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あらゆる中古商材情報を蓄積する「商品マスタ Promas」の開発・プロトタイプ導入の裏話

こんにちは、PR三浦です。
先日はいま開発を進めている「リユースプラットフォーム」について今村CTOにお話を伺ってきました。
現在は機能ごとにプロジェクトを分けて、開発が進められています。

今回は、それらの中でも先行して進んでいる商品マスタプロジェクト「Promas(プロマス)」について、携わった沢山のメンバーの中から今回以下の4名にお集まりいただき、現場のニーズから要件定義、中古品らしいハプニングまで沢山お話頂きました!

右奥:赤川 龍之介(あかがわ・りゅうのすけ)
テクノロジー戦略本部 開発2部 マネージャー
2021年7月に中途入社。商品マスタPromasのPM。過去のnoteはこちら

右前:小松山 凌平 (こまつやま・りょうへい)
テクノロジー戦略本部 開発2部
2021年新卒入社。Promasチームのエンジニア。

左奥:市川 裕(いちかわ・ゆう)
商品戦略本部 商品2部 副部長
2018年よりブランド品・時計・宝飾品を担当する商品2部に所属し、査定や商品研修を管理。

左前:長山 栞(ながやま・しおり)
販売戦略本部 DX推進部 部長
2016年新卒入社。既存のシステムGYRO・AXISの導入にも携わる。過去のnoteはこちら

◆Promasってどんなプロダクト?

ーーまず、皆さんで進めているPromasとは、どういったプロダクトなのか教えて下さい。

赤川さん:
現在のバイセルのシステムは、買取側のGYRO(ジャイロ)と販売側のAXIS(アクシス)に大きく二分2分されていて、相互のデータをリアルタイムに活用することができません。
それをリユースプラットフォーム全体で、買取から販売まで一気通貫した形に変えようとしています。

Promasはあらゆる商品スペックや画像、市場価格や自社の過去取引など、様々な情報を蓄積する商品マスタです。今はプロトタイプで、ルイ・ヴィトンのバッグや財布を対象に開発してます。

Promasを介することで、買取のときには最新の市場価格や真贋ポイントをすぐ検索できたり、EC出品時には画像や商品スペックを引き出せたりと、買取から販売まで事業を大きく効率化させるものにしていく予定です。

中期経営計画2024より、リユースプラットフォーム全体像

ーーこのPromas開発に至るまでに、色々な経緯があったとも伺っています。

長山さん:
本当にいろんなプロジェクトの想いが合わさって、Promasへと昇華してきましたね。

元々は船橋ロジスティクス全体で、販売データを活用した買取商材の提案や、新規商材へのチャレンジを推進していました。その成功例が「カメラ買取PJ」でした。
一方、先日和田さんがお話されていた「接客時間短縮PJ」でも課題を探る中で、これ以上の解決にはテクノロジーの力が必要だという状況になっていて。
そして今村さんが入社されたことで、外販も視野に入れたリユースプラットフォーム構想Cosmosも動きはじめました。

こうして沢山のプロジェクトの課題感や想いを受けて、商品マスタPromasの開発が2021年7月から本格始動しています。
そして、テスト商材には物量が大きくインパクトがあるものが良いよねと、商品2部が取り扱うルイ・ヴィトンが選ばれたのが最初の経緯です。

ーー元々の商品2部では、どのように査定していたのでしょうか?

市川さん:
自社システムを介してお客様宅の査定士から商品の画像や情報が送られてきます。
船橋ロジの専門査定士がその画像を見て、ブランドや商品を特定、真贋判定をして、その時の流通価格を検索して現場に返しています。
1日あたり多い時で500件。1件あたり平均で4分、難しい商材だと7~8分かかることもありました。

買取〜販売の流れ(EC出品の場合)

実はバイセルの「画像だけで最終買取価格を約束する」というのはリユース業界では結構珍しくて。多くは画像査定の後に手元でも再査定して最終価格を決めているので、他社から来た方には必ず驚かれますね。

ーー商品2部側からすると、Promasのお話が突如やってきた形だったかと思いますが、正直いかがでしたか?

市川さん:
日々忙しく査定する役割だったので、特にシステム面で「こうしたい」とか「こうだったらいいな」ということまで考えられてなかったんです。コレが当たり前なんだと。
ただ、査定時間の短縮や価格の統一についてはずっと課題でもあったので、改善できるなら非常にありがたいなと思いました。 

これが完成すれば、将来的にはいま研修に1〜2年かかっているところ、2週間で十分に査定ができるようなことも実現するのではないかと考えています。
リユース業界ではFC(フランチャイズ)店舗がとても多くて、各社それぞれ教育や遠隔でのサポートに力を入れていますが、このPromasが完成すれば誰もが査定ができる。
今までの業界のやり方だととても考えつかなかった、できなかった未来が、実はできるんだと認識できたプロジェクトでした。

長山さん:
大風呂敷を広げましたが。

赤川さん:
リユースプラットフォームのコンセプトはそのとおりです。開始からずっとズレてないですね。

中期経営計画で掲げたSaaS化構想

◆開発時、査定の現場を見てみたら…

ーー期待大のプロジェクトの開始となりましたが、どこから手を付けたんでしょうか?

