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ITインシデント、ディザスター映画としての「ガメラ2」

 先日発生した大規模Windows障害には本当に困らされた人は多いんじゃないだろうか。CrowdStrikeなんてどこにも入ってるし、ポンコツSEの自分でさえ、事の重大さは気づいたつもりだ。IT企業に務める友人に聞いてもやはり影響は少なからずあったらしい。

 Windowsなんて今なくてはならないインフラの一つであり、ただそれにしてはなんて脆いんだろう、まるで砂上の楼閣だと日々嘆いている。画一化したものは構築はとても早く、しかし崩壊するときは一瞬である。まるでシズマドライブだ。(高度な依存、それによる無効化された時の無力さ、そしてそれ自体に欠陥を持ち合わせていることなど。)(しかし、リスク分散と言って、色々種類をバラけさせましょうとなった暁には、管理する側からはブーイング以上のものが飛んでくるだろう。)

 愚痴はここまでにしといて、、、ITインフラの障害は日に日にまして、規模は大きくなり、我々の生死への関わりは日に日に深くなってゆく。
 人の有機的な繋がり、仕組みをどんどん外部化していった結果は、例えば映画とかで通信が使えなくなった時の絶望的な状況にて垣間見ることができる。(パシリムにてイェーガーがEMPを喰らった時のような)
 ただあくまでも要素の一つで描かれることは多いが、それ自体を有効に組み込んだ作品といえば、例えば、さっき見返した「ガメラ2 レギオン襲来」とかか。

 ふとテレワークの休憩時につけてみて、改めてみてみると「ああ、これってインシデントだなあ」なんて思ったりした。
 ようはレギオンはウイルス、レギオンによってダメになった札幌は、まさしくウイルス感染をしたサーバーであり、早くどうにかしなければ(この場合札幌の地下鉄だったが)札幌自体がどうにかなってしまう。
 対応しているのは自衛隊だが、障害対応であくせくしているエンジニアと重なって見えたのは気のせいだろうか。
 
 すでにシステム化された社会にとって、レギオンたちの発する電波の影響は、かなり致命的だ、、、とは映画の中ではそこまで深刻に描かれはしなかった。そこらへんは「ウォーゲーム」や「サマーウォーズ」とかに譲るとしようが、まだWidows 95が出たての頃と思いを馳せるならなかなかに時代を先取りした感があるように思う。

 加えて、「ガメラ2」に感じた新鮮さはなんだろうと考えた時、それは、ITインシデント的ということだけではなく、ちゃんとしたディザスター映画としての側面の強さだろうか。
 思うにディザスターとして描かれた怪獣映画はそう多くないような気がする。怪獣そのものは災害的だが、じゃあそれは何かのメタファーかというとそうではなく、あくまででっかい生物が暴れていることによる「怪獣」災害なのだ。(その点、シン・ゴジラは徹底して3.11のメタファーとしており、単なる怪獣映画ではない。)
 ガメラこそでっかい怪獣だが、レギオンは単なる怪獣ではなく、インフラ障害そのものの象徴として見ることができないだろうか。
 全面にその要素が出ているわけではないが、それでもさりげなく要素として散りばめられている。
 自然災害は人の命に直結してくるが、そこにITインシデントによる災害的被害というのもそこには入ってくるのである。
 IT障害はもはやたんなる不便さではなく、人の命に直接関わる重大な災害となっていく。
 そしてレギオンはどんな怪獣だろうと考えた時、それは自然災害的でもなく、単なる怪獣でもなく、ITインシデント的だと考えた時に腑に落ちるものがある。

 別にガメラは季節を選ばないが、最近起きたことと強引にこじつけて、、ということで。

 システムの上に成り立っている社会、人間は機能を外注化し便利になろうとして弱点を作ってしまった。そしてレギオンたちがそこを狙って襲撃してくる。


#夏に観たい映画

「ガメラ2 レギオン襲来」をU-NEXTで視聴

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