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CTOと新本部長が語るエンジニア組織論

引く手あまたのエンジニアを順調に採用し、35人の組織が約80名と2倍以上になったテクノロジー戦略本部。
2022年末までは取締役CTOの今村さんが本部長を兼任していましたが、2023年1月から新たに松榮さんが本部長に就任されました。

バイセルのエンジニア組織を初期から知る松榮さんと改革を進めてきた今村さんのお二人に、これまでの変化や理想のエンジニア組織についてお話を伺ってきました!

このnoteはこんな人へぜひ:
・エンジニア組織の改革を目指す方
・新卒エンジニアの採用・育成を担う方
・BuySellのエンジニア組織への入社を検討中の方

(写真左から)松榮さん、今村さん

今村雅幸(いまむら・まさゆき)
取締役CTO
VASILYの創業、ZOZOテクノロジーズのCTOを経て、2021年4月にバイセルへ入社。リユースプラットフォームCosmosの構想を掲げて組織改革を推進。

松榮健至(まつえ・たけし)
テクノロジー戦略本部 本部長
エンタメ系メガベンチャーを経て2019年1月に入社。現組織の基礎を作ったりEMとして部をみたり。2023年1月より現職。

組織として「登るべき山」をまず定める

――2年前、今村CTO就任前後での変化はいかがでしたか?

松榮さん:
明確に変わったのはまず「登るべき山(リユースプラットフォーム Cosmos)の開発」が決まったことですかね。
今も目の前の課題にあたっていくのは変わらないんですが、長距離の視点も持ちながら「今向かっている方向がこっちだね」という共通認識をすり合わせられるようになったのは大きかったです。

今村さん:
僕が来た当時はわりと直近の目標が多く、例えばフィールドセールスの買取額を伸ばしましょう、オンラインオークションを立ち上げましょうといったことが中心で、向こう2〜3年かけて何をしていくかといった動きはまだありませんでした。

そこで登るべき山を定めました。それからはひたすらに、その山を登るための組織づくりに現在も取り組み続けている感じです。
最近は理想のエンジニア組織を経験したことのある人達もマネージャーに増えてきているので、組織づくりが加速してきていますね。

事業で稼げるエンジニアの方が面白い

――その"理想のエンジニア組織・エンジニア像"とはどういったものなのでしょうか?

松榮さん:
理想のエンジニア組織は、まだまだ自分の中で仮説検証中です。
ただ、委託的にオーダーされてから動くのでもなく、コンサル的に「こうやったらいいんじゃない」という形でもなく、当事者意識を持って自分達の仕事をするエンジニアであってほしいとは思いますね。

今村さん:
そうですね。僕らはたまたまプログラミングやエンジニアリングが得意な社員っていうところなので、やっぱり事業会社のエンジニアリング部門なのであれば、事業貢献していく姿勢は必要です。
会社である以上ボランティアではなく利益を出していかないといけないですし、ビジネスKPIに貢献していきたいですよね。

松榮さん:
やっぱり自分たちで稼げたほうが面白いですよね。

今村さん:
間違いなく、絶対そうですね。

松榮さん:
僕もエンジニアとしてきれいなコードを書くことにこだわってた時はありましたが、どれだけ良いコードが書けても、事業がうまく行かなかったら閉じちゃうんですよね。
今世の中で皆が認知している会社の初期の初期は、多分すごくコードで言うと残念なもので動いてたんだと思うんですよね。やはり事業とプログラムとのバランスを考えるのが大事なのかなと。

今村さん:
気持ちよく開発できることだけが良い組織という訳ではないと思います。
プログラムの変更が穏やかにしか訪れないっていうのは、多分事業がうまくいってないんですよね。事業がうまくいく瞬間っていうのは変化が大きく、その分プロダクトへの要望として跳ね返ってくるので、どれだけきれいにしていても場当たり的な対応は発生します。
それをいかに柔軟に対応するか、どうやって負荷を極力減らしていくかっていうところがエンジニアの腕の見せ所ですよね。

