理が仕事だ。

完全なる裏方仕事で、表にいるチームのみなさんは、マーケティング、ファイナンス、研究開発、品質、購買、サプライチェーンなどとにかく幅広い面々。そんな多種多様な人たちがスムーズかつ快適に仕事ができるよう、いわゆる「仕事」以外にさまざまなことにも気を遣う。

協調性のない人が自分の組織を代表するような物言いで攻撃的なことを言うこともある。臍を曲げて反応しなくなる人もいるし、プレッシャーで病欠したり休職してしまう人もいるし、異動はひっきりなしで引継ぎもされてないこともある。

とにかく、うまいこと車輪を回していくためには人のケアが結構な割合で必要になる。

同僚の悩みを聞くと多くは人間関係だ。癖のある人の扱い方、うやむやな仕事の渡され方、変にかき混ぜてくる偉い人。組織の問題って言ったって、結局それは人が為すことの集積なわけで。そうした、人に過剰にダメージを受けないことや、ダメージを受けている人を回復させる力が要るのだなあと思う。

厄介な人、弱い人、ごきげんでいられない人、構ってほしい人、ちっとも覚えない人。

そんな人に、ううっ!と思ったとき。

「この人も、抱っこをせがんで、抱きしめてもらって泣き止んだ頃があったんだろうなあ」

と思ってしまう。

その人の幼い頃の姿や愛されて育ってきた軌跡を勝手に想像してしまう。

すると、自然と、「こんなに立派な成長を遂げて、お仕事がんばってるんだな、苦手なことも、嫌なこともあってもがんばってるんだろうなあ」ととても温かい眼差しを向けられるようになる。

ちょっと生意気なところが昔もあったのかな、とな、イタズラな顔で笑うのは昔からなのかなとか、その人とまるっとお付き合いできる気分になる。

そうしてみると、職場という場所も実に興味深い場所になってくる。皆と親しくする必要はないけど中には自分でも驚くほどプライベートなることを話す仲になることもある。

製品が無事に出荷されると喜ばしい気持ちにはなるけど、プロジェクト解散の瞬間はどことなくさみしさあもある。

最近、プロジェクトマネジメントをしているときは家を出た子どもたちを遠くで見守る母親のような気分になる。活躍が見られて嬉しい、元気がないから心配だ、真面目じゃないところが私と似てるな、などなど、ただの仕事仲間を越えた得体の知れぬ感情に包まれる。

トラブルばかりで泣きたくなることが多いけども、資料を作ったり、情報を集めたり、ミーティングをしたりしながらもメンバーの健康と幸せを願ったり。そしていち早く成功裡に製品をローンチしてチーム解散することを夢見つつまだやっていたいと思ったり。

実に忙しい。

あまりにニッチな職種で、社内にも同じ仕事をしている人は少ない。そんなこともあり、いつまでやるのかは分からないこの仕事だけど、人と向き合うおもしろさを発見できるところが気に入っている。

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