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短編集

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これまでに発表した短編小説をまとめています。
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2020年11月の記事一覧

あなたのためを想って

 あなたのためを思って。想って。

 そんな言葉を聞くたびに、違和感を覚えます。本当は自分の考えを押しつけたいだけに見えるから、自分のためにしか聞こえないから、というのも、もちろんそうなのですが、そもそも疑問なのは、想っていれば許されると、想ってさえいれば構わないといった、底にあるものそれ自体です。

 想いさえすればいいんでしょうか。想ってさえいれば、何を言っても、しても許されるんでしょうか。相

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他人の気持ちは理解できない

 ランドセルを背負った子どもが、道端で泣いていた。手で腕でごしごしと、瞳を拭っていた。

 この一瞬に、すべてが詰まっています。この子は果たして、どんな気持ちでいたんでしょう。誰かの心を理解しようと努めるとき、人はどういうふうに、思考の毛糸を編むでしょう。

 泣いているってことは悲しいんだろう。つらいことや嫌なことがあったんだろうな。そういえば自分も、帰り道に泣いたことがある。あのときはあぁいう

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不愉快

 ある人間のしたことが不愉快だと思うのなら、そしてそれを表明したいのであれば、そう言葉にすればいいのですが、そういうときに、人は「不愉快」とは言わない。道徳や倫理や人間性や、社会や人数や他者などという曖昧なものを理由にして、根拠にして、その行為の問題性をでっち上げようと、あるいは極端なまでに誇大化しようとする。自分の不快感に、正しさを付与しようとするんです。

 そんなことを言ったら傷つく人がいる

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