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口下手でも大丈夫。失敗しないモデレート術があった話。

こんにちは、QAZ(かず)と申します。
人前で話しをすることが好きでも得意でもない私が、先日あるイベントで人生初のモデレーター(進行役のことをこのように言うのですね、近頃は)を担当しました。ご参加いただいた方や登壇者に加えて、様子を覗きにきていたクリエイター仲間からも「はじめてとは思えなかった」「有意義な時間でした(これは登壇者のおかげですが)」などの声をいただけたので、(調子に乗って)どんな準備をしたか、落ち着いて本番を迎えるためにやったことなどを、こちらにまとめてみます。

本題に入る前に、簡単に自己紹介を。
文系4大を卒業後、独学を経て小さな広告制作会社でグラフィックデザイナーとして勤務。その後、現在に至るまで広告代理店でクリエイティブディレクター&プランナーとして、広告をつくったり、ブランディングの支援をしたり、講演をしたりしている映画館とカレー屋に行くことが至福の人です。

【モデレーターを担当したイベントについて】

さて、今回モデレーターを担当したイベントは、私が所属しているコミュニティ「会社員クリエイター(通称:会クリ)」が主催した “いま”と“これから”の働き方をぶっちゃけるトークイベント「真夏のカイギ室」でした。

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トークイベントの登壇者は、会社員でありながらそれぞれ社外に活動の場をゴリゴリ広げている、こちらの4名。
・「ストーリージェニックな名詞」でもお馴染み、上司ニシグチさん
・1500日間パターン素材をアップし続けたパターン作家、TURBOさん
・イラストレーターを発注者視点で応援するアートディレクター、秋山さん
・「デザイナーとしての『ゆるやかな死』」がバズった、モンブランさん

イベント詳細は、foriioで働くOLアイドルいっこさんによる「最速レポート」をぜひお読みください(いっこさん、ありがとうございます!)。

“ 最近、いろんなトークイベントに参加することが多いのですが、その度に残念に思うことはモデレーター(ファシリテーター)のスキル不足によって、登壇者の良さが全く引き出されていない状況を目にすることです。「せっかく企画のコンセプトと登壇者はいいのに、、、あぁそこでその質問しちゃう?わかってないなぁ」と思うことがどの会場に行ってもあるのです。“

……こんな文章をうっかり目にしてしまったこともあり、安請け合いをしたはいいが、アドリブ力が問われる(と思い込んでいた)モデレーターを担当することに、日増しに不安が出てきていたのはここだけの話。

【モデレーター初体験者が最初にやったこと】

・モデレーターに関する記事にできるだけ目をとおす
・過去に参加したトークイベントやセミナーを振り返る
・モデレーター経験者に直接話を聞く

本当にありがたい時代ですね。「トークイベント モデレーター」でググってみたところ、幾つかBlogやnoteが出てきました。なかでも一番参考になったのは下記のnote。これを読めば、リアルガチでこの記事の続きは読まなくてもいいと思うぐらい。

いくつかの記事に目をとおして、自分のなかに「やったほうがいいこと/やってはいけないこと」といった、モデレーターとしての「モノサシ」をつくりました。

次に、自分が過去に参加したトークイベントを思い出して、そのモノサシの粒度を高めていきます。参加して良かったと感じたイベント、逆にイマイチだと思ったイベントの両方を、モノサシを基準にして振り返ると、また違った見え方があり「なるほど~」と思う点がありました。

最後に、実際にモデレーターを経験した人にコツや気を付けるべき点を聞いてみることをオススメします。今回は登壇者でもある上司ニシグチさんに話を聞いて、モノサシを仕上げていきました。分かったことは「“できないやりかた”はマネすべきではない」ということ。

モノサシ = QAZ的7ルール
①登壇者のことを知る
②参加者全員の意識共有を行う
③会場の機嫌をよくする
④モデレーターは話し過ぎない
⑤とはいえ、空気を切らない
⑥参加者の声を代弁する
⑦参加者の理解を深める

ではここから、上記7つのルールを時系列で解説します。

【当日までの準備】

・登壇者をリサーチする(ルール①)
・登壇者ごとに話してもらいたい話題を整理する(ルール③)
・自分ができるアイスブレイクを考える(ルール②③)

