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私と、この町に住む人々が愛する景色をこの映画に残したい|大井薫幾

この夏、25名の大学生によって制作される映画「カフネ」。
noteマガジン「#それぞれの想い」では「カフネ」に向き合うひとりひとりの想いを紹介していきます。

大井薫幾
「カフネ」の舞台である熊野市・木本高校出身。
本作では助監督やロケーションコーディネーターとして「カフネ」と熊野市を繋いでくれている。




今でもまだ、夢のような経験をしていると思う。

本作の舞台となる私が育ったこの町は小さくて狭い町だ。
ベースとなる磯崎町では、幼少期のほとんどを過ごしていた。祖父母の家が あって、小さな港があって、私より半世紀以上前に産まれたご年配の方しかいないところだ。町は一時間あれば一周できてしまう。

そこにいる人はみんなあたたかくて、世代が全く違う私と家族のように接してくれる。当時から私の家族以外若い人はほとんどおらず、私だけが知っている、ずっと変わらない特別な町だと思っていた。 この町の景色は、私の背がどれだけ伸びても変わることはなかった。それは私にとって美しい景色で、変わってしまう方が不安で恐ろしかった。いつもの景色、いつもの人。それだけで充分だった。

今思えば私の考えることも小さくて狭いことばかりだったと思う。いつだって受動的だし、大きなことに挑戦するのは自分にはどだい無理な話で、考えることすら億劫だった。ましてや、この町で映画が撮れたらな、なんてことも非力な私だけではどうにもならないことだった。

しかし私はいつもと同じ場所で全く違う景色を見た。
どういうわけか、偶然に偶然が重なり、いつもの場所で、大学の仲間達の背中を見た。狭く感じていた海の前で、生まれも育ちも異なる人たちがずっと遠くを見ていた。そして、口を揃えて『この町で映画を撮りたい』と言うのだ。

奇跡だと思った。決して大袈裟ではないと思う。

本作でも描かれることであるが、自分の気持ちを誰かに伝えるのは難しく、とても勇気がいることだと思う。しかしそれは映画製作に はなくてはならないもので、関わる全ての人の考えや、勇気の縮図だとこれまでの撮影準備期間で実感している。

私も勇気を出して伝えたい。私と、この町に住む人々が愛する景色をこの映画に残したい。そして私を本作の製作に呼んでくれた監督や、後援を下さった方々、「カフネ」スタッフ全員の思いが巡る映画になるよう、一丸となって製作に挑みたい。

私しか知らなかった小さな気持ちがどんどん大きくなっている。
そして、私しか知らないはずの景色の中で大勢の人が同じ気持ちになって一つの映画を作り上げようとしている。
夢じゃない、変わっていくのは恐ろしいことばかりではないのだ。

助監督|大井薫幾


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