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早くから指摘があった「接種後にIgA腎症の急性増悪」

10代の新型コロナワクチン接種率が高くなるにつれて、厚労省のサイトで公開されている「新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告」にも、10代の症例報告が増えています。接種後に出ている症状は、大手メディアで報道されているものだけではありません。5歳~11歳への接種を検討している保護者の皆様に、どのような症状が出ているか知っていただきたいので、気になる症例を紹介していきます。

腎機能障害

コミナティ筋注(ファイザー社製)の添付文書には、下記のように書かれています。


被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。

コミナティ筋注 添付文書
コミナティ筋注 添付文書

今回は、腎機能に関連した症例を取り上げます。添付文書にあるように、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で接種されたか、気になる事例が多いです。

厚労省サイト ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第75回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第26回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料 1月21日

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00037.html

資料1-2-3-1より。
紹介する報告は、重複している部分などは編集してあります。BNT162b2は、コミナティ筋注(ファイザー製)のことです。

事例:16941 16歳男性 コミナティ筋注 接種回数、ロット番号不明
患者の関連する病歴と併用薬は報告されなかった。

以下の通りであると報告された:
BNT162B2(コミナティ)接種後、患者は腎機能の悪化を発現し、入院を必要とした。患者は、結果不明の腎生検の後、薬物療法を受けた。
報告者は、患者は、ファイザー・コロナウイルス・ワクチンの副反応を明らかに起こしたと伝えた

以下の情報が報告された:腎機能障害(入院、医学的に重要)、転帰「不明」、「腎機能の悪化」と記載された。
患者は、以下の検査と処置を受けた:腎生検(結果不明)。腎機能障害の結果として、治療的な処置がとられた。
これ以上の追加情報は期待できない。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000884905.pdf

あまり詳しい内容は書かれていませんが、腎生検を行ったと書かれているので、軽視できない状態だったと思われます。

腎生検は、むくみや大量の蛋白尿がみられるとき、急激な腎機能低下と蛋白尿や血尿がみられるときなどに行われるようです。

腎生検をした人から聞いたことがありますが、背中から生検用の針を刺して腎組織を採取して、その後半日ぐらい仰向けのまま身動きできないので、とても痛くて、辛い検査だそうです。

検査の結果は書かれていませんが、報告者は「ワクチンの副反応を明らかに起こしたと伝えた」と言っています。

もう1例は、慢性腎炎の病歴があり、1回目の接種で血尿が出たのに、2回目の接種をした事例です。

事例:16908 12歳女性 コミナティ筋注2回目接種 ロット番号:FK0108

関連する病歴は以下を含んだ:「過敏性腸症候群」(継続中かどうかは不明)、「慢性腎炎」(継続中かどうかは不明)。
併用薬は以下を含んだ:過敏性腸症候群のために服用されたミヤ BM、トリメブチンマレイン酸塩、過敏性腸症候群のために服用されたセレキノン、過敏性腸症候群のために服されたブスコパン。
コミナティ(ロット番号 FD0349)初回接種後、反応:「膀胱炎」、「鮮紅色の肉眼的血尿」。

臨床経過:
2021/09/06、BNT162b2(コミナティ)初回接種
2021/09/07(初回ワクチン接種の 1 日後)、鮮紅色の肉眼的血尿が出現した。
2021/09/08、泌尿器科を受診し、尿検査にて尿定性/沈渣を受けた。
尿潜血 3+、尿蛋白 2+、沈渣赤血球 2022/HPF であり、膀胱炎の診断として抗菌薬加療された。尿色調と尿蛋白が改善したため、2021/09/18 治癒と判断された。

2021/09/30 16:30、 BNT162b2(コミナティ)2回目接種
ワクチン接種の 2 週間以内で、過敏性腸症候群のため、ミヤ BM、トリメブチンマレイン酸塩錠、セレキノンとブスコパンを内服した。
薬剤、食物または他の製品に対するアレルギーはなかった。本ワクチン以外に、過去のワクチン接種で副反応の既往歴はなかった。

2021/10/01 07:00(ワクチン接種 2 回目の 1 日後)、患者は鮮紅色の肉眼的血尿を発現した。
2021/10/02、泌尿器科を受診し、尿検査にて尿定性/沈渣を受けた。
尿潜血 3+、尿蛋白 3+(報告のとおり)、沈渣赤血球 17000/HPF と診断さ
れ、高度な血尿と蛋白尿が認められた近医では対応不可能として経過観察とされた。

