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書籍脳

とにかくその頃は金がなかった。 オフィス街とやらはとにかく安い定食屋みたいなところがない。べらぼうに高いといわけはないが、それでも最低1200はかかる食事代はあまりにのもったいない。節約をせねば。 だから昼飯をケチって、その日は結局朝からなんにも食べずに3時を迎えた。 コンビニだったら、さほど金はかからないと言うのはもっともだが、しかし、それでカップラーメンでも買ってしまうと余計に惨めだ、と思った。 だから俺は徹底して節約するぞと思った。 これはケチってるのではない。

    • ITインシデント、ディザスター映画としての「ガメラ2」

       先日発生した大規模Windows障害には本当に困らされた人は多いんじゃないだろうか。CrowdStrikeなんてどこにも入ってるし、ポンコツSEの自分でさえ、事の重大さは気づいたつもりだ。IT企業に務める友人に聞いてもやはり影響は少なからずあったらしい。  Windowsなんて今なくてはならないインフラの一つであり、ただそれにしてはなんて脆いんだろう、まるで砂上の楼閣だと日々嘆いている。画一化したものは構築はとても早く、しかし崩壊するときは一瞬である。まるでシズマドライブ

      • 三部作もので謎に最後まで観ない映画

         例えば「サンダードーム」、「ダークナイト・ライジング」、「ブレイド3」、「ダークサイド・ムーン」。観たことはあるものの中には、「リローテッド」までは見返したのはいいけれど謎に「レボリューション」を飛ばして「リザレクションズ」を観たり(まあマトリックス四作目はあまり含めなくていいと思うけど。)  最新作を観ない、と三部作の最後だけ観ないは全然違う現象のような気がする。  最新作は別に観なかったとしても「いや別に後で見ればいいし」と言い訳をする。あとはリブートなんて見てやんね

        • 虚構への侵入 「マトリックス リザレクションズ」

           俺は今でも忘れない。「マトリックス リザレクションズ」の公開に合わせて公開されたUnreal Engineのプロモーションのあの衝撃を。  今よく見返せば「すごく」作り込まれたCGIだとわかる。ただ当時の自分は、後部座席にいるナイオビが追ってくるエージェントに銃を撃つその瞬間、赤い照準マークが出てくるその時まで呑気に「ネオとトリニティの若い頃の顔を合成したのかな、まあよくできた映像だな」なんてことを考えていた。  もちろん途中まで実写パートがあったから、そこからゲームへ

          国道

           家より比較的近いところに国道がある。  国道の真ん中、白線が引かれているあたりにそれはいた。それは一人の男だった。男は腹から下の半身が引き裂かれており、臓物が所々はみ出ていた。  俺は痛々しそうな表情をすべきだったのだろうか。しかし男は特に苦痛の様子を見せるだけでもなく、ただそこにぼうっと寝転んでいたのだった。男は眠っているようで、その証拠に口が半開きで胸が呼吸のたびに上下している。引き裂かれたであろう半身は周りに見当たらなかった。きっと元からなかったのだろうと理解すること

          黒い政治

           埴谷雄高の政治論集を一時期読んでいたことがあった。そこでなるほどと思ったこと。  曰く、政治は黒い死をその中に携えている。  曰く、政治の目的は「奴を殺せ」    なるほどだから政治という得体の知れないものは一定の力を持ち、そしてあんなにも攻撃的なのだと腹落ちする。    ※ここで語ることはあくまで私の解釈である  ※ここでいう政治はあくまでも選挙や政治闘争といった文脈のものであり、例えば社会保障や年金、自治体法はあくまでもシステムといった方がしっくりくる。  政治はあり

          黒い政治

          新怪獣

           私はゴジラでいうといわゆるミレニアム世代であった。おばあちゃんちに行けばテレビで放映したものを録画したVHSを熱心に見ていたし、当時まだそこらにあったTSUTAYAじゃないレンタルビデオ店に行ってまた同じものを借りるといった具合だった。(逆に他の平成だったり昭和シリーズはあんまり見た記憶がない。ただバトラはなんとなく知ってたのでVSモスラと、あとは親父の横で見ていたヘドラだったか)  思い入れがあるなんてもんじゃない。だから2004年でゴジラが終わってしまうのは本当に残念

          先日のこと「ヘドラ」

           友人に「ゴジラ対ヘドラ」を見せたときの話。  先日、同居人が、月に一度ほど地元から泊りがけで都内にやってくる母親に会いに家を出ていった。  大抵、同居人は母親と何処かで一泊するので、暇になった俺はいつも実家に帰るか、友人と遊ぶことにしている。   今回の場合は、友人が来てくれるとのことだったので、特に何も用意しなかったが、午前のうちに用事を済ませてしまい、あたりで一番うまいラーメン屋がやっているか調べた。  そして正午に友人がやってきて、ラーメンを食べたあとで家に行き、の

          先日のこと「ヘドラ」

          文体練習

           おれはその日用事があってわざわざ、混んでいるだけでなんの取り柄もない、昼のS系統のバスなんぞというものに乗っていた。  碌でもないバスゆえに、何もかもが気に入らない。そう思いながら蒸したバスの中でイライラしながら揺られていると、次の停車場、九段下近くのバス停よりなかなか奇妙に思える格好をした男が乗ってきた。  男はまだ26、7ほどに見え、顔は、よく見なくても凡庸な事務職のように見えるのだが、彼の被っているソフト帽子は、まるでティッシュペーパーをねじったような珍妙な紐がリボン

          文体練習

          言いたいことを言うために

           最近生き急ごうと決めた。  今の現状をここに書くほど私はメンタルが強くないのだが、少なくとも、幼い時より感じていた何者かになりたいという欲望をこのままでは果たせないのではないかという恐れを抱いている。  私は自分でも認めるくらいには怠け者だという自負がある。土壇場にならないと何もできない。そしてそれらが今までの人生になんとも言えない停滞感の原因である。  私に取って創作は憧れであり、そして人生の唯一の脱出口とすら思っている。  しかし厄介なことに、今までに積み上げたものは皆

          言いたいことを言うために