見出し画像

遅刻じゃないよ

今日は早番。
9時開店だから、8時50分には出社しないといけない。

私はバタバタと朝食を作り、夫と子供に食べさせる。
その間にお弁当を3つ。
そして、ご飯を食べた子供を着替えさせ、保育園へと送っていく。
おっと、出かける前に洗濯機も回さないと。

帰ったら自分の朝食。
それから食器を洗って、お化粧をして。

ヤバ、時間ギリギリだ。
全力で自転車を漕いで、職場へと急ぐ。

時刻は8時47分。
予定より早く付いた。

ゆっくり準備できそうだ。

なんて思いながら、お店の扉を開ける。
開ける……開け……る……?

開かない。
おかしい、この時間なら社員が出社しているはず。

でも、カギがかかっている?
つまり、誰もいない?

こうなったら仕方がない。
社員が出社するまで店の前で待つか。

……。
……。 

きた!?

ちがった……。

……。
……。

8時55分。
まだか……。

……。
……。

今度こそ来た!?

また違った。
遅い。

開店準備の時間がなくなる。

……。
……。

まだか……。

……。
……。

きた!

8時58分か……。

「遅いですよ。9時開店って、分かってます」
「あーまぁ、遅刻じゃないから」

そういう問題じゃない!

「開店準備、どうするんですか!」
「あーまぁ……。9時から仕事なんで」
「いやいや、開店も9時です!」
「まぁ、遅刻じゃないから」

〈了〉

短編小説を掲載したKindle本を発売しました。
ただいま無料キャンペーン中!

この機会にぜひ、読んでください!

以前出版したこちらも、無料キャンペーン中!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?