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HPVワクチンの効果(推計) 死亡リスクが0.1%下がるだけ!?

2017年11月29日に開催された「第31回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会厚生科学審議会」で使われた資料を掘り起こしたら、HPVワクチンの効果に関する推計がありました。資料は公開されていますが、おそらく接種を勧める人たちからは語られることがないデータです。


第31回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

厚生科学審議会の資料は、厚労省のサイトで公開されています。


資料17 HPVワクチンの有効性について

2017年の資料なので、サーバリックスとガーダシルに関するデータだと思います。まずは、生涯累積罹患リスク。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000186462.pdf

O HPVワクチンの有効性として、子宮頸がん予防ワクチン接種したもののうち117人から170人に1人が子宮頸がん罹患を回避できる、と期待される。
O HPVワクチンの有効性として、子宮頸がん予防ワクチン接種により、
10万人あたり859~595人 が子宮頸がん罹患を回避できる、と期待される。

接種した人のうち「117人~170人に1人」とか、「10万人あたり859~595人 が子宮頸がん罹患を回避できる」って、少なくないですか? しかも、「回避できる」ではなく「回避できる、と期待される」です。

そして、生涯累積死亡リスク。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000186462.pdf

O HPVワクチンの有効性として、累積子宮頸がん死亡率を約0.3%から約0.2%程度に下げることが期待される。
O HPVワクチンの有効性として、子宮頸がん予防ワクチン接種により、
10万人あたり209~144人 が子宮頸がん死亡を回避できる、と期待される。

2014年のデータで子宮頸がん生涯累積死亡リスクは0.321%(312人に1人)で、それをワクチンによって「約0.2%程度に下げることが期待される」とのこと。0.1%下がるだけで、すごい「効果がある」ように言ってもいいんですね。ビックリです。

厚労省「HPVワクチンに関する情報提供資材」(2023年)のページに、「医療従事者の方へ」の参考資料に同じデータが掲載されています。

<参考資料>
「New」となっているので、この資料は新たに作られたようですが、推計のデータは同じです。ということは、接種を勧める医療従事者は当然目を通しているはずですが、このデータを見ても何も思わないのでしょうか。あるいは、このような資料には目を通さないのでしょうか。

一方、副反応疑いの報告についての資料もあります。

資料13 我が国におけるHPVワクチン接種後に生じた症状の報告頻度等について


https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000186458.pdf

平成22年11月26日から平成29年4月末に医師又は企業が重篤と判断した報告数は 1737人、10万人に51.1人。

ワクチン接種により、10万人あたり209~144人 が子宮頸がん死亡を回避できると期待されている一方で、接種後に10万人中51.1人から重篤な症状が報告されたということです。


厚労省のQ&A

厚労省のサイトには、「HPVワクチンに関するQ&A」というページがあります。


問2-12. HPVワクチンについて、がんを予防する効果は証明されていないのですか?
 子宮頸がんは、数年から数十年にわたって、持続的にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した結果として発症するとされています。
 海外や日本で行われた疫学調査(集団を対象として病気の発生などを調べる調査)では 、HPVワクチンを導入することにより、子宮頸がんの前がん病変を予防する効果が示されています。また、接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html#Q2-12

「証明されていないのですか?」という質問なら、「はい、証明されていません」「いいえ、証明されています」のどちらかで答えるべきです。「効果があることもわかってきています」ということは、がんを予防する効果はまだ証明されていないということだと読み取れます。

問2-7. HPVワクチンの定期接種の対象年齢を過ぎてからでも、接種できますか?
 定期接種の対象であった方々の中には、HPVワクチンの公費での接種機会を逃した方がいらっしゃいます。こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、定期接種の対象年齢(小学校6年~高校1年相当)を超えて、あらためて公費での接種の機会をご提供しています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html#Q2-18

問1-2に「HPVは一般に性行為を介して感染することが知られています」と書いてあるので、対象年齢を過ぎた場合、すでにHPVに感染している可能性が高まります。その場合、下記の事例のような可能性があるので注意が必要だと思います。

第51回日本腎臓学会東部学術大会抄録
日腎会誌 63(6-E)2021 Pー146
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種後に発症した若年性膜性腎症の一例

獨協医科大学病院, 獨協医科大学埼玉医療センター病理診断科 若林 春奈 ,大平 健弘,佐藤 由佳 ,阿部 誠,海賀 安希子,植松 麻友,平尾 潤,永瀬 秋彦,村山 慶樹 ,岩嶋 義雄,里中 弘志,藤乘 嗣泰 ,石光 俊彦 ,上田 善彦

【症例】16 歳女性.腎疾患や検尿の異常の既往はない.X-1 年 8月,HPV ワクチン接種から数日後に 38℃の発熱を認めた.近医にて尿蛋白陽性であったが溶連菌感染症はなく経過観察となった.X 年 9 月学校健診で尿蛋白 3+で,X 年 11 月に当科受診.Cr 0.47 mg/dl,TP 5.5 g/dl,Alb 3.5 g/dl,尿蛋白 3.10g/gCr,尿潜血 5~9/HPF であった.X 年 12 月に腎生検施行し,PAM 染色で spike 形成を認め,蛍光抗体法では IgG1++,IgG2-,IgG3+,IgG4-,C3 の係蹄璧への顆粒状の沈着を認め,電子顕微鏡で上皮下に微細粒子状の高電子密度沈着を認め,膜性腎症 stage 2 と診断した.HPV ワクチンは遺伝子組換え沈降ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンで,自己免疫性血管炎や抗リン脂質抗体症候群を起こす.HPV ワクチン接種後に発熱・蛋白尿で発症した IgG4 陰性の二次性膜性腎症であり,HPV ワクチンとの関連が示唆さ
れた.

https://jsn.or.jp/general/congress/journal/63_6-E.pdf

同じ症例について書かれた英語の論文


It is possible that the patient was already infected with HPV and administration of the HPV vaccine may have caused secondary membranous nephropathy.
患者はすでにHPVに感染しておりHPVワクチンの投与により二次性膜性腎症を引き起こした可能性がある。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36146521/

「子宮頸がんによる死亡率を0.1%下げることが期待される」ワクチンを接種した後に、非常に辛い腎生検を行ったり、おそらくステロイドによる治療が必要になってしまった事例です。関連が示唆されているのですから、このような事例があることも、接種前に知らせるべきだと思いますが、説明はあるのでしょうか。