そめかわ たくま

『CAFEめがね書房』店主。2015年に三重県の地元でギャラリーを併設したブックカフェ…

そめかわ たくま

『CAFEめがね書房』店主。2015年に三重県の地元でギャラリーを併設したブックカフェをオープン。これまで語られる事のなかったお店の裏側や思い、店主自身の事を誰にも言わずひっそりと記録している。https://instagram.com/cafe_megane_books

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  • のはらマガジン

    地元三重県の山々に囲まれた大紀町野原から気ままに発信するマガジン。 プライベートでの思ったこと、主にエッセイなどの記事をまとめています。

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    お店のことについて書いた記事をまとめています。

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はじめに〜introduction〜

SNSに投稿するのは皆それぞれ様々な理由がある。 自分を表現したい、もとい、誰かに自分を見て欲しい、わかって欲しい、伝えたい。あるいは単純に歩んで来た人生の記録・メモとして使う人もいるかもしれないし、リアルでは言葉にできない、面と向かって言ってはいけないような言葉の掃き溜めのような場所として利用しているかもしれない。 しかしどんな理由であれ、根っ子の部分は自分の存在を認めてもらいたいという承認欲求があるのだと思う。 私はここにいると。 *** 今自分が使用しているS

    • 猫なんて飼うんじゃなかった

      2019年7月24日、生後3ヶ月の1匹の猫が我が家にやってきた。 知り合いの知り合いが保護していた猫が子猫を産んでその里親を探しており、ちょうどその頃、妻と猫を飼いたいねなんて話しをしていたので、そのタイミングで引き取ることにした。僕は猫を飼うのは初めてで、小さい頃からずっと飼ってみたいと思っていたので念願といえば念願だった。 猫どころか、ペット自体が飼えなかった幼少時代。祖母が特に大の猫嫌いで、庭で猫を見かける度に、「しっしっ!!あっち行きな!!」と猫を追っ払う姿を何度

      • 右手にスプーン、左手に文庫本。

        「なんでバターチキンカレーなんですか?」 ブックカフェをオープンして2年目のこと、当店のメニューにバターチキンカレーが突如登場してから、お客さんからよく尋ねられるようになった。 珈琲を中心としたドリンクメニューとスイーツが2種類しかなかったオープン当初、周りの人の認識では“喫茶店”というイメージがあったと思うので、トーストやピラフ、カレーライスやナポリタンなど軽食も何種類かあると思われていたのだろう。 現に、年配のお客さんが来店すると同時に、メニューも見ずに入口付近で「

        • おはつきいちょうの木の下で

          「くさい!」 掃除の時間にイチョウの木から落ちた銀杏(ぎんなん)を掃除するのが臭くて嫌だった小学生時代、みんな思わず口にしていた。 母校だった旧七保第一小学校の校庭には樹齢350年以上になる一本の大きな大きなイチョウの木がそびえ立っていて、小学生の頃の僕たちをいつも見下ろしていた。 この大木は明治初期までは、かつてこの地にあった法泉寺の境内に植えられていたものとされており、今では三重県の指定天然記念物になっています。 「おはつきいちょう」とはイチョウの木の変種で、葉の

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        はじめに〜introduction〜

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        記事

          『都会なんて夢ばかり』を読んだ日、僕はこの本と友だちになった。

          今日もまた本に救われたフォークシンガー・世田谷ピンポンズさんの自伝的エッセイ『都会なんて夢ばかり』が夏葉社の別レーベル「岬書店」から刊行された。 僕の経営しているブックカフェでも、もちろん仕入れて取り扱っているので例えまだ読んでいなくても「おもしろいので是非是非お買い求めください!」と販売している以上声を大にしてオススメしているのですが、いざ読んでみたらさらにオススメしたくなりました。控えに言って本当におもしろいです。 仕入とは別に、個人的に今回は京都の古本屋さん「善行堂

          『都会なんて夢ばかり』を読んだ日、僕はこの本と友だちになった。

          「読書感想文」の感想文

          読書感想文が苦手だったnoteで読書感想文を募る読書感想文コンテスト「#読書の秋2020」の課題図書の中に僕の大好きな森見登美彦さんの小説「四畳半神話大系」があったので、久しぶりに読書感想文を書いてみることに挑戦してみました。 挑戦と言っているのは、小学生の時に読書感想文を上手く書けた記憶がなかったからです。 小学校で書かされる読書感想文が苦手だった。感想なんてどう書けばいいのか分からなかった。分からなかったから嫌いだったのか、嫌いだったからわからなかったのか。今になって

          「読書感想文」の感想文

          要するに率直に大方の予想通り平たく所憚らずに正直に言ってしまえばその時私は彼に惚れたのである

          森見登美彦『四畳半神話大系』を読んで                         3年A組 そめかわたくま 例えばもし僕が高校生の頃に時間が巻き戻って、高校卒業後に違う会社に就職していたらど今頃どうなっていたのだろう。脱サラして今のようなお店を開業していただろうか。それとも、その就職した会社に生き甲斐を見出し、同じ会社に居続けて、辞めることなく定年まで迎えていただろうか。出会う人々も違っていただろうか。 森見登美彦の小説『四畳半神話大系』は、大学生の「私」がバラ色の

          要するに率直に大方の予想通り平たく所憚らずに正直に言ってしまえばその時私は彼に惚れたのである

          自分の足を使う〜ショップカードを置かせてもらう時の4つのルール〜

          5年お店を続けてみて、今だに新規のお客さんが毎日のように来てくれているという事に驚いています。 1年目は新しいお店ということで、どんなもんだろうと試しに来店する方が多いと予想はしていました。その通り、オープンして1、2ヶ月は集中してたくさんの人に足を運んでくださいました。 もちろん「よし!売れた!もう大人気店じゃん!」なんて思ったら地獄行き。 それは分かっていたので、調子に乗らないように気を付けていました。 そこからリピーターに繋がるか、口コミでどう広がっていくか、そ

