見出し画像

ワクチン接種後の血尿・排尿障害(12歳、13歳、16歳)

厚労省のサイトで、新型コロナワクチン接種後に起きた副反応疑いの報告が公開されています。9月2日に公開された新たな報告から、10代の気になる事例を取り上げます。

血尿に関する事例

ワクチン接種後の血尿は大人でも多数報告されていますが、10代の報告も出ています。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第83回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)9月2日資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00049.html

資料1-2-3-1   薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(コミナティ筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過) より

紹介する報告は、重複している部分などは編集してあります。BNT162b2は、コミナティ筋注(ファイザー製)のことです。時系列で追えるように、順番を入れ替えたりしています。

事例:20296 12歳男性 コミナティ筋注1回接種 ロット番号:FP9647

ワクチンの予診票での留意点は以下を含んだ:
2021/06 学校検尿で血尿を指摘(初回)され、近医泌尿器科を受診した。紹介されて、2021/12 報告病院を受診し、無症候性血尿と診断され、年に 2,3 回の割合で報告病院を受診する方針となっていた。

臨床経過:
2022/05/07 午後、BNT162b2 の 1 回目接種を受けた。
2022/05/08 朝より腹痛、頻回嘔吐が出現し、寝込んだ。
2022/05/09 昼間に血尿あった。19:00 頃も肉眼的に血尿が出現し、21:00 頃応急診療所を受診した。
2022/05/10、患者は報告病院を受診した。少し嘔気はあるも食欲はやや改善した。肉眼的血尿はなかった。腹痛は少しあるがチクチクする程度であった。プリンペランで点滴を受け、入院を勧められたが、自宅で様子をみたいとのことで帰宅した。
2022/05/11、嘔吐が続き再受診し入院となった。絶食、輸液で治療開始し、腹痛と嘔気は改善傾向であった。
2022/05/12、高度蛋白尿、血尿、高血圧を認め頭痛も伴った。利尿薬静脈注射、降圧薬内服にて、高血圧は改善し頭痛、嘔気も消失した。
その後、徐々に蛋白尿、血尿が改善し、経口摂取も回復した。
2022/05/16、点滴を中止した。
2022/05/17、降圧薬内服を終了し同日退院した。
2022/05/27、退院後診察があり、微少血尿を認めるが蛋白尿を認めなかった。患者は無症候性血尿の精査目的に他の病院の小児科への紹介を希望した。
2022/06/10、報告病院を受診し、慢性糸球体腎炎の疑いとして、経過観察の方針となった。

報告医師は、事象を重篤(2022/05/11 から 2022/05/17 まで入院となった)と分類し、事象が BNT162b2 と関連ありと評価した。他要因(他の疾患等)の可能性は無かった
報告医師は、以下の通りコメントした:
意見 1、新型コロナウイルスワクチンの副反応。意見 2、腹痛、嘔吐、脱水。意見 3、無症状性血尿の急性増悪疑い今回、意見1、意見 2 により意見 3 が起きたと疑われた

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

12歳の少年は、ワクチン接種前に無症候性血尿と診断されていました。ワクチン接種後に急性増悪疑いとなり、「ワクチン接種と関連あり」と報告医師は評価しています。

添付文書には、「腎機能障害を有する者」は接種要注意者として挙げられています。

添付文書より

添付文書は、下記のサイトで確認できます。

日本腎臓学会では、評議委員581名(内科・腎臓内科339名、382施設)に行った「COVID-19ワクチン接種と肉眼的血尿出現の関連性に関する調査研究」(2021年6月2日〜6月26日)から、IgA腎症患者ではワクチン接種後に肉眼的血尿が出現する可能性があることを把握していました(下記参照)。

アンケート調査結果は下記で見られます。

COVID-19ワクチンと肉眼的血尿の関連についての調査
〜アンケート結果まとめ〜
(期間:2021年6月2日〜6月26日)

2021年2月17日〜同年5月31日に、ワクチン接種後に肉眼的血尿を認め病院を受診した人に関する調査です。

接種したワクチンは全てファイザー社のワクチンで、肉眼的血尿を呈した症例の約70%にIgA腎症の診断がなされていたとのこと。IgA腎症と診断のついていないけれど尿所見のあった人も、ワクチンで肉眼的血尿が誘発された可能性があると言っています。

