見出し画像

コーヒー豆を電子レンジで焙煎する時代【コーヒー界に革命を起こす技術革新の兆し】

遅かれ早かれ、家庭でも電子レンジのような電子機器で自家焙煎する時代が来ますという内容です。

趣味での自家焙煎における限界と私の落とし所

先日、私の記事を紹介いただいたフォロワーのfoolcoffee@コーヒー好きのWebライターさんの記事、共感できるとても素晴らしい内容でした

恥ずかしながら、私もはじめ焙煎には苦労して、フライパンでも深煎りレベルのものはそれなりにできたものの、浅く入ろうとするとばらつきがあって生焼け状態の豆が混ざって雑味が多い味になった経験があります。

そこで、均一に熱することを目指し、回転モータ付きのKALDIコーヒーロースター(直火式)と熱電対(本格温度計)を購入して本格的にトライしました。中深煎りくらいまでなら均一に煎れている印象です。

ただし、スペシャリティコーヒーで流行している浅煎り・中煎りレベルになると直火式では限界。かといって半熱風や熱風式のロースターは熱風を発生するのに電気代がバカになりません(熱効率が悪い)し、定期的に清掃しないとダクトにヤニが発生したりメンテナンスも大変かと。なかなか一般家庭で導入できるような代物ではなく大量生産向きの設備構成と感じています。

なので、私は中深煎りくらいまでなら均一に煎れている回転モータ付きのKALDIコーヒーロースターと熱電対の2点セットがコーヒーを趣味として楽しむレベルであれば十分な設備環境と満足しています。

焙煎を制御するには

私の記事ではこれまでに焙煎メカニズムの解明について紹介してきました。(まだ読んでいない方は過去の記事をぜひ読んでください)

実は焙煎のメカニズムはおおよそ理解できています。

・ミクロ組織観察ツール(走査型電子顕微鏡SEM)
・物理・化学現象に対する知識
・スーパーコンピュータ

これらの人類が発明してきたものにより、焙煎については例外なく完全に解き明かされる時代はもの目の前まできています。

そうなると、味や香りは完全にコントロールできるようになるわけですが、最後にもう一つ壁があります。焙煎を制御するためにはfoolcoffee@コーヒー好きのWebライターさんのおっしゃる通り高温度で安定して均一な熱源が必須なのです。

熱源の問題

焙煎の方程式があっても温度のムラが出てしまったり、温度を正確にコントロールできなければ結果が変わってきてしまいます。

<<ここでAIを趣味で開発している身としてのコメント>>
温度のバラツキ(焙煎のムラ)をパラメータとして、どのAIが一番均一に煎れる条件を見つけられるかを勝負させていくと囲碁の世界のようなすごいAIを作ることができる。

資金と知識があれば、AI+αで今ある技術でも煎りムラは抑えられる事が予想できます。詳しく知りたい方は以下の記事を読んでください。

<<焙煎士の仕事はAIで代用可能に(最新機器の知識が必須に)>>
の部分に書いてあります。(有料です)

脱線しましたが、AIを使った焙煎には初期費用(専門家コンサル+システム+各種機器)がかかるので大量生産のような工場向きで始まるでしょう。人件費とか固定費を抑えたい大企業向きだと思います。間違っても家庭用では出てこないでしょう。

家庭向け焙煎機の理想形は電子レンジ型!?

では家庭向けでいつになったら熱源問題を解決した焙煎機が手に入るのでしょうか。

ここでタイトルに出てきた電子レンジの登場です。

すでに電子レンジの原理である電磁波をコーヒー豆に使用している例があります。※今回は長くなってしまったので紹介は次回にします。

実は熱風で熱するより電磁波で温めた方がよりコーヒー豆内部までの熱拡散係数が大きいのです。(拡散についても詳細は次回にします)

結論を言うならば、電子レンジの方が豆の芯まで熱が拡散するスピードが速いということです。

熱風のような熱放射線で熱する場合にはどうしても表面が先に熱せられ、焙煎初期に内部は全く水分が抜けていないということです。

衝撃的な結末ですよね。現在主流の焙煎より効率が良い技術がこんなにも身近にあったなんて。。。

ただし、電子レンジは小ロットしか処理できない(大量生産向きではない)ので、大企業で導入するには超大型電子レンジを開発するメーカーの登場が必要です。

よって、電子レンジ方式を使うなら家庭向けがベストと言うことになります。

ただし、実際に電子レンジでやってみると分かるんですが、今ある電子レンジでは場所によるムラがスゴイんです

画像1

ラップすると水分が飛んでいるのがよくわかります。

画像3

実際にザルにあげてみると、皿の中央底部にあった豆が黄色になってしまってました。今の家庭用電子レンジで焙煎をすることは難しそうです。

今後、この問題が解決されれば電子レンジでの焙煎も夢ではなくなるでしょう。「レンジでチン」で美味しいコーヒー焙煎豆ができちゃうなんて超便利ですよね。まだ研究段階なので10年以上は先かなぁと個人的には思っています。

私は最近、豆を乾燥させる用途で電子レンジを使い始めました。

生豆は洗った方が表面の汚れを落とせるのと、焙煎時にチャフが飛ばないので後片付けの面でいいのですが、乾かすのが大変でした。

自然乾燥では待ちきれず、ドライヤーで乾かしていましたが、最近は電子レンジで水分飛ばしています。(あくまで水分を飛ばす目的で焙煎が進まないように注意)

海外の論文でも乾燥工程で熱放射(電気オーブン)より電磁放射(電子レンジ)の有用性を主張している論文もあるので、皆さんもまずは乾燥目的で使ってみましょう!

「電磁波」や「拡散」「そもそも熱とは」などなど、少し物理に踏み込んだ話は次回にします。

ご清聴ありがとうございました。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?