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生まれてはじめてベッドから落ちて、気づいたこと。

8月は目まぐるしく色々なことがあった。

リアルに体感としてすご!って感じたのは。
この歳になって、ベッドから落っこちがこと
だった。

ベッドから落ちるっていうシーンをよく
ドラマとかなんかでみることはあったけど。

わたしは大丈夫だと信じていた。

昼間連日の酷暑で貧血もひどくて、慢性寝不足で
うとうとしていて、とりあえず仮眠をとろうと
していた。

ちゃんと寝たらだめだぞってわたしの中にいる
指導部員に言い聞かせ。

脚を立ててねた。

脚を立てていたら、本格的に眠らないだろうと、
舐めていた。

そしたら、体がかくんってなったんだと思う。

寝返りを打ったつもりが気が付いたら、フローリングが
顔の横にあった。

そして何より、わたしは168センチの50キロ
ちょいあるのだけど。

それがいきなりベッドから投げ出されて
フローリングに着地するのだから。

すごい轟音がしたのだと思う。

わたしはなぜか、ベッドから落ちたって
つぶやきながら。

これはふとんがふっとんだと変わらんって
あたまの中でツッコみながら。

立ち上がり、母のもとへと階段をいつもの
ように駆け下りた。

呼吸器系の疾患がある母が心配して階段を
上ってきたら大変だと思って急いでいた。

階段を下りてきたら、母が一番下の階段を
上ってこようとしていて

なにごと?雷でも落ちたの?

ってマンガみたいなことを言った。

ベッドから落ちました💦

落ちましたって言ったら、え?

って母も問い返した。

そして、まぁ。

って近所のおばちゃんみたいに言った。

幸いにも買い求めた本とタオルが入れて
あったちいさな袋が、フローリングにあって
頭のあたりのクッションとなり。

わたしはあまり痛みを感じなかった。

でも少し膝小僧をすりむいていたみたいで。

その痛みが、子供時代のわたしの
記憶をつれてくる。

プールの帰りに早く帰り着きたくて
走っていたら、大きな石につまづいて
人生で初めて膝小僧から血を流した。

その時もわたしは転ばないと思っていた
からびっくりした。

あ、血だ。

って思いながらも他の子たちはもう
ばんばんけがをしていたので。

膝小僧をすりむいたからみんなと
一緒になっちゃったって思ったりしていた。

それが嬉しかったのか哀しかったのか
どうでもよかったのかは覚えてない。

この歳になって膝をすりむくだなんて
ちょっと夏休みの子供の頃ぶりじゃないかって。

どこも怪我してなくてよかったって母が
言う。

もう、気をつけなさいよって言われて
雷が落ちたのかと思ったって笑えるって
笑っていたのだけど。

もう一度自分の部屋に戻ってからわたしは
こわくなっていた。

ベッドの足は89センチぐらいあった。

89センチからわたしは落ちたのかと。

そしてフローリングの硬さを知って、
無事だったことを有難く思った。

こわくなったのは自分が死んでいたかも
しれないことを思った。

それは母を一人残してしまうということ
なのだと思ったのだ。

よくわたしはしんどいときなどに、
いつ死んでもいいとかって口走ってしまう
不遜な娘ではあるのだけど。

その時にいつも声にはしないけれど。
母が悲しそうな顔をするのをみたことが
あって。

それからは言わないようにしていた。

ベッドから落ちて思い出した話があった。

ある日対談を聞いていた。

好きな作家と詩人のお二方が子育てについて喋って

いた。

子供ができた時、世界から取り残された2人のように感じた。
部屋のすみとすみに私たちがいて、なんかとても寂しかった。

そんなふうに答えていたので。

子育てを経験しなかったわたしは感覚的に

わからなくて聞いてみたのだ。

世界にふたりぼっちで、泣きそうになるとか、
そういうことあった?

そう尋ねたら、母は

なんで?

って不可思議な顔をした。

世界とか考えたことないし。

そんなに物事を深く考えない。

生まれたら、育てるしかないし。

勘だけで生きて来たから、行き当たり

ばったりでただ必死だっただけって

笑った。

そして、その人達の考えだからよく

わかんないけどって前置きしながら

寂しいって? 
だって赤ちゃんのあなたがいるじゃない。
ひとりじゃないじゃない 
ふたりでしょって。

ひとりじゃないじゃない。
ふたりでしょ。

母がそう言ってくれた時のことが
鮮やかによみがえってきた。

あの日ベッドから落ちて死んでいたら
母はひとりになっていたのだ。

誰かのために生きると考えたことは
あまりなかったけど。

わたしはこれから先母と生きるのだと。

なぜだかベッドから生まれてはじめて
落ちてから、心にそのことを刻んでいた。








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