「大部分は尿所見の悪化はあったものの一過性で改善しており、深刻な腎機能障害に至っていないと考えられます」と言っていますが、ワクチン接種後に尿所見が悪化する可能性は2021年6月には把握していたということです。

https://jsn.or.jp/medic/data/Questionnaire_results.pdf

以下は、ワクチン接種前に尿所見はなかったけれど、接種後にIgA 腎症と診断された事例です。

事例:19897 13歳女性 コミナティ筋注3回目接種 ロット番号: FM7534

ワクチン接種前に、COVID-19 の診断はされていなかった。
患者は、薬物、食物、他の製品に対するアレルギーおよび基礎疾患はなかった。有害事象に関連する家族の病歴については、特記すべき事項はなかった。

ワクチン接種歴は以下の通り:
2021/10/16、コミナティ(バッチ/ロット番号: FJ5790)1回目接種。
2021/11/06、コミナティ(バッチ/ロット番号: FJ7489)2回目接種。

臨床経過:
2022/06/04、BNT162b2(コミナティ)3 回目接種。
2022/06/05、発熱が出現した。
2022/06/06、朝より肉眼的血尿、蛋白尿が出現した。近隣の病院を受診し、報告者の病院を紹介された。
2022/06/06、当初は膀胱炎も疑われ、抗生剤治療が行われた。解熱し、採血上炎症反応も改善得られた後も血尿、蛋白尿は残存があった。また、尿中に変形赤血球が認められた。したがって腎性血尿が疑われた
2022/06/07、報告者の病院に入院した。
患者は IgA 腎症、膀胱炎、発熱、血尿、蛋白尿のため入院した(開始日:2022/06/07、退院日:2022/06/09、入院期間:2日)。腎生検は施行されなかった。
全身状態は良好で、2022/06/09 に退院した。
患者は未診断の IgA 腎症があり、発熱(感染)を契機に顕在化した可能性があった。
2022/06、事象発熱の転帰は回復であり、2022/06/17、その他すべての事象の転帰は軽快であった。

本報告時点では、外来フォローを継続中であった。
血尿、蛋白尿は入院時よりは改善したが、報告時点では残存があった
ネフローゼ、PSAGN、紫斑病性腎炎、ループス腎炎は否定的であった。

報告医師は、本事象を重篤と分類し、本事象と BNT162B2 との因果関係を評価不能と評価した。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

「未診断の IgA 腎症があり、発熱(感染)を契機に顕在化した可能性があった」と書かれていますが、発熱がワクチンによるものなら、ワクチン接種により誘発されてしまったということなのではないでしょうか。

日本腎臓学会は2021年の6月にはワクチンとの関係を把握しているのに、2022年6月の事例で「因果関係を評価不能」とされています。日本腎臓学会の調査結果は、共有されていないのでしょうか。腎機能とワクチン接種の関係については、すでに多くの事例が集まっているのではないかと思います。

「腎生検は施行されなかった」と書かれていますが、もし行われたらとても体に負担がかかります。腎生検をした人から聞いたことがありますが、背中から生検用の針を刺して腎組織を採取して、その後半日ぐらい仰向けのまま身動きできないので、とても痛くて、辛い検査だそうです。以前の記事(下記参照)では、ワクチン接種後に起きた症状で10代が腎生検をしたという事例もありました。


ワクチン接種後の排尿障害

もう1つ、腎機能関連で気になる事例がありました。

事例:20304 16歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:FT8584
報告者は親である。
ワクチン接種歴は以下のとおり:
2021/09/24、コミナティ(ロット番号 FF5357)1回目接種。
2021/10/20、コミナティ(ロット番号 FJ7489)2回目接種。
「腕の違和感(多分左)」、「腕がしびれて肩までしびれた」

臨床経過:
2022/06/15、BNT162b2(コミナティ)3回目接種。
2022/06/16、震えが来て摂氏 39.7 度の熱が出た
2022/06/18、排尿障害でおしっこがうまく出なくて、血液中に老廃物が溜まっている状態が続いていた。
木、金、土曜日まで熱が上がったり下がったりした。
金、土曜におしっこがすでに出なくなっていて。入院していたが、点滴はたくさんしておらず、1L くらいの点滴をしてもらった。それをしたまま、2022/06/19 の日曜日、午前中に退院した。

