本はいつでもあなたを待ってくれている
僕は本を読むのが遅い
読みたい本は沢山あるのに、本を読むのが遅いから買って手に入れてみたものの全然読み終わらない。積読本が溜まっていく一方だ。
早く本を読めるようになりたいから、昔、何冊か速読ができるようになるという本を読んで見たが、一行に早くなることはなかった。
そういう類の本を読んできて、なぜ本を読むのが遅いのか、理由が一つ分かった。
頭の中で音読しているからだ。
例えば小説を読んでいる時、僕は頭の中で一言一句丁寧に文字を拾って読んでいる。いや、言っている。
登場人物のセリフは、頭の中で感情を込めて演技しながらその人になりきって、その人の言葉のスピードでセリフを言っている。セリフ以外の描写も自分がナレーションになったつもりで頭の中で声に出して言っている。
頭の中でテレビドラマや映画の如く再生されているのだ。
常に標準再生で、2倍速で再生されることはない。
小説を早く読むには、早口なイメージの登場人物が出てくるしかない。
頭の中の声はいつも森本レオだ。
そりゃあ、読むのが遅くなるはずである。
SNSを見ていると、今日はこの本を読んだ、あの本面白かったと頻繁に投稿をあげている人を見かける。
こんなに沢山の本を早く読み終わることができてすごい。羨ましい限りです。
「本は待ってくれている」
本を早く読むテクニックとして、拾い読みとか斜め読みとか、最初と最後の文章しか読まないとか、まるで写真に撮るのと同じ感覚で読んでいく写真記憶方式なる速読法など様々あるけど、自分は本は最初から最後まで順番に読まないと気が済まない派なので、これらのテクニックは使えないのです。
何年も前に買った本が1ページもめくる事なく本棚に刺さったままになっている本もあります。あ、嘘です、必ず冒頭だけ読んだりたまにどんな本かなとパラパラめくったりはしてました。
未読の本がどんどん増えていく中、本当にこの本を買って良かったのだろうか?他の人の手に渡ったほうがこの本は幸せなのではないだろうかと罪悪感が芽生えることもありました。
そんな中、救われた言葉があります。
つい最近の話、Eテレの『趣味どき!本の道しるべ』を観ていた時の事。
作家の平松洋子さんが「本は待ってくれている」とおっしゃっていました。
平松さんも何年も経ってから読み始める本もあると、すぐに読まなくても本はいつでも待ってくれているので、早く読まなくてもいいのだと。
本というのはそういう風にできていると。
この話を聞いて、救われる人は多いはずです。
僕も改めて、自分の好きな時に自分のペースでこれからもゆっくり本を読んでいこうと思いました。
さあ、今日もあの本が僕を待ってくれている。
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