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『自分でつくることの大切さ』〜床張りワークショップから始まったDIY精神〜

「ナリワイ」に出会う

店舗を作る時、工務店などの業者さんに全て任せるのではなく、自分でできるところはできる限り自分で改装した。時には友達や知り合いを呼んで一緒にやったこともあった。もちろん基礎的な部分や専門的な工事はプロの方にやってもらったのだけど。

この“自分でやる”というDIY思考が芽生えたのは、ある1冊の本がきっかけだった。

その本は、伊藤洋志さんの著書『ナリワイをつくる』という本でした。

この本は、生活の中から生み出される複数の仕事で生計をたてる『ナリワイをつくる』という考え方を著者の実験とともに書き記された本です。

この本が1ページで分かるページがありますので、詳しくはこちらをご覧ください。

その著者である伊藤さんが作った仕事、つまり“ナリワイ”の一つに全国床張り協会というものがあります。

「床さえ張れれば家には困らない」を合い言葉に設立され、床張りは素人でも時間をかけて取り組めば作業ができて、さらに大勢でやれば楽しい遊びにもなり、自分の手でボロボロの空間が気持ちのよい空間に変わる様を見るのはこの上ない達成感を独占しないで広く共有しよう、という趣旨があります。

この本に出会った頃はまだ会社員で、今の働き方、生き方で良いのだろうか?という疑問を抱いており、自分のやりたい事をする為に働き方についての本などを本屋さんで探してよく読んでいた時期です。

こんな生き方もあるのかと衝撃を受けた1冊でもあります。読んでいるだけでワクワクしました。

この本は、間違いなく僕の人生に大きく影響を与えた1冊です。


改装ワークショップにハマる

『ナリワイをつくる』を読んで、まず最初に興味を持ったのが全国床張り協会が開催している床張りワークショップで、このワークショップに参加し床張りについて勉強したら、自分のお店をつくる時に自分で床を作れるのではないかと思ったのです。

ここは一度床張りの体験してみようとインターネットで検索したら、その時期ナリワイの伊藤さんがやっている床張りワークショップは近場では募集はしていませんでした。

しかし、全国床張り協会主催ではないけど、京都で「床張りワークショップ」の参加者を募集しているサイトを見つけました。

募集していたのは、京都市内のアーティストを支援する団体、HAPS(東山アーティスツ・プレイスメント・サービス)。

通称ハップスは、京都在住の芸術家を支援する団体で、アーティストの住居および制作のための不動産をマッチングしたり、作品の制作をサポートしています。

HAPS(東山アーティスツ・プレイスメント・サービス)
http://haps-kyoto.com

拠点であるHAPSオフィスは、祇園の南側にある閑静な住宅街、京都市東山区の六原学区に位置し、そのオフィスとして使っている古い町家を改装するというものでした。その改装ワークショップの第1弾として床張りワークショップの参加者を募集していたのです。

HAPS自体にも興味を持ち、京都なら日帰りで車で行けるというのもあり、まずはここで行われる改装ワークショップに参加してみようと早速申し込みました。


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京都でHAPSの床張りワークショップを体験し、みんなで一緒に自分たちの手で何かをつくるという楽しさに出会い、その後にHAPSで開催されたワークショップは都合がつけば欠かさず参加するようになりました。

床張りワークショップを始め、建具ワークショップ、ペンキ塗りワークショップ、土壁塗りワークショップなどなど参加する為に約1年ぐらい京都に通い詰めた時期がありました。

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京都に泊まり込んで2日連続でワークショップに参加する時もありました。

そして、ほぼ改装が終わったHAPSオフィスの外観です。
外壁のペンキも塗らせてもらいました。

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大変な作業もありましたが、何よりもみんなで遊びながら作業するのが楽しくて、ワークショップで色んな人と出会うことが一番の財産になったのではないかと思います。

これらの体験を、三重県にも持ち帰りたい。いつしかそう思うようになり、自分のお店を作るときも、友達や知り合いを呼んで一緒に出来るところは自分たちでやろうと考えるようになりました。