そのときもすでにおしっこが出ていないことは把握していたが、医者が大丈夫だと言うので退院した。06/18 は 24 時間おしっこが出なかった。2022/06/19 も 20 時間くらいでなかった医者に行ってもどこも受け入れてもらえず、コロナワクチンの副反応だから耐えなさいと言われた。

医者に相談をしたら診てくれるという事になった。点滴投与をずっとしている状態。1 日に 12、3 パックの点滴を毎日していた。
入院出来る施設がないため、毎日通院して 12 パック以上の点滴
を毎日水分として打ってもらっていた。
血液検査をしてもらってわかっていることは、腎臓の機能が低下しているということであった。体に毒素(老廃物)が溜まった状態であった。
利尿剤を使って出していた。血圧が(上が)150 くらいで上がりきっていた。副腎皮質ホルモンは現在出ていないため、副腎皮質ホルモンの代わりになる薬のプレドニンを飲んでいた。

報告者は重篤性評価と因果関係評価を提供しなかった。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

医療機関ではなく、親からの報告なので症状などの詳しいことは書かれていませんが、「医者に行ってもどこも受け入れてもらえず、コロナワクチンの副反応だから耐えなさいと言われた」というのはヒドい話です。そのような対応をされたたので、報告したのかもしれません。接種を勧めるだけ勧めておいて、接種後の体調不良にはこのような対応をするのは無責任だと思います。

排尿障害に関しては、20代でも気になる事例がありました。

事例:20403 26歳男性 コミナティ筋注2回接種 ロット番号:不明

ワクチン予診票(基礎疾患、アレルギー、最近 1 ヶ月以内のワクチン接種や病気、服用中の薬、過去の副作用歴、発育状況等)に留意すべき点はなかった。
ワクチン接種歴は以下を含んだ:
COVID-19 ワクチン(製造販売業者不明)、1回目接種。

2021/10/12 12:00、BNT162b2(コミナティ)の 2回目接種。
2021/11/07、排尿がしづらくなった。尿意はあるが、排尿に時間がかかる状態であった。近医整形外科より報告者病院に紹介受診となり、脊椎疾患の可能が指摘された
2021/11/08、症状改善なく、20 時を最後に尿が出なくなった
2021/11/09 01:20 頃、下腹部痛を自覚し、病院へ救急搬送となった。尿閉に対してバルーン留置を受け帰宅となった。
2021/11/08 に施行された胸椎 MRI で脊椎炎を疑う初見が認められたことから、即日入院となった。診断上、四肢の麻痺や感覚障害はなく、DTR(深部腱反射)結果は正常で、膀胱直腸障害のみであった。胸椎 MRI では 7 椎体程に及ぶ T2 高信号域が認められ、横断性脊椎炎が疑われた。髄液検査では著名な細胞数上昇と蛋白上昇が認められ、検体採取後にステロイドパルス療法が開始された。抗 AQP 抗体、MOG 抗体の自己抗体は検出されず、他原因となりうる結果はなかった。しかし、髄液中の COVID S 抗体が陽性であり、ワクチン関連の可能性が示唆された。
膀胱直腸障害の改善が得られ、2021/11/25 に退院となった。
2021/11/25、事象の転帰は軽快であった。後遺症は排尿障害であった。
報告医師は、事象(脊髄炎)を重篤(2021/11/09 から2021/11/25 まで入院)と分類し、事象は BNT162b2 と関連ありと評価した。
他要因(他の疾患等)の可能性はなかった。
本報告は、脊椎炎の基準を満たした。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

この事例は「関連あり」としていますが、腎機能の低下などではなく脊椎疾患のようです。

排尿や排便は、脳からの指示を脊椎の神経(脊髄)に伝えることによって機能しているので、脳疾患や脊椎疾患などが原因となって、排尿障害が起きることもあるようです。

この事例を見て、過去にあった死亡事例を思い出しました。

発熱や排尿困難などの症状が出て死亡した、26歳男性の事例です(下記参照)。

この事例では急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が疑われましたが、ワクチン接種との因果関係は評価不能とされました。

このような事例もあるので、ワクチン接種後の排尿障害は軽視できないと思います。それなのに、「コロナワクチンの副反応だから耐えなさい」などという対応には憤りを覚えます。