松榮さん:
そういうのを楽しめるエンジニアであってほしいと思いますね。
僕がバイセルに入社した時はエンジニア10人目くらいで、まぁ本当に色々なものが整っていませんでした(笑)。
けどそこで「全然だめじゃん」って思うのか「俺のやることいっぱいあるじゃん」って思えるのかでいうと、後者の方が圧倒的に成長できるし、成果も出せるエンジニアになると思ってます。

今村さん:
整ってない会社はいくらでもあると思いますが、その中で僕らバイセルが違うのは登るべき山があって、会社もエンジニア組織もプロダクトも、全部同じ方向に向かってるっていうのが強いところだと思ってます。
やっぱりあそこに登るんだっていうのが見えてると、人は頑張れますよね。
もう一度山に登りたいとか、もっと高い山に登りたいと思ってる人たちがいま集まってきてくれる感覚です。

松榮さん:
確かにメンバー皆高まってて、怖いくらいに「やったりますよ感」はありますね(笑)。

変化の実感の積み重ねで組織が変わる

――いつから今のように上を目指す組織に変わってきたのでしょうか?

今村さん:
今の雰囲気は、だいたい1年前くらいからじゃないですかね。
登る山を定めたのは一つ契機だったとは思いますが、それは本当に入り口ですね。少しずつ、変化していってる実感を皆が感じられたことが一番大きかったんじゃないかなと思っています。

松榮さん:
最初は「リユースプラットフォーム」なんて言われてもピンときてない人がほとんどでしたし、何が変わるんだろうっていう感覚はありましたよね。理想だけで、プロダクトも何も無いわけですし。
けどそれが1ヶ月、1年と経つにつれてどんどん変わってきて、今は皆が実感を持ってポジティブに開発へ取り組めていると思います。

――変化に対して、社員の反応はいかがでしたか?

今村さん:
正直なところ、今のこの成長意欲のある雰囲気が合わないなという人は0ではなかったですし、離れていった人も居ますよね。

松榮さん:
組織や採用にも現れてきましたよね。これまでは松榮に来てほしいと頼み込まれたとか、今村さんが居るからとか、そういう理由だったところが、段々とバイセルを見てナチュラルに良さそうって言って頂きはじめてますね。

今村さん:
バイセルがもともと持っているリユース業界っていう成長ポテンシャルもあるとは思いますが、最近では新卒で大手のテックベンチャーの内定を蹴ってバイセルを選んでくれる人も出てきていて「ほんとに大丈夫?」ってちょっと心配になるくらいです(笑)。
バイセルに飛び込んだ方が良さそうだと思ってくれてるのは嬉しいですね。

新卒には成長機会を

――23年4月には11名の新卒エンジニアが入社しましたが、新卒採用についてはどう考えていますか?

今村さん:
よく「なんで新卒採用してるんですか?中途採用に専念したほうが良くないですか?」って聞かれるんです。ただ、CTOとして経営的に組織を持続可能な状態にしていかないとと考えた時、やはりそのドライバーになるのは新卒だと思うんです。
新卒が入って彼らの新しい目で違和感や非効率な部分を見つけて変えていくという新陳代謝が、会社を大きくするためには絶対必要だと思っています。
もちろん採用面や教育面でのコストは大きいんですけれど、それ以上のリターンがあると考えています。

松榮さん:
最近は3〜4年目の若手たちが自分たちでバイセルのいいところを語れるようになってきています。やっぱり僕らやマネージャー陣がいくら良いよと言っても、良いことしか言わないと思うじゃないですか(笑)。
なのでこれは本当に良いことだなと思っています。