2021/10/08、当院定期外来で上記エピソードの報告があった。
患者は血清クレアチニン 1.22mg/dl と急性腎障害と診断され、尿所見などから急性腎炎と診断された。
2021/10/09、入院加療とした。入院後は、安静・塩分制限による保存的加療で症状・検査所見の改善を認めた。
021/10/16、患者は退院した。以降は当院にて加療継続していた。
事象の転帰は、塩分制限、安静を含む加療で回復した。入院期間:8 日(報告のとおり)。

報告薬剤師は、事象を重篤(2021/10/09 から 2021/10/16 まで入院)と分
類し、事象と BNT162b2 との因果関係を評価不能と評価した。中学校 1 年生、発育良好であった。他要因(他の疾患等)の可能性は、無症候性の慢性腎炎の可能性があった

報告薬剤師のコメントは以下の通り:
未発症例を含む IgA 腎症を中心として、COVID-19 ワクチン接種後、肉眼的血尿の例が報告された
日本腎臓学会「COVID-19 ワクチン接種と肉眼的血尿出現の関連性に関
する調査研究
(https://jsn.or.jp/mcdic/covid19/noLice/content-
30.php)によると、同様の病態である可能性が高い

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000884905.pdf


日本腎臓学会のサイトを見ると、「COVID-19ワクチン接種と肉眼的血尿出現の関連性に関する調査研究」について下記のように書かれています(一部引用)。

IgA腎症患者ではワクチン接種後に肉眼的血尿が出現する可能性があるものの、コロナ感染のリスクを考慮しつつ、今回の結果をふまえワクチン接種をご指導頂ければと思います。また、IgA腎症の診断のついていない方にも、肉眼的血尿の症状が出現する可能性があります。
(2021年6月30日現在)

https://jsn.or.jp/medic/covid19/notice/content-30.php

2021年2月17日〜同年5月31日にCOVID-19ワクチンを接種し、接種後に肉眼的血尿を認め病院を受診された方を対象とした、調査結果が公開されています。アンケートに回答したのは、日本腎臓学会評議員です。24例なので少ないですが、その後一般の接種が開始されてから、同様の事例が増えているなら、重要な調査結果だったと思われます。これは、どれくらい周知されているのでしょうか。

上記の事例では、1回目の接種で肉眼でわかる血尿が出たということは、接種前から腎機能になんらかの障害がでていて、接種によって悪化したのかもしれません。膀胱炎と診断し、それが治癒したのなら、2回目も接種して大丈夫だと言えるのでしょうか。そのような副反応が出ていたのに、医師は2回目の接種を止めなかったのでしょうか。


IgA腎症

10代の報告には、上記で触れられていた「IgA腎症」の事例もありました。「IgA腎症」は、重症の場合は完治につながる治療法がなく、指定難病になっています。

IgA腎症は、検尿で血尿や蛋白尿を認め、腎臓の糸球体に 免疫グロブリン のIgAという蛋白が沈着する病気で、多くは慢性の経過をたどります。

ゆっくりと進行し、徐々に腎機能が低下していく患者さんがいます。蛋白尿や血尿が軽い患者さんは、通常は腎機能の低下を認めず安定した状態を維持します。

難病情報センターのサイトより

顕微鏡的血尿は、肉眼で見ても明らかに赤くなってはいないけれど、尿に血液が混ざっているという状態です。この事例の方は、IgA腎症ではあったけれど、接種前は安定した状態を維持していたと思われます。

事例:17021 17歳女性 コミナティ筋注2回目接種 ロット番号:FH3023
ワクチン接種前予診票に関して留意される点はなかった(報告によると)。患者の併用薬は、報告されなかった。
関連する病歴は以下を含んだ:「顕微鏡的血尿」(継続か不明)、
メモ:定期通院していた、「慢性糸球体腎炎」(継続か不明)、「IgA腎症」(継続か不明)であった。

