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【要約・書評】コンサル0年目の教科書/古谷 昇


今回紹介する書籍は『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』です。

この書籍は、2004年に発刊され、約20年間コンサルを中心に読み継がれている、コンサル系の書籍の中でも名著の『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』を、改題・修正の上、再刊された本です。


【解決する課題】コンサル0年目の教科書

この本では「コンサル0年目の教科書」とありますが、
メインのコンテンツとしては、どのようにすれば早く楽しく一人前になることができるのか?という文脈で、

コツとはそもそもどのようなもので、どうすればそのコツというものを会得することができるのか?ということを優しく解説されています。

【要約】コンサル0年目の教科書

問い: コツとは何で、コツを身につけるためのノウハウや使い方とはどのようなものか?

答え: コツとは、物事の本質を捉え、そこから導き出される単純な原則である。少ないノウハウを広く活用し、自分自身の気づきを通して学び、全体感を掴むことが重要である。


【例】「コツ」とはどのようなことを言うのか?

あんまり複雑なやり方はコツとはいわない。この種の誰にでもできる単純なものを称してコツと呼ぶのである。

コンサル0年目の教科書

コツとは、具体的にどのようなことを言うのでしょうか。
書籍に、秀逸な例が紹介されていたので、記載させていただきたいと思います。

小学校の児童に初めて跳び箱を跳ばせると必ず何人かは飛べない子どもが出てくる。その番組では、そういう子どもでもいきなり跳び箱を跳べるようになるコツを紹介していたのである。

~ 中略 ~

やはり、跳び箱をうまく跳べるようになるのにも、それなりのコツがあった。
答えは、まず両腕で体重を支える感覚を覚えさせる、これに尽きるというのだ。
だから、何度も何度も実際に跳び箱を跳ばせる必要はない。一回やらせてみて跳べなかった子には、たとえば床の上で体重を支える感覚を教える。具体的には床に座らせ、両脚のあいだに両手をつかせて、両腕で身体をちょっと浮かせてみろ、といえばいい。
こうしてほんの数分間、その子なりに両腕で体重を支える感覚を確かめたあとで跳び箱にトライさせると、みんな面白いように跳んでみせるという。これは大いに納得できる。
こういうのをコツというのである。

コンサル0年目の教科書

普通に跳び箱の跳び方を教えようとすると、
例えば「助走スピードが足りないから跳べないんだ。もっと遠くから勢いをつけて走ってこい」とか「踏み切る位置はここだ、ここ!」などと必要なポイントを細かく教えがちです。

そして、その子ができないポイントを跳ぶごとに指摘しながら、ともかく何度か繰り返しやらせて跳べるようになるのを待つのが常。

しかしそれではダメだ、と語られています。
それではできないタイプの子どもは嫌になって挫折してしまいますし、覚えることが多くて要点がぼやけてしまいます。

何事にも、その時々の、その人のレベルによって、もらってはいけないアドバイスがあります。その人のレベルに合わせて教えるべきなのです。

だからこそ、細々としたテクニックをたくさん覚えるのではなく、まず肝心なコツだけを覚える方が成長するには有効です。
テクニックを部分部分ではなく、コツを全体として捉えておくことが大切なのです。

こうしたコツの効用はビジネスにおいても変わらないと、本書では語られています。

細々とした細かいところからではなく、物事の本質的なコツを見極めて、まずはそこを意識すること。それが上達の近道です。

【方法論】ノウハウは少なく覚えて広く活用せよ

効率よく成長するためには、少なく覚えて広く活用できるような、凡庸性のあるノウハウを身につけること。
新しい業界や課題にぶつかるたびに、いちいち「体験しなくてはできない」ではキリがないのです。

やはり物事の本質をつかむことで、そこからコツを引き出し、しかもそのコツをしっかり会得することなのです。

よく私たちの業界でも、若い人たちから「大企業での業務経験がないから、組織がよくわらからない。ついては、良い仕事をするためにも、短期でいいですから、どこかに出向させてくれませんか」などと申し出があったりすることがある。
熱心な姿勢はいいが、これでは困るのだ。
なぜなら、新しいタイプや業界の仕事を担当するたびに出向したり、万全を期すためだといっていつまでも一つの特定の作業ばかり拘泥していたら、単なる一担当者になってしまうからである。
すべてやらなければわからないとか、すべてわからなければ答えが出せないと言うのでは、仕事にならない。いつか必ず、どこかでキリをつけね店仕舞いをしていく必要があるのも、仕事と言うものなのだ。

