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コロコロ変わる名探偵

「犯人はこの人ですっ!…あれ、あ、違うかなぁ。あ、こっちの人ですっ!…、あぁ、やっぱり違うかも知れない…」

都内某所の探偵事務所。

かれこれ2時間以上、目の前の容疑者の写真と資料を見ながら、名探偵小野田迷は迷い続けている。

「木戸警部、本当にこの人名探偵なんですか?」
若手の青井刑事が尋ねた。
「あぁ、世界中で難事件を解決してきた名探偵だ。…と聞いている」
年配の木戸が答える。

「会ったことは?」
「ない」
「・・・大丈夫なんですか?」
「知らん」
「・・・。」

「小野田さん、そろそろ犯人わかりそうですか?」
しびれを切らした青井が問い掛けた。

「いやぁ、すみません。少し時間が掛かりそうなので、紅茶でも飲んでお待ち下さい」

そう言うと小野田は慣れた手つきで、2人分のセイロンティーを入れ、テーブルに置いた。

その数分後、2人の刑事が苦しみ始め、間もなく息絶えた。

「そりゃあ教えられないですよ。犯人、私なんですから」

殺人鬼が、ニヤリと笑った。

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