6.ロンドンにいるんだ!という感覚
前回の話はこちら!↓
土曜日、休日の朝早くから開かれる英会話サークルに向った。
トーマスと会場の前で待ち合わせし、一緒にサークルに参加。サークルの先生たちは私たちのことをカップルだと思ってそれなりの対応をする。
ロンドンで警備員の仕事をしてるくらいだからトーマスはもう、英語ペラペラだ。彼的にはアクセントを直したいから英会話教室などに時々通うらしい。
私にはそのアクセントやらがわからなかった。
みっちり90分のレッスンを受けたあと、近くのスーパーで軽食やスナックを買って、ランチピクニックをすることに。5月の青い草花が美しく、池のほとりには白鳥が羽を休ませていた。楽園だった。
なぜかトーマスとは会話ができていて、私も不思議だった。
語学学校では全く会話が成り立たないのに、英語ペラペラの大人相手だとやっぱり理解力が違うんだと思う。
私も調子に乗って、いろんなことを聞きまくって会話を弾ませながらロンドンの街を散歩した。
夕暮れになると有名なトラファルガー広場に彼は案内してくれた。彼はこの広場を含めたエリアの警備をしている。
彼は「特別な場所に連れてってあげる。」と言って、ある建物の屋上へ招待してくれた。
トラファルガー広場でたくさんの人が行き交い赤い二階建てバスが走り回ってるのを空から眺めるなんて、誰が想像しただろうか。
詳しくは書けないが、有名な建物の屋上だ。
長年イギリスに住んでる人でもここからの景色はなかなか見れないだろう。
「あぁ、ロンドンだ!私はロンドンにいるんだ!」
と叫びが心の中で止まらなかった。
しばらく眺めていたら、日も暮れて風が冷たくなってきた。
「君は僕の理想だ。」
彼は私を後ろから抱きしめた。
硬く硬く抱きしめて、体温の高いムキムキマッチョのおかげで私は一気に汗ばんだ。
そして、お城のような施設に住み込みで働いてるためそのまま彼の住む部屋に案内してくれた。
すごく広く綺麗な部屋。シェアキッチンで同じくそこで働く警備員がいた。そしてトーマスは「彼女のアンジー、日本人なんだ」と言った。
「あぁ、彼はそのつもりなんだなぁ。」
と俯瞰して他人事のように聞いていた。
私は、否定もしなかった。
私は、次の日の朝にまた別の用事があったため、帰りのバスのルートを探していた。
「帰るの?泊まってっていいんだよ?」とトーマス。
「着替えもメイク道具もないし、帰るよ。」
彼のガッカリした顔を見ても、私はなんとも思わなかった。
「いつでも、来たい時や会いたくなったら来ていいし泊まってもいいからね。」
と優しく言う彼は大人だった。
そして彼は「また明日も会おうね、」とも言った。
プロポーズまであと543日
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