改装ワークショップを開催する

自分のお店を改装するにあたり、まずは借りた古民家の床を自分一人で剥ぎました。

この床を剥ぐ作業の他に、古民家を片付けるのはただただ大変なので、人に頼むのはちょっと気が引けた為、自分一人で黙々とやってました。

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床の下地はしっかりしたものにしなければと思い、地元の大工さんにやってもらいました。

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床の下地ができたところで、友達や知り合いの方達と一緒にペンキを塗ったり、尊敬する某カフェオーナーさんや某コーヒーロスターさん、某ミュージシャンの方まで巻き込んで、庭でBBQをしながら壁に漆喰を塗ったりと、楽しい改装が繰り広げられました。

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さて、ここで床にフローリングを張る作業に突入する時が来たのですが、ここはもう全国床張り協会に頼んでしまおうということで、ナリワイの伊藤さんに直接ご連絡をさせていただき、床張り合宿をここ三重県大紀町の将来カフェとなる古民家で開催してほしいと依頼しました。

実は、床張りを依頼する前から、京都で伊藤さんのトークイベントやTumblrワークショップなどに参加して少しお話させて頂いてました。

Tumblrの使い方を教えてもらうワークショップに関しては、改装が終わったHAPSオフィス内での開催で、実はHAPSとナリワイの伊藤さんが繋がっていたことも後から知りました。HAPSが床張りワークショップを開催下のも伊藤さんからの影響だと思われます。

そんなこんなで、伊藤さんに三重県で床張りワークショップを開催してくれると快く承諾してくれました。

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全国に募集をかけたところ、三重県内だけでなく京都や大阪など県外からの参加者もあり10人ほど集まりました。その中には、HAPSオフィスでのワークショップで知り合った方も来てくれました。

泊まり込みで2日間、6畳二間と8畳の部屋の床を全て張り終えることができました。

この床張りワークショップは、ナリワイの伊藤さんに参加費を支払い、道具の使い方から床の張り方のレクチャーを受けるというもので、僕はその場所を提供したといった感じです。

こちらが他に用意したのは寝る場所(実家とはなれに寝てもらいました)と、朝食と昼食だけでした。宿泊する場所がほぼ0円と安く確保できたので、普通に大工さんに作業してもらうよりは安く予算を抑えられたと思います。

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そんな感じで、仕上げに友達と一緒に床をオイルステインで塗ってようやくハコが完成したのでした。


改装ワークショップで得たもの

全員素人というのもあり、決して全てがキレイに仕上がったわけではありません。お店の床もちょっと隙間があったり、漆喰の壁もペンキの壁もムラだらけでプロから見たら怒られるような仕上がりなのですが、この手作り感が僕は大好きです。

漆喰の壁も一人一人の癖が出ていて面白いです。

何よりも、自分たちの手で作るとそのモノに愛着が湧いてくるのです。

現に、HAPSオフィスの改装ワークショップが終わってからも、京都に行った時にはオフィスに寄ってみたりして、楽しかった時間を思い出しています。

逆に、めがね書房の床張りワークショップに参加してくれた人がお店がオープンしてらかも何度か来てくれたりします。

出会いもたくさんありました。

HAPSのペンキ塗りワークショップした時、3人組のアーティストhyslom(ヒスロム)に来てもらい、遊びを盛り込んだ改装ワークショップで楽しませてもらいました。

hyslom/ヒスロム
http://hyslom.com

その後もヒスロムの展覧会を見に行ったり、伝書鳩ワークショップという面白いワークショップにも参加させてもらい貴重な体験をすることができました。

人と人だけの出会いでなく、こういった貴重な体験との出会いも改装ワークショップに参加したことで生まれました。


何かを作る時、すぐにプロに頼まず、まずは自分たちでどうやったら出来るかを考えるようになりました。

仕上がりが悪くても、自分の手で作るという行為は、最大限に自分の頭をフル回転させ、勉強する思考をもたらしてくれました。

考えることが大切で、常に思考することこそ、人間の成長に繋がるのではないかと思います。


失敗するのは当たり前で、ダメだったらまた挑戦すればいい。


人生なんて案外何度でもやり直しがきくと思います。死ぬこと意外。


どうせなら人生楽しみながら生きましょう。


人生DIYです。




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