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読書活動期(2023.5)

読んだ本についての備忘録

クロワッサン2022年11/10号【最新版!買ってよかったもの。

雑誌でたまにやる鞄の中身の特集は昔から楽しく読んでいたし、年末に近づくとSNSで盛り上がる『今年 1年で買ってよかったもの』を見るのも好き。
日用品として自分のそばに何を置くのかにはその人の考え方や好みが如実に反映されると思う。個人的にはテネリータの『超甘撚りハンドタオル』が気になる。

城の崎にて・小僧の神様

角川文庫の装丁はかわいい。これは切子のような模様で特に好き。

『城の崎にて』は、山手線での事故の療養のため城崎で過ごす「自分」が主人公。この短編には蜂、鼠、イモリの3つの動物が出てくるが、作中でそれぞれ死を迎える。仲間が巣穴に戻る中、ぽつんと置いて行かれ死んでいく蜂、民衆の娯楽の対象となり苦しみもがきながら死ぬ鼠、主人公の過失により予期せず死んでいくイモリ。
物語としては短いものの、読了後は自分の足元がぐらぐらするような気持ちになった。
それは【自分が死んでも世界は続く、そして死にたくないともがき苦しみながら死んでいくか、まさか死ぬとは思わず不意に死を迎えることが多い】という当たり前だが普段目を逸らしていた残酷な事実を正面から突きつけられたからだと思う。
人間は必ずみな死ぬのにどのように死にたいかを考えることは少ないのはなぜなんだろう。

フルーツバスケット

学生時代にものすごく流行っていたと思う。
おそらく1話だけ流し読みした思い出があるんだけど、その時に可愛らしい絵と心の清らかな主人公の感じにあまり惹かれずそのままになっていた。

実際読んでみると、人間の葛藤や成長がすごく細やかに描かれていてまさかこんな骨太な作品だったとは…確かにこれは多感な学生時代に読んでいたらより強く影響を受けていたかもしれない。
長い物語の中でも特に印象に残っているシーンはいくつかあるけど、その中でも愛する夫(主人公父)が亡くなった時に妻が『なぜ愛する人が死んだのに、この世界は普通に朝をむかえ続いているんだろう』と思う場面が心にぐっときていた。結局、娘の存在をきっかけに『世界は必要としてなくても、必要としてくれる人のために自分は生きるんだ』、という結論に至るんだけどここら辺の描写も見事だなと思った。

しかし学生時代に読んでいたら主人公の影響をモロに受けて敬語キャラになっていたかもしれない。

魔性の子 十二国記 0

読んでみたいと思いつつ中々の大作すぎて尻込みしていたが、ついに。
とりあえずセオリー通り順番に読んでみることに。
不条理、理不尽なことが起こる中、得体の知れないものへの恐怖、それによる集団心理が丁寧に描かれていた。
そして自分の居場所はここではない、と感じる2人だけど、一方はその中でも現実を見つめて生きていかなければいけないという事実がより残酷に描かれていてさすが小野不由美…。初版はかなり前の作品だけど心を抉られる作品だった。広瀬にはその後現実世界で幸せに暮らしてほしい。

総評

長年読んでみたいと思って手を付けていなかったり、昔少し読んでそのままになっていた本にふらっと手を出すことが多い月だった。
十二国記は今年中に既刊分は読破していきたいので、毎月少しづつでも読み進めていきたい。
志賀直哉は里見弴といる時に山手線事故にあったらしい。里見弴の『善心悪心』もその内容がもとになっているようなので読んでみたい。

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