ニシグチさん、TURBOさんとは週に2・3回会っていた時期もあったので十分にコミュニケーションが取れていましたが、モンブランさんと秋山さんに関しては、二人が関東在住のため交流がそれほどできていませんでした。なので、noteやTwitterを遡って読んで、視点や志向/関心事やトピックなどを調べました。これらの下調べとZOOMでの打ち合わせをもとに、5つのトークテーマごとに誰を主役にするか/各登壇者に何を話してもらうか、をバランスも考慮しながら具体的に設定し、時間配分も合わせて進行表にしました。完全に決め込めないにしても、話のポイントと流れを想定しておくことは、慣れてないうちは有効だと思います。

アイスブレイクについては、登壇者と自分がリラックスできること、リスナーの参加意識を高めることの2つの意味で重要とは分かりつつ、いちばん悩んだところでもあります。ネタを仕込んで笑いを取るパターンも見聞きしていましたが、自分に合わないことが目に見えていたので、イベントの性格にちなんで「会社員」らしさを演出することに決めました。開演を「お疲れさまでーす!」と会社員っぽいコール&レスポンスではじめたり、「会社員の人?フリーランスの人?学生さん?」と呼びかける挙手型のアンケートで参加者の属性を確認すると同時に参加意識を高めてもらい、最後に「ひょっとして無職の人います?」で登壇者であるニシグチさんが挙手するという軽いオチをつけてみたり。少なくとも、モデレーターと登壇者4名は落ち着けました。

【当日、開演まで】

開演1時間前に進行表に沿って通しのリハーサルを行いました(ルール2)。主に確認したことは、登壇者の役割と期待する部分の目線あわせ/話す順番とざっくり時間配分/アイスブレイクに用意したネタの感触、といったところ。

以下、登壇者であるモンブランさんのnoteより引用。

軽いリハーサルは軽快に、だけどしっかりと行われた。
トークセッションは何回かさせてもらっているけど、直前とはいえ、ここまでしっかりとリハーサルをしたのは初めてだった。おかげでほぼ緊張せずに本番を迎えることができて感謝しかないです。

はじめて経験することに落ち着かないのは、処理しなければならない情報量が多すぎて意識が定まらず集中しづらいからだそうです。疑似的に場数を踏めるリハーサルは、初モデレーターの僕には特に意味がありました。

【当日、トーク中】

・冒頭以外は脇役に徹する(ルール④⑤)
・一番前にいる参加者になる(ルール③⑥ → 相槌、突っ込んだ質問)
・参加者の理解を深める(ルール⑦ → 抽出、反復、要約、補足)

当然ながら参加者の目当ては登壇者の話なので、最低限の発言回数とすることを意識しました。ただ、時間で切っていくような機械的な進行役にならないよう、議題と議題が意味を持ってつながるコメントを入れたことは工夫した点です(いま「◯◯」の話が出ましたけど、そうなると「▲▲」の点で「次の議題」も気になりますよねー、みたいな感じです)。

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登壇者に気持ちよく話してもらうために、大げさすぎるぐらいに相槌を打つようにもしました。といっても、人は自分が思っているほど大胆には振舞えないので、客席からみると丁度いいぐらいのリアクションにみえていたのではないでしょうか。

また、質疑の時間を後ろに設けているとしても、参加者が気になっていそうなこと、知らないであろうことを突っ込んで聞くことも、モデレーターにしかできない大切な役回りだと思います。話題を止めることなく深めていくためにも、リサーチの重要性をあらためて感じました。質問のコツとしては、多くの場合「何をしている」が最初に語られるので、続けて「なぜ」や「どうやって」を聞くと自然に話が転がっていきます。

参加者に何の話かとらえやすくしてもらうための工夫として、重要と思われるキーワードを意図的に繰り返してみたり、要点を端的にまとめて伝え直したり、実体験を交えて補足してみたり、といったことも意識して行いました。

まとめにかえて

こうして振り返ってみると「事前の調査 → ゴールとコンセプトの設定 → コミュニケーションの設計 → オフレコ情報を引き出す質問 → 情報の取捨選択 → 伝わるための翻訳」と、ディレクターとして普段の仕事でしていることが地味に役に立ったのかもしれません。

一言でいうなら、モデレーターは「無茶をしないこと(アドリブに頼らない)、無理をしないこと(合わないやり方はしない)、備えが完成度をあげるということ。」……三言になってしまいましたが。

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ネタが豊富かつ濃厚なので仮に進行がトチッたとしても事故にはならないだろう安心感をくれたニシグチさん/TURBOさん/秋山さん/モンブランさん。運営をサポートしてくれた会クリのメンバー、温かく見守ってくれたクリエイター仲間。そして何よりご参加いただいたみなさん……、本当にありがとうございました!


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