          自分の足を使う〜ショップカードを置かせてもらう時の4つのルール〜

          本はいつでもあなたを待ってくれている

          僕は本を読むのが遅い読みたい本は沢山あるのに、本を読むのが遅いから買って手に入れてみたものの全然読み終わらない。積読本が溜まっていく一方だ。 早く本を読めるようになりたいから、昔、何冊か速読ができるようになるという本を読んで見たが、一行に早くなることはなかった。 そういう類の本を読んできて、なぜ本を読むのが遅いのか、理由が一つ分かった。 頭の中で音読しているからだ。 例えば小説を読んでいる時、僕は頭の中で一言一句丁寧に文字を拾って読んでいる。いや、言っている。 登場

          本はいつでもあなたを待ってくれている

          ばくばくパフェ誕生秘話

          そもそもの始まりはオープン当初、メニューは珈琲メインで、その珈琲に合うケーキ2種類とちょっとしたドリンクのみ。もう少しメニューを増やそうと考えていた時になんとなくクッキー的なものを作ってみようと思い立った。 本やネットでレシピを検索しまくって、これイイかもとたどり着いたのが、白い生地と黒い生地でホルスタインの模様を再現した牛のサブレだった。 なぜ牛なのかと言うと、お店のある大紀町は大内山牛乳や七保牛(松阪牛として販売されていく)の牛の産地だからである。 ただ、その牛の形

          ばくばくパフェ誕生秘話

          ブックカフェをオープンして5周年を迎えました

          2020年10月1日で、ブックカフェを開業してから丸5年が経ちました。 10月1日は「コーヒーの日」であり「メガネの日」でもあります。そこを狙ってオープンさせたわけではなく、これまた偶然にも開業した日がたまたま10月1日だったのです。 こんな日があるのはオープンして少ししてから知りました。運命の神様というものは時に面白いことをしてくれるなと思いました。 お店をオープンさせた場所は生まれ育った地元の三重県大紀町。 三重県内でもさらにマイナーな大紀町は山々に囲まれ、車でし

          ブックカフェをオープンして5周年を迎えました

          本と人がつながり、人と人がつながった話。

          カフェのコンセプトの一つに、「本と人がつながり、人と人がつながる」というようなテーマを掲げていた。 カフェのある地元には、地元の人たちが集まれるコミュニティーのような場所がすでに存在していたが、他にもっと違う形で人と人が繋がれるような場所を作りたいと思っていて、自分も好きである「本」をきっかけに人が集まってくるようなコミュニティーなら作れるのではないかと考えて、冒頭のようなスローガンができた。 だけど、僕みたいなコミュニケーションが苦手な人間に、地域に根付いたコミュニティ

          本と人がつながり、人と人がつながった話。

          『自分でつくることの大切さ』〜床張りワークショップから始まったDIY精神〜

          「ナリワイ」に出会う店舗を作る時、工務店などの業者さんに全て任せるのではなく、自分でできるところはできる限り自分で改装した。時には友達や知り合いを呼んで一緒にやったこともあった。もちろん基礎的な部分や専門的な工事はプロの方にやってもらったのだけど。 この“自分でやる”というDIY思考が芽生えたのは、ある1冊の本がきっかけだった。 その本は、伊藤洋志さんの著書『ナリワイをつくる』という本でした。 この本は、生活の中から生み出される複数の仕事で生計をたてる『ナリワイをつくる

          『自分でつくることの大切さ』〜床張りワークショップから始まったDIY精神〜

          お冷はお客さんとの架け橋〜セルフにしない理由〜

          一人でお店を切り盛りしているので、注文が重なっていて忙しい時にお客さんから「お水くださーい」と言われたら焦ってしまう。 「すみません!すぐ伺いますので少々お待ちくださーい!」と忙しく言ってしまうので、まだまだ修行が足らないなぁ〜といつも思う。もっと堂々とした余裕のある紳士なカフェ店員でありたいものです。 *** 今まで色んな飲食店を見てきましたが、お店によってそれぞれ違ったスタイルがあります。 よくあるのが入店して席に案内されてからテーブルでオーダーしてもらい帰りにお

          お冷はお客さんとの架け橋〜セルフにしない理由〜

          今日も一日がんばりましょう。

          noteのお題企画「#私の勝負曲」ということで、勝負どころで聴く音楽と聞いてパッと思い付いたのは応援歌の定番、中島みゆきさんの名曲『ファイト!』でした。 もうなんかストレートに「頑張れ!」って言ってくれているのが単純に力が湧いてきますよね。 サビ以外の歌詞は結構独特なのですが、共感する部分もあります。 “闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう”という歌詞を聴いて、確かに自分のやっている事に対して何か否定的な言葉を投げつけてくる人たちは総じて他人に依存していたり自分で何も

          今日も一日がんばりましょう。

          続けるということの大切さ

          継続は力なり高校の卒業式が終わった最後の日の教室で、最後に贈る言葉として、 「“継続は力なり”。この言葉を忘れないように。」 と担任の先生が言った。 この言葉はどこかで何回か聞いたことがあったけど、先生に言われた時、よくある言葉だと思うぐらいでそれほどピンとこなかった。 高校を卒業して何気無く就職して途中やりたことが見つかってその会社を退職して自分のブックカフェをオープンして数年経って、ようやく“継続は力なり”という言葉が僕の頭をやたらと駆け巡るようになってきた。

          続けるということの大切さ