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#官能小説

追いつかない女

 英美里は足が速い。

 特に陸上競技をやっていたわけでもない。そういった選手と較べれば当然負けるのだが、その無気力な見た目よりもずっと速い。とても追いつけない。気づけば距離を離されている。

 シーツの中に身体が沈んでは浮き上がる。息をついては吸う。終わりが近いようで遠い。このままでいたいような、早く解放されたいような。もういい、と思いながらももう、ずっとこの緩やかな退屈さの中にいたい、ような。

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