臨床経過:
患者は、もともと顕微鏡的血尿があり、定期通院していた。
2021/10/17 15:00、 BNT162B2(コミナティ)2回目接種。
2021/10/18 09:00(ワクチン接種の 1 日後)、患者は血管炎を経験した。
ワクチン接種の翌日の朝から、肉眼的血尿があった。
2021/10/19、患者は報告者の病院を受診した。
受診時、肉眼的血尿に加えて、UTP/Cre 3.61g/gCre と尿蛋白も著名に
認められた。
2021/10/20、患者は、慢性糸球体腎炎の急性増悪疑いとして、入院
た。
2021/10/21、腎生検が実施された。
糸球体 25 個のうち、2 個に係蹄壊死を認めた。内 1 個に細胞性半月体
も認めた。また糸球体 14 個に明瞭な半球状沈着を認めた。
蛍光免疫染色では IgA、C3 でメサンギウム領域に顆粒状の沈着物を認
め、IgA 腎症がコミナティ接種により急性増悪したと考えられた
肉眼的血尿については、経時的に改善が得られたが、顕微鏡的血尿、蛋白尿は軽快しなかった。
2021/11/02ステロイド治療を開始した。
2021/12/14ワクチン接種の 1 カ月と 27 日後)、事象の転帰は軽快であった。

報告者は、事象を重篤(2021/10/20(ワクチン接種の 3 日後)から2021/10/29(ワクチン接種の 12 日後)まで入院)と分類し、事象とBNT162B2 との因果関係は関連ありと評価した。

他の疾患等、事象を引き起こすと考えられる他の要因は、以下の通りだった:もともと顕微鏡的血尿を指摘されており、慢性的に糸球体腎炎があったものと考えられる。今回は、ワクチン接種に伴い、急性増悪した可能性が高いが、自然経過での増悪の可能性はゼロでない。

報告医師は、以下の通りにコメントした:文献レベルでも、ワクチン接種後の肉眼的血尿、IgA腎症の急性増悪が指摘されており、本症例もその 1 例であると考えられる。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000884905.pdf

報告医師は、「文献レベルでも、ワクチン接種後の肉眼的血尿、IgA腎症の急性増悪が指摘されている」と言っています。

腎臓内科の医師たちは、急性増悪があることは知っているけれど、そのリスクよりワクチン接種のベネフィットの方が上回ると判断しているということなのでしょうか。

腎生検をしたり、ステロイド治療をすることは、体へのダメージも大きく、患者にとっては大きな負担だと思います。

腎臓の機能は一度悪くなるともとに戻らない場合が多く、無症状のうちに機能が低下し、気づいたときには透析や腎移植が必要な状態になっていることも少なくないと言われています。肉眼的血尿やIgA腎症の急性増悪が接種によるものだとしたら、軽視してよいとは思えません。その可能性は、接種前に説明されたのでしょうか。

ネフローゼ症候群

次に、ネフローゼ症候群の事例を2例取り上げます。ネフローゼ症候群も、腎臓の病気です。糖尿病などの全身性疾患が原因でネフローゼ症候群をきたすものは二次性ネフローゼ症候群と呼ばれ、そのような原因がない一次性ネフローゼ症候群は難病指定されています。

ネフローゼ症候群とは、尿に蛋白がたくさん出てしまうために、血液中の蛋白が減り(低蛋白血症)、その結果、むくみ(浮腫)が起こる疾患です。
微小変化型のタイプのネフローゼ症候群の場合は、腎臓の機能が低下することは少ないですが、ステロイドや免疫抑制薬を減量すると再発を繰り返すことが多いです。膜性腎症や巣状分節性糸球体硬化症の場合は、長期的には腎機能が低下し、透析が必要になる場合もあります。いずれのタイプでも2年以上ステロイドや免疫抑制薬を続ける必要があることが少なくありません。

難病情報センターのサイトより


事例:16889 12歳女性 コミナティ筋注 2回目接種 ロット号:FJ1763
関連する病歴と併用薬は、報告されなかった。
2021/10/29、コミナティ初回接種。反応:「体重増加」。

臨床経過:
2021/11/19、 BNT162b2(コミナティ) 2 回目接種。
2021/11/21 から顔面浮腫が発現し始めた。
2021/11/30(ワクチン接種の 11 日後)、ネフローゼ症候群を発現した。
2021/11/30(ワクチン接種の 11 日後)、病院に入院した。
尿蛋白 4+で、ネフローゼ症候群が疑われた。患者は、報告病院に紹介された。検査結果からネフローゼ症候群と診断された。

報告者は、患者には以前に感染がなかったため、ワクチンとの潜在的関係を否定できないと考えた。報告者は、事象を重篤(2021/11/30 から入院)と分類した。報告者は、事象と BNT162b2 の因果関係を評価不能と評価した。
他要因(他の疾患等)の可能性はなかった
2021/12/07(ワクチン接種の 18 日後)、事象の転帰は、未回復であっ
た。

