10年に一度ほど 8月の梅雨がある
例年どおりではないときに人は 考える
振り 還り過去の前例に心の居場所を捜す
晴れなきゃ晴れないと愚痴り
暑けりゃ暑いと文句垂れる
夏日だ真夏日だ とラベリングする
最高温度地区を競う
最高温度更新を祝う
10年に一度ほど 8月の梅雨がある
例年どおりではないときに人は 張り切る
振り返りとは異なる 新しいことが始まったと合点する
暑くないことに感謝の念を
晴れたなら その視界を楽しむ
振り 還りが繰り返されることが日常なのではないだろう
新しい一日を昨日と同じだけの精一杯の努力をして積み重ねたものが日常なのだろう
たぶん
きっと
10年ほどに一度 8月の梅雨がある
2020年の東京の夏には あるはずのものが幾つもなくなった
涙雨が混じっている
無念や やり切れなさが混じっている
無力や あきらめが混じっている
そういうものを水に流すように
2020年 東京には8月の梅雨があった
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?