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「研修はオフラインかオンラインか」という議論の罠。

このような情勢ですので、私もオンラインツールを使ったビジネス数学プログラムについていろいろと構想を練っている。おそらくこのウィルスとの戦いは長期戦になると思う。だから「元に戻る」ことを待っていてはいけない。教育を提供する人間はまずここを前提にしたいところだ。

では本題。

この記事はどちらかというと「教育サービスを提供する側」に読んでもらうことを想定して書いている。研修講師。研修会社。コンサルティング会社。教育機関。「教育したい」と思っている人(あるいは会社)に対して「教育サービス」を提供する人(あるいは会社)のことだ。そのことを前提に話を進めます。

いま私の周囲でもセミナー、研修、講座、そのような「学ぶ場」をオンラインでやるかオフラインでやるか、オンラインがいいのかオフラインがいいのか、で議論している人がたくさんいる。もちろん必要なことであり、極めて重要である。学びたい人がいるのですから、教育提供側がその人に届ける努力を止めてはいけない。たとえそれが100%のものではなかったとしても。

しかし、どうも引っかかることがある。

私だけだろうか。

どうも引っかかる。

何に?

オンライン VS オフライン

という思考や議論ばかりであることに対してだ。私は「そこ」じゃないと思っている。

このような非常事態が起こると人は何を考えるか。まず「そもそもそれは必要か」を考える。そして何事もなく日々が流れる通常時には絶対にしないであろう、あることをしようとする。それは何か。「抜本的な見直し」である。


これを機に、抜本的に教育体系を見直そう。
これを機に、そもそも研修なんてやって意味があるのかを検討しよう。
これを機に、社員教育は外部講師に依頼するのではなく内製で行えるようにしよう。


そんな抜本的な見直しをする際に考えることは何か。そもそも教育にお金をかける価値はあるのか。そもそもその講師のコンテンツでいいのか。そもそもその研修会社でいいのか。これが「教育サービス」を購入する立場のインサイトである。

ところが「教育サービス」を提供する側の人たちはどうだろう。研修はオンラインでやった方がいい? Zoomでセミナーをやる方法は? みたいなことばかり考えているように思えてならない。違っていたらごめんなさい。でも少なくとも私にはそう思える。

そこじゃないと思う。いま深く考えなければならないのは、抜本的な見直しを図る相手に対して、それでも選んでもらえるだけのコンテンツ・能力・信頼があなたにはあるか、ということだと思うのです。決してオンラインかオフラインかで悩むことではない。

誤解されるといけないのでここで申し上げておきます。

私はオフラインで研修をすることが圧倒的に多い活動をしていますが、一方でZoomなど会議ツールを使ったセミナーに(体験することを目的に)参加したり、1対1で対話をすることも経験しました。自分なりにメリットやデメリットを理解しているつもりです。だから今後は目的によってはリアルタイムのオンライン講座をすることもあるかもしれない。完全視聴型で事前学習や反転学習に活用できるEラーニングプログラムを制作することもあるだろう。つまり私も「オンライン学習」なるものを体験し、自分も活用する可能性があることをはっきり明記しておく。

何も知らないで書いているわけではないですよ。私だって活用することはありますよ。ただ、オンラインかオフラインかという比較論は意味がないし、私自身もしていませんよ。

ということですね。

とはいえ、今はこのような状況ですからある程度は仕方ないのかもしれません。1ヶ月後に控えた研修を急遽オンラインでやらなければならない。そのリクエストに「本当はオフラインでやりたいけれど仕方ないのでオンラインの準備をしなきゃ」という研修会社や研修講師はたくさんあるでしょう。今は当然だと思うし、それはとても誠実です。

でも、もしそれでオンライン研修をやり、来年以降もオンラインでやりましょうとなったらどうなるか。その年に録画したオンライン研修を来年もそのまま観せれば良くなるかもしれません。ほぼ内容が同じなら価格の安い別の研修会社や研修講師でもいいとなるかもしれません。どうしてもその研修講師でないといけない理由がなかったら、この講師は必要なくなるわけです。AIなど機械で喋る講師(?)で十分でしょう。そういう事例がこれからたくさん起こる。このコロナショックはそのスタートになることをどれだけの人が感じ取っているだろうか。


オンラインかオフラインか
ホンモノかニセモノか


どちらの比較論が大事か。私は後者だと思っている。極論、本当に価値ある上質なコンテンツ・能力・信頼を持っている教育サービスなら、「アフターコロナ」の世の中でもちゃんと残っているでしょう。オンラインでやろうかオフラインでやろうかなんて小手先の話は極めて細部のこと。価値があるホンモノのコンテンツなら、乱暴な言い方かもしれませんが、どちらでもいいのです。

私のような教育サービス提供者は、いまとても苦しいと思います。もちろん私もそうです。人前で熱意を込めてビジネス数学を語り、活躍するビジネスパーソンを増やしたい。参加者の表情や声を生で見ることで、生きている実感を味わいたい。そう思っています。当たり前です。教育者は、みんなそうです。

でも、それでも私は「オフラインとオンライン」の比較論には興味がなく、「いかにZoomを使ってうまくビジネスをしようか」といった思考にはなりません。どんな世の中になろうと価値提供できる存在になること。それしか考えていません。


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さらに鋭く。

さらに分かりやすく。

さらに本質的に。

さらに魅力的に。

さらに圧倒的に。

さらにヘンタイに(笑)。


そのためには何をすべきか考えている。ホンモノしか残らない時代に突入します。ごまかしながらやってきた人には厳しい時代に突入します。他と同じなら選ばれない時代に突入します。


「抜本的な見直しをします」
「どうぞどうぞ♪」


「そもそもあなたに仕事を依頼しないといけない理由は?」
「喜んでお答えします。なぜなら…」


そうありたいものですね。

私たちは試されています。

がんばりましょう。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
国内でただひとり、ビジネス数学教育家。ビジネスパーソンのための数学教育を提唱し企業人の育成に貢献。研修。講演。授業。面談。ゼミ。作家。講師育成。。。いろいろやっています。


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