――新卒の育成についてはいかがでしょうか。

今村さん:
前職での体験になりますが、VASILYで採用した新卒たちがZOZOにM&Aされた頃に入社3年目くらいだったんですが、すぐに全員がテックリード的なポジションで活躍してくれたんです。そんな優秀な子たちをどうやって育てたかと思い返した時に、思い当たる要素は1つしかないなと。
それは、どれだけ成長機会を与えてあげられたかだと思っています。
ちょっと難しそうかなと思っても、ちゃんとアサインしてやりきってもらうことです。
実践の場において、自分で決めて動く。そしてあるべき成長の方向性は、組織が評価制度やフィードバックで示してあげる。そういったことで自ずと活躍できるようになると思っています。

松榮さん:
新卒の子は皆「裁量はありますか」って尋ねるんですけど、裁量持ってどうしたいか尋ねると「2〜3年後にはリーダーやりたいです」みたいに意外と控えめなんですよね。こちらとしては1年後でも半年後でも任せる気持ちでいます。バイセル自体が成長している分、打席数はすごく多いですしね。

今村さん:
それに、エンジニアって手取り足取り教える職種でも無いと思うんですよ。

松榮さん:
確かに。横で見てて「俺だったらこうするのに」って考えてるような人ばっかりですね。自分でやってみないことには、人の言うことだけだと信用できないような(笑)。
最終的には自分の力で切り開いた部分だけが、その人の力になると思っています。

新体制でも変わらないこと

――最後に、CTOと本部長が分かれた新体制での変化はありましたか?

松榮さん:
本部長になってマインドが変わりましたかというと、そんなにはないかなというのが正直な気持ちです。見ないといけない範囲とかワークフローとかは変わりましたけど。
改めて本部長になって今村さんと何かすり合わせしたかというと、特にしていなくて。なので自分でこれはやった方が良いなと思うことを進めて、何か間違ってたら今村さんから言ってくれるだろうなと。

今村さん:
松榮さんのマネージャーとしてのレベルが高いので、もっとこうしてほしいとか、ここの観点が抜けてるなといったことはほとんど無いですね。
元々取締役CTO兼本部長として就任した時点で、全部が全部CTOが担っていたら組織はスケールしていかないと思っていました。
なので登るべき山を打ち立てて、そこから各プロダクトや組織が軌道に乗ってきた今、松榮さんに組織の今のことはお任せして、僕自身としては未来のことにもっと時間を使っていこうかなと思っています。

松榮さん:
僕としても2年前にCTOがやってくるというタイミングで、組織が変わる体験ができるし吸収できるところは吸収しようと思っていたんですけれど、今組織づくりやカルチャー作りや事業に成果を出していくっていうところに挑戦させてもらえて、純粋に有り難いと思っています。

――お二人のズレの無さがよくわかりました。松榮さんが本部長として、もう少しテコ入れしていきたいことはありますか?

松榮さん:
最近実感として湧いてきたんですが、登る山としてCosmosの開発を掲げていても、これでカバーできることとできないことがあります。「テックカンパニーになるぞ」っていう話において、社員全員がそれを感じるにはまだまだ裾野まで行ってないんですよね。
昨日もまさに管理系の部署の人から「この仕事は人手がかかって本当に大変でつらいんです」って話を頂きました。
ただ、そこで全部僕らエンジニア組織が手を動かして対応できるかというと、会社としては費用対効果が高いものにリソース配分してしまうのでなかなか裾野まで進みません。
なのである程度、事業部側でもテクノロジー的な発想ができるようには広げていきたいなと思っています。

今村さん:
真のDXは社員一人ひとりまで、カルチャーとしてテクノロジー活用を浸透させられることだと思います。最近流行りのChatGPTも全員が当たり前に使えたり。
そういう仕組みづくりはやっていきたいですね。あとはもっとエンジニア側のスピードを上げていきたい。

松榮さん:
毎年新しい動きが出てきたり会社をM&Aしたり、今はまだエンジニアが事業のスピードに頑張ってついて行ってる感じはあるので、今後は伴奏するとかリードするっていう段階の組織になりたいですね。



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