長山:
テクノロジー戦略本部、商品2部、DX推進部など部署を横断して、週に2,3回打ち合わせするような頻度で要件定義を進めていきましたね。

赤川さん:
開発にあたっては初期の要件定義は慎重に進めました。
今後はブランド品に限らず、もっと多様な商材を取り扱うことを想定していますし、将来的にはSaaS化して外販もしていきたいと思っています。そのためできるだけ商材を横断的に情報を持てるように、且つバイセルの今の形に寄り過ぎたものにもならないように気をつけました。

また、将来的にはリユースプラットフォームCosmosの査定システムDealと連携しますが、まずは現行システムのGYROへ一旦組み込むことになりました。これがまた大変でした。

ーーテックの皆さんで船橋ロジへ査定を視察に行ったようですが、いかがでしたか?

赤川さん:
10人ほどでゾロゾロと現場を見せてもらいました。システムとブラウザを行き来して査定しているのを見て、正直「査定ってなんて手間のかかる作業なんだ…」と思いましたね。

長山さん:
(笑)フォローしますと、皆さん熟練したプロなので与えられたUIで最大のパフォーマンスをしてくれてたんです!

赤川さん:
やはり、現場を見ることでの気づきは沢山ありましたし、改善点も見えてきました。

小松山さん:
この後もGYROへのPromasの組み込みについて、僕らの方で理想を描いて提案してみたんですけど、受け入れてもらえなかったことがあったんです。
なんでだろうと再び船橋ロジに足を運んで見てみたら、まぁこれは確かに、そうだねと。
テックの理想だけでは進められない学びがありました。

全力で査定を観察する赤川さん・小松山さん

ーーエンジニアの理想と現場の実態と、都度すり合わせだったんですね。

市川さん:
僕らも具体的な要望の伝え方に慣れてない部分が多かったので、テック側から実際にものを見せて提案してくれるのはありがたかったです。「そうそうこれが欲しかったんです!」という感じで。

赤川さん:
事業部とテックでプロジェクトを進めるにあたって、やっぱり同じ目線でものを見ないといけないと思っていました。また、作る側としても作って終わりにはしたくないなと、Promasの導入効果を見れるダッシュボードも小松山くんに作ってもらいました。

小松山さん:
専門査定数や査定の所要時間、全査定のうちどのくらいPromasで査定が可能だったかなどを日次で確認できるようにしました。
これをチェックすることで、Promasを使って査定できなかった商品を特定して、情報を追加・更新したりといった改善に繋がっています。

ーー現在どのくらいの情報が登録されているんですか?

小松山さん:
現在で約6,000点の商品情報が登録されています。
今後商材を広げていくためにも、マスタを組織的にメンテナンスしていく仕組みも作っていかないといけないと思っています。

◆軽量リリース後、都度改善!

ーーPromasが導入されてみて、実際の使用感はいかがでしたか?

市川さん:
本当に便利で、楽です。査定時間も4分程だったところから現在2分台まで短縮できています。
商品の名前がすぐに浮かばないときも、例えば「ハンドバッグ」で検索して、画像一覧で見ることができるので、悩むことも本当に少なくなりました。

Promasをつかった査定の様子

ちなみに、ブランド品は同じデザインだけど型番が違ったり、同じ型番でデザインが違ったり。製造年で財布のカード入れの数が変わったり、だけど名前は一緒だったり。ということが多いんです。
こんなのマスタ化できないだろと思ってたんですが、テックの皆さんが成し遂げてくれました。

ーー1型番が1商品を指さないなんてことがあるんですね…。

赤川さん:
この事実をPromasを初期リリースした後に知って動揺しました。スピーディ30って、何十種類もあったんだと。
蓋を開けてみないとわからないのは、面白いところでもありましたね。

しっかり作り込んでリリースしていたら大事故だったと思いますが、今回はかなり軽量でリリースできたところが本当に良かったです。

長山さん:
既存システムのGYROやAXISは作り込んでリリースされたので、中々改修が追いつかないところがあるんですが、Promasはアジャイル開発を採用して少しずつ作っていったので、事業部側としても「テックの人ってすごく話を聞いてくれるな」というイメージになっています。
他のリユースプラットフォームのプロジェクトでも、こうして細かく話を聞いてくれるんだろうな〜と、期待してます!

◆今後の展開は?

ーー今後このプロジェクトはどう進んでいく予定でしょうか?

赤川さん:
まずは近い将来、時計やカメラなど他の商材もマスタ化を進めていきたいと考えています。
その次の段階として、船橋ロジの専門査定でなくお客様宅の査定士が手元でかんたんに参照できる形も検討しています。

市川さん:
Promasは査定の時だけでなく、その先の販売でも活用できるのが、現場からすると本当に画期的でした。
これまでは1つの商品を買ってから売るまでに、
 ①査定システムGYROに査定に情報入力
 ②在庫管理システムAXISに情報入力
 ③EC出品時のささげ作業で情報入力
と、それぞれの段階で必要な情報を入力していたんですが、Promasのおかげで最初から完成した情報を参照できます。

人の手間がかからなくなったことで、僕らは専門知識を査定以外に例えば販売に活かすことができますし、今後の人の役割も大きく変わりそうです。

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今後もPromasを始め、リユースプラットフォームの各種プロダクトの開発状況をお伝えしていきます!
そしてそれらの完成に向けて、エンジニアを大募集中です!!


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