見出し画像

すれ違いの2人と謎の男/NHK大河ドラマ『光る君へ』第3話

史実によって2人の今後が分かっているだけに、ドラマでの互いの淡い気持ちはどこへ向かうのだろうかと、想像をかきたてられる。素性を偽ったままのまひろと三郎、忘れられない相手という設定にきゃっきゃしている。

そんな乙女な演出を楽しみながら、熾烈しれつな権力争いをうかがわせる描写がしっかりとあり、第3話もあっという間の45分だった。

初登場の藤原公任は町田啓太さん。文化面に秀でていて、モテモテ。出てくる、出てくる女性からのフーミー。光源氏のモデルはこちらでは? 現状、どう見ても公任の方が出世しそう。

三郎(道長)は、表面上はおだやかな三男坊だが、心の内には違う感情を持っているように見える。佑の目は、冷たくもなるし熱くもなる。もっさりともするし、そうかと思えば妙に色気も出る。三郎の表情に引き込まれている。

一方、父親には権力争いの道具として扱われ、汚れ仕事を請け負いながらもなお、愛欲しさに突き進む道兼。いつも冷めた怖い顔の彼が、父親に頼られると幸せに満ちた顔をする。幸せな顔をすればするほど、こちらにはうら悲しさが伝わってくる。

血を浴びた兄の横顔に慄いた子どもの三郎は、あのとき何を思ったのだろう。道兼がまひろの母を殺めたことを、兼家は知っていた。三郎が父親に何かしら話をしたとは考えにくいが、道兼は三郎が告げ口をしたと勘違いしたまま。三郎とまひろが互いの素性を知ったとき、どうなるのだろう。

そして謎めいた男。2年連続の大河出演、毎熊さん。この直秀は誰かをモデルにしているわけではなさそうだが、社会を風刺する散楽の一員なので、貴族社会を批判する立場だ。まひろと三郎の人生にどう絡んでくるのか、気になる存在。直虎で言うところの龍雲丸?今後も動向を追っていきたい人物である。

まだ気になることが2つ。

ひとつは、まひろがセレブな女子会に戸惑いながらも、自分の特技を披露したシーン(空気読めてないとも言う)。黒木華さん演じる倫子の笑い方が怖すぎる。倫子、腹の中ではどんなふうに思っているのか。こちらも史実を知ると、ドラマで2人の関係がどのような形になるのか非常に気になる。

自分が冠者として倫子の元へ送り込まれたと知り、落胆と怒りを覚えながら、父・為時の前では平静を装ったまひろ。あれは、今後の彼女の生き方を物語っているように感じた。源氏物語を紡ぐことで、自分の胸の内を吐露していくのだろうか。まひろも、貴族社会の中では表には出さない顔を持たざるを得なくなるのかも。

もうひとつは、ネットでも話題の藤原実資役、ロバートの秋山さん。『クリエイターズ・ファイル』で鍛えられた憑依芸が、ここで生かされていて凄い。しかも生真面目な実資のシーンなのに、きっちり笑いを取る演出。権力のぶつかり合いのドロドロ展開を予想する中で、彼のシーンだけ多幸感があるのはなぜだろう。個人的には、鬱々とした空気を一瞬で吹き飛ばす、マツケンサンバを見たときの多幸感に似ているのだが。人徳なのかしら。この活躍、梅宮さんも上から喜んでいるだろうな。

そんな秋山竜次バージョンの実資、第3話で現在「頭中将」であることが判明。

と、と、頭中将!?

ほとんど『あさきゆめみし』でしかこの時代を知らないため、秋山=頭中将にならない私を許してほしい。ごめん、秋山。


さて第4話は、ついにまひろと三郎、互いの素性が明かされる。どうするまひろ、どうする三郎。今からドキドキしている。


この記事が参加している募集

スキしてみて

テレビドラマ感想文

記事を読んでくださり、ありがとうございます。世の中のすき間で生きているので、励みになります! サポートは、ドラマ&映画の感想を書くために使わせていただきます。