8年前の放浪スナップ

昔はよくスナップを撮るために、フラフラ出歩いていた。
フラフラ出歩くために、カメラを持っていたのかもしれない。

放浪癖と親和性の高い青春18きっぷ。
それを片手に、ある年の夏、一人で外房線に乗ってみた。
読みかけの本と漫画とカメラを背負って。
帰りは内房線に乗ろうと思った。
それなら降りるところは安房鴨川だ。

そんなことをしていたのは8年前らしい。久々にログインしたFacebookが教えてくれた。
そんなことを知ると、8年でふらっと出歩かなくても、日々を過ごしていけるようになったんだな、と思う。

あの時に何を撮ったかなんてほとんど覚えておらず、こんな景色があったんだなと思う写真ばかりだったものの、このうなだれるひまわり達は覚えている。

うなだれるひまわりがお気に入りだったなんて、フラフラしがちな20代前半の人間らしくて、自分の凡庸さが微笑ましい。

月並みな西陽と水平線を、内房線に乗りながら撮った。
「月並みだな」と思いながら撮った。

それでも、撮っておいて良かったじゃん、と8年後の私は思う。