報告医師のコメントは以下の通り:
この症例は、初発のネフローゼ症候群であり、先行感染はなかった。
2021/11/05 頃から体重増加が発現し始めたので、その頃から発症していた可能性があった。初回接種から約 1 週間後で発症した場合、他の報告と矛盾せず、ワクチンとの潜在的関係を否定できないと結論付けた

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000884905.pdf

もう1例は、ネフローゼ症候群の中でも小児に発症することが多い「微小変化型ネフローゼ症候群」の病歴がある人が、接種後に再発した事例です。

事例:16662 15歳女性 コミナティ筋注2回接種 ロット番号不明
患者は、薬物、食物または他の製品に対するアレルギーがなかった。
関連した病歴は以下を含んだ:「微小変化型ネフローゼ症候群
(2021 年から継続中)。

「微小変化型ネフローゼ症候群」に関する詳細:
5 月中旬から、体重増加、下肢浮腫の自覚があった。2021/06/09、腎生検で微小変化型ネフローゼ症候群の診断をされた。2021/06/17、完全寛解、以後 PSL は漸減した。2021/08/04、PSL (※ステロイド)の内服を終了した。併用薬は、ベポタスチンベシル酸塩、モンテルカスト、ゼペリン点眼液を含んだ。

2021/10/16 時間不明、 bnt162b2(ロット番号:FJ7489)初回接種

事象の経過は以下の通り:
2021/11/09 時間不明、 bnt162b2(コミナティ)2 回目接種
2021/11/09、患者は近医にて 2 回目ワクチン接種を受けた。
2021/11/10、摂氏 38.4 度の発熱が出現した。
2021/11/11、蛋白尿 3+が出現した。
2021/11/16、患者がバレエの練習中に、息が浅くなった
2021/11/17、尿蛋白 3+と変わらず、患者は報告病院の腎臓内科を臨時受診 した。ネフローゼ症候群再発と診断された。そして、PSL 30mg/日の内服を再開した。
2021/11/17、「体重 50.7Kg から 54.1Kg に増加」、および「軽度の下肢浮腫」を認めた。
2021/12/09完全寛解 した。

報告者は、事象(発熱、尿中蛋白陽性、減呼吸)は、医師または他の医療専門家の診療所/クリニックへの来院に至ったと分類し、 事象の転帰は、プレドニン錠 5mg 6 錠、ランソプラゾール OD 錠 1 錠、バクタ配合錠 1 錠を含む処置で未回復であった。経口投与。

報告者は、ワクチンとネフローゼ症候群の因果関係を評価不能と評価した。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000884905.pdf

寛解とは、病気による症状や検査異常が消失した状態であり、治癒とは異なります。ネフローゼ症候群の寛解はたんぱく尿の陰性化を意味し、再発の可能性があります。プレドニンやプレドニゾロンと呼ばれているステロイドの服用を中止した後に再発することもあり、ステロイドのコントロールが難しいです。この事例の場合、5月に症状がでて、6月に寛解してからステロイドの量を減らしていき、8月にステロイドの服用を中止できたと書かれています。

ところが、ワクチン接種がきっかけとなり、また30mgの服用が始まりました。ここから、少しずつ減らしていかなければなりません。ステロイドには免疫機能を抑制する働きがあるので、服用中は風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

プレドニン30mgは、感染にかなり注意が必要な量です。ということは、新型コロナウイルスにも感染しやすくなるということではないでしょうか。予防するために接種して、ステロイドを飲むことになれば、かえって感染しやすくなるというリスクがあることも、接種前に説明されたのでしょうか。

説明されて、もし納得できなければ、「接種しない」という選択もあるのです。厚労省のサイトには、「義務とは異なる」「強制ではない」と書かれています。

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0067.html

この規定のことは、いわゆる「努力義務」と呼ばれていますが、義務とは異なります接種は強制ではなく、最終的には、あくまでも、ご本人が納得した上で接種をご判断いただくことになります

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0067.html

5歳から11歳の接種についても、努力義務にするか議論されていますが、たとえ努力義務になったとしても、義務ではないのです。

厚労省のサイトには、下記のようにも書かれています。

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0053.html

接種を望まない方に接種を強制することはありません。また、受ける方の同意なく、接種が行われることはありません。
職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう、皆さまにお願いしています。仮にお勤めの会社等で接種を求められても、ご本人が望まない場合には、接種しないことを選択することができます。

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0053.html