コンサル0年目の教科書

【心構え】「教えてもらう」から「自ら学んでやろう」に方向転換する

テクニックや手法のようにお勉強形式で身につけるのではなくて、気づきによって学んでいく、わかっていくのがコツというものなのである

コンサル0年目の教科書

もしものすごく上手な人が非常にうまくコツの部分だけを教えてくれるのであれば話は別ですが、そんなことはなかなか望めないのが普通です。

教えてもらえないからこそ、学び方や発見の仕方を自分で覚え、その後の自分の成長につながっていくわけです。
だからこそ、自分でやってみて気づいたことを大切にするべきと本書では語られています。

【方法論】自分でやってみて気づいたことを大切にする。

テクニックや手法のようにお勉強形式で身につけるのではなくて、気づきによって学んでいく、わかっていくのがコツというものなのである、と本書では語られています。

教えられて学んだことだけではなく、自分でやってみて気づいたことを大切にする。
こちらのほうが、人から教えられるよりも格段によく身につくし、仕事の役にも立つのです。

【解説】「わかる」=「理解する」×「こなれる」

「わかる」と「理解する」というのは違います。
理解するとは頭ではわかっている状態。こなれるとは、頭の中だけでなく体験で追認して知っているかどうかを指します。
つまり、頭と感覚の両方で会得してこそ、はじめて「わかる」という状態になるということです。

本当に何かを身につけるには、誰かから教えられてもダメで、あくまで自分で事の本質をつかんで学び取るしかないのです。

ハウツウ本に書いてあるコツを自分でやったことまないのにいきなり読んでも、ピンとこないことが多いと思うのはこのためです。


【著者情報】古谷昇さん

1956年、東京都生まれ。1981年、東京大学工学部卒業(計数工学修士)。1987年、スタンフォード大院経営工学修士(MS)。1981年、ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。1991年、同社ヴァイス・プレジデント就任。同社シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000年、株式会社ドリームインキュベ-タ(DI)設立、代表取締役に就任。BCG時代は、医薬、エンターテイメント、消費財、自動車をはじめ、さまざまな分野で、新規事業戦略、営業・マーケティング戦略、研究開発戦略といった数々の戦略策定及び実行を支援。 DIでは、大企業に対して技術シーズの事業化や組織戦略を手がける一方、ベンチャー企業に対して上場支援等を行う。

共著に『知恵は金なり』(PHP研究所)がある。

https://www.php.co.jp

【著者の意見について】

本書は一言で言うと、最速で一流になるために、コツとは何なのか?を紐解いて丁寧に説明されている本でした。
コンサル0年目の教科書となっているものの、一般的なビジネスバーソンにも響く内容になっています。

個人的には、コツの概念を説明するための跳び箱の授業の例は非常に秀逸だったと思います。コツとは何なのかが非常に腹落ちしました。

何かを上達するにも何事にもコツというものがあるわけですが、
そもそも「コツ」とは何で、それはどう会得するのか?という切り口で掘り下げた本は非常に興味深い内容でした。
主観的な感想であるため、若干表現に語弊があるかもしれませんが、言うなれば、コンサル版「学び方の本」という内容でしょうか。コンサル系の書籍らしい、合理的で効率的な成長の方法論が解説されています。

本書では、上記のような「早く一流になる学び方(コツの会得方法)」で、全体の3分の1くらいを占めています。

中盤あたりからより具体的にタイトルの「コンサル0年目の教科書」らしく、戦略的思考や論点思考の話が出てきます。

本書評では内容を省きますが、以下の内容は一読の価値ありだと思います。

■戦略づくりの五大ポイント
・マクロ思考
・切り口の選択
・競争
・トレードオフ
・定量化

■仕事のやり方は基本的に次の二つに分けて考える
A・仕事の目のつけ方
B・仕事の進め方

詳細についてはぜひ本書を手にとってお確かめください。


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