見出し画像

振られるのはイヤ!

あの週末、私たち双子の競争は新たなレベルに達しました。

私たちは同じ男性……ジャックに惹かれていたのです。

彼が妹と楽しそうにしているのを見ると、胸が張り裂けそうになります。
それは妹も同じで、私が彼と仲良くしていると、その夜は決まって姉弟ケンカになりました。

私たちの関係はいつも競争と隣り合わせ。

学校での成績、友達からの注目、ファッションセンスにスタイルまで。
何でもかんでも競い合いました。

そして今は、ジャックの心を掴むことができるかを競っています。

私たちは計画を練りました。
どうやって彼を射止めるか、競争する計画を、です。

そして、一人が彼の関心を引く。
もう一人が嫉妬させる。

そんなことを交互に繰り返しました。

私と妹、どっちが彼にとって魅力的なのかを確かめたかったからです。

ただ……。

私は勝負に負けることよりも、ジャックに振られることが怖くなりました。

もし妹が勝ったら?
私は身を引かないといけないの?
そんなのはイヤ!

だから私は、妹に相談しました。
彼はまだ、私たちが双子だと気がついていない。
だから、二人で彼と交際しようと。

妹も振られたくないという思いが強く、競争をやめて、協力することにしました。

私がデートをしたら、つぎは妹がデートをする。
抜け駆けは禁止。
デートの内容は、事細かに報告する。

そんな協定書? みたいなものも作りました。

結局、私たちは彼に双子だと伝えないまま、彼の心を射止めました。

いつ双子だとバレるのだろう。
バレたらどうなるのだろう。

そんな不安はあります。
ただ今は、妹と一緒に彼との秘密の関係を楽しんでいます。

〈了〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?