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洞爺湖で読みふける『旅をする木』

2014年5月22日

洞爺湖キャンプにて連泊をする。

富山でお世話になったKさんから一冊の本をもらっていた。
別れ際、内容などなにも告げずに「これ、いい本だから。」と渡された本である。

この本を各地でキャンプしながら読み進めてきたのだが、これが胸に沁みること沁みること。

星野道夫さん自身の体験を綴った場面は普段忘れてしまっている大切なものを思い出させてくれる効能がある。

変わり者達のエピソードは現代社会からすると可笑しくもあり、それでいてどこか本質を突いてもいる。
突然動かなくなってしまった現地ガイドの主張や、マイナス何十度という極寒の地をサンダル履きで自転車に乗る老人の話など読んでいるとホッコリする。

変人たちのエピソードを読んでいると、自分の変なところもまた面白味であるとストンと腹に落ちてくるような感覚があった。
なにも考えずに読みだしたのだけれど、なんだか自己肯定感が高まったような感じさえする。

いい気分のまま施設内の温泉に行き、受付のオヤジに色々と聞かれて自転車旅をしていると告げる。

「学生さん?」と聞かれたので、「いえ、仕事辞めてきました。」と言うと、「仕事辞めてまでする事じゃないよぉ」とイヤな感じで言われ、それまで浸っていた星野道夫の寛容なる世界の余韻を一瞬で吹き飛ばされた。
ジジイめ。

ジジイはともかく、旅の途中のキャンプ場で紅茶なんて飲みながら読むにはうってつけの本だった。


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