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チューリップラジオ

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自作小説まとめ2
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2021年6月の記事一覧

チューリップラジオ4

近づきたい。そう、本能的なレベルで思った。気づけば彼女へのダイレクトメッセージを送り終わっていて、自分自身の行動に困惑していた。

(いきなりすみません。今日店にきてくれてありがとうございました。大学の頃から実は話してみたかったので嬉しかったです。またお話しましょう。)

私は昔からファンですのような表現を使わないようにした。彼女の美しさに蔓延るようにコメントを残す、彼らと同じになりたくなかった。

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チューリップラジオ3

私はいつも勤務中ぼーっとしている。多分誰よりもぼーっとしている。お客さんに声を掛けられてはっとする。
「すみません。」
私はマスクの中で急いで笑顔を作った。
「お決まりでしょうか。」
「あの、ショートケーキ一つと。マスカットケーキ一つと、プリンを二つで。」
お客さんは女の人で、クセのないアナウンサーのような声だった。
「お会計が、1390円になります。」
私はこの顔に見覚えがあった。
「あの、和歌

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チューリップラジオ2

世界から離れていく。夜、眠りにつくと私はいつも違う世界へ向かう。今日は雨の音だけを現実世界から持ってきたけれど、ほかは何もなかった。家族や友人さえいない。本物のひとりぼっち。けれど全く寂しくなくて、暖かい「愛」だけが私を包んでいた。そんなどこからともなくやってきた「愛」とどこかの優しい雨の音の中。歩いているとだんだん足がつかなくなって、ふわりと浮く。そこで初めて自分自身を心から愛することができるの

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チューリップラジオ

何気無い毎日に疲弊するわけではない。物足りないなと少し思ったり、家具を全て買い直したくなることがたまにあるくらい。私はいつも少し日が落ちた頃に買い物へいく。何を作るか考えずにスーパー行って同じところを何周もしたり、一度の買い物で3000円を超えたりすることはもうなくなった。必要な食べ物、例えば卵、玉ねぎ、豚肉なんかを買っておけば、家にオイスターソースがあるから何とかなる。そうだ、あと家を出る前に洗

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