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失敗

1日1時間の掃除で1000円のバイトを始めた。

始める前から、ラクそうな仕事だなと
勝手な印象を持っていた。

最初にどういう仕事内容なのか説明してくれた人も
すごくラフな人で、やはりこんなもんか!と
完全に気が緩んだ。

だからと言って
無断欠勤とかそういう事はしないよ?

だけど、
掃除中にお客さんが来た時とか
お客さんが帰るまで一旦外に出てたり、
早く終わる方法を考えて
マニュアル通りに動かなかったり、
とにかくマニュアルから少しづつ離れていってしまったそんなある日、、

私はワクチンを打った

私はワクチンを舐めてた。
こんなに熱が出ると思っていなかった。
だが仕事を休む連絡をしていなかったので行かなければいけない、、
頭が沸騰して何も考えられない、、
腕も痛い。だけど無断欠勤はダメだ。
と気合いで向かった。

よく覚えていないが帰ってきた。
よく頑張った。
全世界中の皆から褒められたい。
これはよく頑張った!!!
と、とにかく褒め
次の日は朝から別の仕事があったのでもう寝た。

起きると体は軽く
少し腕が痛いくらいで元気だったので
朝から普通に仕事をしていた、、
すると掃除バイトの事務所から
電話がかかってきた。
「バックヤードの鍵持って帰ってませんか?」
私は焦ってカバンを確認すると
持って帰ってはいけないバックヤードの鍵がある。
昨日の記憶がほぼなく冷や汗が止まらない。
「すみません。持って帰っていました」
とすぐに仕事場に届けた。
すると、
「バックヤードに鍵もかけていなかったから
本当に気をつけてくれ」
と言われ、もう頭は真っ白だ。

昨日の私は一体何をしていたんだ?
バックヤードに鍵をかけず鍵を持って帰っていた?

とにかく謝り、謝り、謝り私は仕事に戻った。

3日後

3日振りに掃除のバイトがあったので
今日からもうしっかりやろう!
と自転車を漕ぎ向かうと
また事務所から電話が、、
電話に出ると「今日は行かなくて大丈夫ですぅ」
と言われた。

え、もう着くのに、え、気合い入れたのに。

わけを聞くと、
別の日にレクチャーをしなおしたいから
との事だ、、

その時に気づいた。
もう私には信用がないんだ。
たった一回の失敗でこんなに信用が無くなるのか。

絶望や喪失感、自分へのムカつき。
ブラックホールのようにドンッと出来た真っ黒な気持ちが重い。沈む様に重い。

レクチャーの日

事務所の方が2人体制で私を迎える。
「いつも通りにやってみて」と
私の後ろで作業をみている、、
これは試験だ。レクチャーじゃなく試験。
あぁ重い。

一通り作業が終わると、
テキパキ仕事をしていると褒めてもらったが
やはり指摘もある。こうして!ここもこうして!と
直し直され最初のマニュアルよりやる事が増えた。私のせいだが、、重い。

そして事務所の方から最後に説明をされた。
「あなたが鍵を持って帰った日、オーナーがたまたま来たんだ。それで、この人は大丈夫なのか?と不信感を持ち防犯カメラを見返すと、その日は5分ほどしか作業をしていなかった。流石に信用は無くなってしまったので、これから厳しくなります」
という事だった、、

死んだ。

あの日私は5分しか掃除をしていなかった?
本当に?
私がよく頑張ったと思ったのはたったの5分、、、?
よく覚えていないなんて言えず
申し訳ないという気持ちがブラックホールから溢れて止まらない。なんて事をしたんだ。

もう2度と熱がある日に仕事なんてしない
と心に誓ったが
そんな私には監視がついた。

この時間に仕事をしますと連絡を入れ、
監視カメラで覗かれながら掃除をする。
キツい。
120%私のせいだがキツい。
信用されてない人に監視されながら仕事をする生活
どのくらい続くのだろう、、

今私は別の仕事もしていて、
また別の仕事も始めようとしている。
ついでに最近は親友と大喧嘩。
そんな中で「信用ゼロ監視バイト」は重すぎる。

あぁ大きな災難っていつも小さな失敗からなんだよな。もう少しだけ頑張ろうか、、
と、今日の出勤時間を事務所に連絡する。

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